トカゲルームに、侵入者発見。
前章とかぶってしまっていたので、直しました。
すみません。
助けて下さい?
いったい何が、この二人に起きたんだろう?
男の子が隠し扉の脇に倒れたことからしても、この二人が既にトカゲルームのことを知っていたとは考えにくい。でも、どっちにしろここが二人に知られてしまったのは事実だ。
あーあ。
もうここ、一人では使えないや~…
残念。
それにしても、この二人に何が起きたんだろう? 私がいろいろ考え込んでいるうちに女の子も隠し扉を抜けて部屋に入り、二人で顔を寄せて真剣に何やら相談している。二人とも何か考え込んでいるようであったが、しばらくして男の子が女の子にささやき、女の子が頷くと、女の子が私に向き直り、もう一度言った。
「俺たちのこと、助けてほしいんです。 ここでかくまってほしいんです」
「お願いします! 私達、逃げて来たんです!」
男の子のとなりで、女の子も私に涙声で訴えている。
どうしよっかな。面倒くさいこと、あんまり好きじゃないんだけど…
一瞬、迷った。
でも、二人には何か事件に巻き込まれているみたい。
何が起こっているか知りたい、という野次馬根性には、勝てなかった。
「何があったのかは分からないけど、とりあえずそこに座っていいよ」
「有難うございます!」
二人はぱっと頬を輝かせると、私の指差した二つの丸椅子に並んで座った。
「もうしばらく、…昼休みが終わるまで、ここに居させて下さい。俺たち、迷惑なんて、絶対かけないので」
ここでぼけっとしていただけの私に、どうしたら迷惑とやらがかけられるのよ? でも、この男の子の必死さが可愛らしくて、思わず目を細めてしまった。やだ、私、おばあさんみたい!
「全然迷惑じゃないよ。それより、二人とも見かける顔じゃないけど、一年生?」
「はい。俺は1-Cの林です。林智也。んで、こいつが、新田佳奈。となりのクラスなんです」
林君がとなりの女の子、佳奈ちゃんを指さすと、彼女はうつむいていた顔を上げ、小さく頷いた。
やっぱり、林君も佳奈ちゃんも、一年生だったのか~! 可愛いな…一年しか変わらないんだけど、やっぱ、後輩を見ると過去の自分を見ているようで感慨深い。って私まだ13なのに、なに感慨にふけっているのよ? 本当におばさん化してきたみたい…
とにかく、私はこのかわいい二人の新入生を、もう一度じっくりと観察した。
私が信用できる人間か見極めているのか、私を見据えたまま動いていない林君。真剣な顔が結構カッコいい。彫の濃い、一般的なイケメンみたいな感じは全然ないんだけど、余分なものを切り捨てたようなすっとした顔立ちをしていて、結構私の好み。まぁ、今は男の品定めをしてる場合なんかじゃないんだけど、と目線を佳奈ちゃんに移す。
ちょっと不安そうな顔で辺りを見回している佳奈ちゃんの顔は、女の私から見ても可愛かった。肌が白くてきれいだし、目鼻立ちがくっきりしている。天然パーマの栗色の髪が肩にかかってるし。かなり小柄でセーラー服を着ていないと小学生と間違われそうだけど、その容姿が彼女を天使みたいに見せている。いやぁ、これはモテるだろうな~。もしかして、林君、佳奈ちゃんの彼氏? …って、ゴシップネタは後で。今は、彼らが巻き込まれている事件の方が先だ。
「それで、貴方達に、何が起こっ…!!!」
後は、声にならなかった。
私達の後ろの隠し扉が、ぎぎっ、と音をたてた。
「おい、お前、ここで何してんだ?」
隠し扉から見覚えのある顔が覗いた。