二重生活
高校は私立に推薦で入った。
長くは続かなかった。
体調不良が悪化した。
そして、ようやく決心がつき母に全てを打ち明けた。
これからが、戦いの始まり。
児童相談所に繋がりを持っていて、助かった。
流石にこれは、黙って居られないと母と児童相談所の役員が立ち上がった。
私は訳分からなかったが、警察沙汰になる事は分かった。
児童相談所から弁護士を紹介してもらった。
その道のプロフェッショナルの弁護士で、普通なら会えなかっただろう。
女性の弁護士さんに全てを話した。
弁護士事務所で、沢山話を纏めた書類を用意して、警察署に行った。
私は未成年の為、母が代理人で戦う。
未成年の為に、いろいろな手続きは代理人がやる。
私は供述するだけ。
学校は行けないから、通信高校に転校した。
一年生の単位が無くなったが、一年生と二年生の単位を一年で取る事にした。
二重生活が始まった。
週2日学校に、週一は警察署に行った。
壁にぶち当たったのは、直ぐだった。
「何年何月何日のどの時間からどの時間まで、受けたかと、証拠を提示して下さい」
…いやいや、毎日です。
「証拠が無いと立証出来ません」
必死に探して、2日だけ証拠を見つけ出した。
一つは、ゲームを買って貰った日。
たまたま、本体とソフト二本、保護シートを買っていて、実は日にちと時間帯は同じだが、バラバラに買ったのだ、その時間帯で同じ組み合わせのレシートが、店に残って居た。
たまたま、その日のレシートに同じ組み合わせの客が居なかった為、見つかったのだ。
更に、ゲームを父親も遊んで居て、たまたま日にちの残るゲームだった。
たまたま、消さずに売りもせず残して有った。
父親の字で名前も書いてある。
母の手帳にも、会った日にちが記載されていた。
十分証拠になった。
その日の詳細を、1日掛けて思い出して、調書に残した。
もう1日は、
万博に行った日。
万博の資料を漁り、写真も無いか探したが無く、必死に思い出した。
ちょうど、記録に残った暑い日でコンサートも見た日で資料と合致した。
母の手帳にも有った。
その日の出来事を事細かく説明した。
普段からの虐待は証拠不足で、ちょっとした判断材料にしかならなかった。
ひたすら、警察署にこもって、調書に記して、ひたすら思い出した。
思い出すには、フラッシュバックを起こさないといけないから、つらかったが、どうやら根性は母から受け継いだらしい。
父親から買って貰ったり、ゲームセンターで取って貰った物を証拠として、ダンボール三箱位は警察署に持っていきました。
二年も準備に掛かった。
ようやく逮捕状が出ました。
三年生の4月に、二年分の単位を取り終えました。ギリギリでした。
三年生の単位は6月で全て取りました。
裁判の前に、検事の取り調べが有ります。
まず言われたのは、
「何で実父を前科持ちにするの?」
でした。
意味分かりません。
さらに、
「何で当時助けを呼ばなかったの?気付くでしょう?普通」
いやいや、普通じゃないんですが…
生まれがそこで、普通なら、分からないでしょうと言えば、
「私の父親は良い人で、夫も優しいから」
…あなたの家庭は聞いてません。
なにやら、家庭の自慢が始まりました。
あなたには、分からないと言うと、
「じゃあ、止める?」
止めないから、話聞いてよ…
事ある毎に、止めるのか聞いてきました。止めさせたいのだろうか?
その日は、話にならず、帰りました。
有ったことを、通ってた病院の先生と、弁護士に言ったら、検事に電話して下さいました。
後日、また同じ検事に会いました。
検事は基本的に変えられないと言われました。
開口一番、
「あなたの病院と弁護士からお怒りの電話が有りました。ごめんなさい。本を読みましたから。」
…何が言いたいの?
1日で取り調べを終わらせました。
会いたくないし。
後で弁護士に聞いたら、
「あの人評判悪いから。人事異動で少し前にあの人に変わっちゃったの。」
との事で、あまり良い人に当たらなかったみたいです。
幸いにも、先生と弁護士がフォローして下さいましたし、警察は立場的に意見は言えないけど、サポートして下さいました。
これで、準備は全て整いました。