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スリーエイリアンズ〜地球に魅せられた侵略者達〜  作者:


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第5話 観測の終わり

夜明け前の動物園。

空気は張りつめ、風さえ音を立てない。


ゴディは、理由のない不安で目を覚ました。

胸の奥が、低く鳴る。


(……来る)


その直感は、外れなかった。


空が、静かに歪む。

音もなく、光もなく――

ただ「そこにあってはいけないもの」が現れた。


カイは、水面から顔を上げた瞬間に理解した。


「……ゼルだ」


「知り合い?」


フィンが冗談めかして言うが、声は固い。


「侵略艦隊統括官。観測者」


ゴディは、人型へと変身する。

それに続き、二人も姿を変えた。


檻も、柵も、意味をなさない。

三人は園内中央の広場に立つ。


そこに――

オブザーバー・ゼルが降り立った。


細身の人型。

感情を排した瞳。

足元が地面に触れていない。


「久しいな、実験個体」


その声は、耳ではなく脳に直接響く。


「まだ、生存していたとは」


「用件は?」


カイが前へ出る。


ゼルは、ゆっくりと周囲を見渡した。

観覧車。

ベンチ。

売店。


「興味深い」


そう呟き、ゴディを見る。


「特に、お前だ」


ゴディは、睨み返す。


「お前は、侵略者だ」


「否定はしない」


ゼルは淡々と続ける。


「だが、お前たちも同じだったはずだ」


フィンが口を挟む。


「“だった”ね。過去形」


ゼルの視線が、鋭くフィンを射抜く。


「感情を得た個体は、例外なく不安定になる」


空気が、わずかに軋む。


「よって、処分対象とする」


次の瞬間。


ゴディが、踏み出した。


「ここは、俺たちの場所だ」


拳を構える。


「返ってもらう」


ゼルは、初めてわずかに笑った。


「……実に、人間的だ」


指先が光る。


「ならば、試そう」


「“守る”と決めた個体の、限界を」


空が暗転する。

動物園全体を覆う、見えない結界。


逃げ場はない。


フィンが歯を見せて笑う。


「本番、だね」


カイは低く言った。


「撤退ラインはない」


ゴディは、仲間を一瞥する。


「……行くぞ」


三人が、同時に踏み出す。


その瞬間、

侵略は――完全な戦争へと変わった。


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