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結局私は子どもたちを連れて国を出た。
ただ、生まれ育った母国をあまり離れたくはなかったので、
母国とあまり関係のなかった隣国を選んだ。
最初は大変だったけど、今ではもうこの暮らしにもなれたものだ。
息子たちは大きくなった。
もう、自分たちでお手伝いまでしてくれる。
国を出て、やっと5年が過ぎた。
風の噂で、勇者様が私たちを血眼になって探していると聞いた。
気持ちわ…ごほん。
ともあれ、今はとても幸せだ。
私はまた恋をした。とても優しい男性に。
経営し始めた仕立屋も繁盛している。
自由っていいわね!
…とか思っていた自分を殴ってやりたい。