絹糸
彼女の肌は、今まで触れたどんなものよりも柔らかく、壊れてしまいそうだと思うほどに、弱々しい印象があった。
暗闇の中でも愛おしそうに僕を見つめる彼女の瞳。僕も目線を絡み合わせるようにその瞳を見つめ、そっと指を組むように彼女の手を握る。
甘く吐かれる息が胸に当たって、一層この胸の高鳴りが強くなり、激しく彼女の身体を引き寄せる。本当の愛おしさは、ベッドの上でしか感じられないものかと思った。
それほどに愛が二人の間を埋めていた。
彼女の左手が首元に巻かれ、互いの顔を近づけ、そのまま唇から口内へと自然と求めるままに、彼女が僕を染め、僕が彼女を染めた。
指先が柔らかな胸を触った。少し驚いて手を引いたけど、彼女が囁く。
「さわって」と
恐る恐る膨らみに手の平が接する。どうやって触れていいのか解らなかった。悩んだ末のわしづかみ。
まずいことをやってしまったかもしれないと彼女の顔を見たが、決して癒そうな表情はしていなかったから、気にせずに触りつづけた。
その後のことは、本当に勢いまかせで、記憶も錯乱して、断片の状況しか思い出せない。ただ、人生でこれ程の幸せがあるのか、15年生きてきた、まだ短い人生の中ではあるが、その中では味わったことのないとてつもない幸福感だった。
しかし、同時にどうしようもない虚無感もやってきた。これがセックスなのかと頭をもたげたが、彼女の悦楽に浸る姿を見て、考えるのをやめて、彼女を強引気味に引き寄せ抱きしめた。
きっとこれでいいんだ。
淫靡な時の中で、僕らは生きていると実感した。