刑事裁判
私の起訴した裁判の最高刑は、10年で最高刑は死者が出た場合のみ。
性虐待は、法律上未遂とされ、かなり軽い刑になると言われた。
こちらの求めたのは、禁固三年。
第1回の裁判は家庭裁判所で行われる。
刑事裁判でも、第1回は家庭裁判所らしくかなり驚いた。
体調不良を無視して、裁判所に向かった。
起訴して初めて、父親と会う事になる。
傍聴席の前の席に弁護士が座って、父親の目線から私を守る位置に着いた。
行かないと言う選択肢も有ったが、これは過去とのけじめなので、逃げない事にした。
裁判所に入って驚いた。
膨張マニアらしい人が居たから。
次に父親が入って来て、緊張した。
弁護士が、
「裁判官が良くない。」
と教えてくれた。
あまりこの様な案件に向いてないらしい。
裁判が始まり、案件が読み上げられる。
正直恥ずかしい。
性虐待の内容にも、触れるから。
いや、関係者だけなら平気なんだろう。
少し前に、父親が罪を認めたと聞いて居たが、半信半疑だった。
裁判官の間違い無いかと言う問いに、父親が素直に頷いたのに驚いた。
後で聞いたが、
「今否定するより、今肯定した方が刑が軽くなるから」
らしい。
すらすらと進む裁判。
父親の尋問が終わって、こちらに振り向いた事は、睨みつけた。
負けたく無かったら。
父方の母、つまりおばあちゃんが裁判の場で、父親の再教育を約束した時は、悲しかった。
おばあちゃんに、悪い記憶は全く無いし、助けてもくれたから。
完全に繋がりを切ったとは言え、肉親には変わりない。
第1回の裁判の判決は次回に持ち越される。
第1回の判決は、実刑二年だった。
更に、拘置所に居た時間を引かれるらしく、一年と半年位だそうだ。
弁護士は、相手が不服申し立てをするから、第2回が有ると言った。
不服申し立てが出て、直ぐに父親から手紙が来た。
三百万だすから、取り下げて欲しいと書かれていた。
いまだに、母と私を呼び捨てにしていて、呆れた。
弁護士から、返事は自由だけどどうするかと聞かれて、書くと答えた。
お金で解決する問題ではない。
許す気は無いし、あなたを父親だと思っていない。
あなたの所有物ではないので、呼び捨てにしないで頂きたい。
そんな内容を、全て敬語で書き綴り、送りつけた。
第2回の裁判で、受付で場所の確認をしようとして、驚いた。
受付にある、その日の日程、場所を関係者用に置いてあるのだが、膨張マニアがその紙を握りしめて居た。
受付は膨張マニアであふれて居た。
弁護士に説明されて、呆れた。
何が楽しいのやら…。
第2回の裁判は地裁で行われる。
家庭裁判所と違って、厳格な空気で緊張も倍増した。
傍聴席に前と同じように、弁護士が前に座って時間を待つ。
膨張マニアの視線が、気持ち悪い。
裁判が始まり、前回の復習と、不服申し立ての内容が読まれた。
父親の尋問で、手紙のやり取りの事を聞かれて、父親は
「許さないと書かれていた」
と言って、申し訳ないと言った。
小さな柵ごしで、視線がぶつかった。
再度、罪状が読み上げられ、次回の日にちのやり取りが行われる。
判決は、前回と変わらず、実刑二年だった。
あの裁判官ならば、良い結果だと聞いたが、私には良く分からない。
この時点で刑は確定した。
三回目の裁判は、今までの事が覆るような事が無い限り、開かれないらしい。
ちょうど、高校卒業前に終わった。
だが、民事裁判は終わって居ない。
私が父親にされた時間は、10年以上。
許す訳は無い。
民事をするには、同じ内容ではいけない為に、一度準備のし直しをする。
もちろん、刑事裁判で判決が出たので、言い訳は出来ない。
ほんの僅かな時間を休憩時間に使った。
流石に疲れた。
三年掛かった。
幸いにも専門学校に上がる事も決まった。