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トカゲルーム  作者: Lin x
3/7

トカゲルームに、先住民発見。

ぶっきらぼうな低い声。中学生には見えないほど大人びた、彫の深い顔。えっと、名前は…


「鷺村先輩、でしたっけ」


「俺の名前はいいんだ。だから、何でお前、ここに来たんだ?」


私に再び聞きながらも彼は素早く隠し扉を抜け、立ちあがる。彼の近くに立つのは初めてだったけれど、立ってみると想像以上に彼は高かった。


鷺村恭平。一年上の中三生。美術部所属。

私が彼のフルネームを知っていたのは、単に彼が私と同じ美術部だったから、ではない。彼が何部であろうと、私はきっとその名前を知っていたと思う、というより、知らずにいるはずがない。

彼は、私達の学校ではかなりの有名人なのだ。


彼は去年の9月に転入してきた。

もともとその彫の深い顔や大人びた雰囲気で女の子たちの話題にはなっていた。でも、一か月もたたないうちに彼の噂は全校を駆け巡るようになった。

テストは全教科満点。100mを11秒台で走る俊足で、柔道だか剣道だかもとても強いそうだ。まあ同じ美術部員なので彼の作品を見る事もあるのだが、その出来栄えは目を見張るほどのものである。


早い話、彼はミスター・パーフェクト。

何でも出来る、完璧男。

一回話したいと夢見る同級生たちもいたけれど、彼自身は寡黙で、あまり話さない。そんな彼が、今、私の目の前に立って、私に話しかけている。それって、かなりすごいことじゃ…


「おい。お前、聞いてんのか?」


いけない、この状況に酔っていて先輩の話を聞いてなかった…


「すいません。聞いてませんでした」


まったく…とちょっと肩をすくめた彼は、後ろにある机をちらっと見て一言、


「そこに隠れてるお二人さんも出てきな。俺、不審者じゃあるまいし、そこまで怖がるなよ」。


ああそうだ、林君と佳奈ちゃんもここにいたのを、私すっかり忘れていた。大きな"不審者"に一瞬で見つかってしまった二人は、きまり悪そうに机の後ろから出てきた。しばらくは彼を気まずそうに上目遣いで見ていた二人だったが、佳奈ちゃんが思い切ったように鷺村先輩に聞いた。


「あの…この辺りに、10人くらいの中一の男子たちが固まっていませんでしたか?」


そいつらが、二人を追っていた奴らんだろうか。佳奈ちゃんにしてみれば、自分を追っている奴らがこの近くにいるのか、今この部屋に入って来たばかりの先輩に聞きたいのは分からなくはない。でも、あの有名な鷺村先輩に会って(正確には見つけられて)、挨拶もなしにいきなりそんなことを聞けるなんて、佳奈ちゃんたち一年生はまだ鷺村先輩の噂を聞いていないんだろうか。でも彼女の横で林君が慌てふためき、彼女に何か早口で囁いていることや、それを聞いた彼女がはっとした顔になっているところをみると、やっぱり彼女たちも先輩のことは聞いているらしい。


「あっ、先輩すいません! 私、入学してきたばかりでまさか先輩が鷺村先輩だなんて思いもしなくて、いきなり質問なんてしちゃって… 失礼なことをしてしまtt」


「別にいいよ」


佳奈ちゃんが謝っているのを遮って、先輩が言った。


「一年かどうかは知らないけど、俺がここに入ろうとした時にここの前あたりに見かけない顔の男子が固まってた。そこにいてほしくなかったから、どいてってそいつらに言おうとしたら、そいつら俺の顔を見てすたこら逃げちまったよ。 …そうだ、そいつら確か誰かを追いかけてるみたいだったけど、それ、お前らだったのか」


「「はい! ありがとうございます」」


二人は安心したのか笑顔で先輩に頭を下げた。でも、そこで微笑んでくれると思っていた先輩の顔は、沈んだまま変わらず、その口からは思わぬ言葉が漏れた。


「んじゃ、俺はこれで」


…え? 憧れの先輩とせっかく話せると思ったのに、どっか行っちゃうの?


「俺がここに来てたのは、ここなら誰の目も気にしなくていいから。でもお前らがここを知ったからには、俺、もうここにいたくなんかねえ」


先輩が今ここを離れずにここにいたからといって先輩と私がそんなに話せるとも思えない。でも、あっさりと去る姿を見ているのは、何だか無性に淋しかった。


―――先輩、まってくだs


「先輩、待って下さい」


一瞬、自分の声かと思った。でも、私は声を出していない。


林君だ。先輩をひきとめようと必死で呼びとめ、食い入るように先輩を見ている。

先輩も林君の必死さに驚いたのか、隠し扉に手をかけたまま彼の方を向いていた。


先輩から目をそらさずに林君の口から出たのは、意外な言葉だった。


「先輩。100m、何秒で走れますか?」


「11秒5とか6とか」


「先輩。俺、100m16秒台でしか走れないんです。」

「先輩、俺をコーチして下さい。先輩みたいに走れるようにして下さい。俺と佳奈を、さっきの奴らから守るために」



読んでくれた方々、ホント有難うございます★

大感謝です^^


さて、林君のお願いに、先輩、答えてくれるんでしょうか…

なんとなく、分かるかもしれませんが苦笑


この後も、引き続きお楽しみください:)

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