表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

絹糸

作者: 西框 清隆

 彼女の肌は、今まで触れたどんなものよりも柔らかく、壊れてしまいそうだと思うほどに、弱々しい印象があった。

暗闇の中でも愛おしそうに僕を見つめる彼女の瞳。僕も目線を絡み合わせるようにその瞳を見つめ、そっと指を組むように彼女の手を握る。

甘く吐かれる息が胸に当たって、一層この胸の高鳴りが強くなり、激しく彼女の身体を引き寄せる。本当の愛おしさは、ベッドの上でしか感じられないものかと思った。

 それほどに愛が二人の間を埋めていた。

彼女の左手が首元に巻かれ、互いの顔を近づけ、そのまま唇から口内へと自然と求めるままに、彼女が僕を染め、僕が彼女を染めた。

指先が柔らかな胸を触った。少し驚いて手を引いたけど、彼女が囁く。

「さわって」と

恐る恐る膨らみに手の平が接する。どうやって触れていいのか解らなかった。悩んだ末のわしづかみ。

まずいことをやってしまったかもしれないと彼女の顔を見たが、決して癒そうな表情はしていなかったから、気にせずに触りつづけた。

その後のことは、本当に勢いまかせで、記憶も錯乱して、断片の状況しか思い出せない。ただ、人生でこれ程の幸せがあるのか、15年生きてきた、まだ短い人生の中ではあるが、その中では味わったことのないとてつもない幸福感だった。

しかし、同時にどうしようもない虚無感もやってきた。これがセックスなのかと頭をもたげたが、彼女の悦楽に浸る姿を見て、考えるのをやめて、彼女を強引気味に引き寄せ抱きしめた。

きっとこれでいいんだ。

淫靡な時の中で、僕らは生きていると実感した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ