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スリーエイリアンズ〜地球に魅せられた侵略者達〜  作者:


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第1話 檻の中の侵略者

朝の動物園は、まだ眠りの余韻を残していた。

開園前の静かな園内で、ゴリラ舎の奥、岩場の影に大きな影が腰を下ろしている。


ゴリラのゴディは、分厚い胸をゆっくり上下させながら、檻の外を見つめていた。

清掃スタッフがモップを動かす音。

遠くで聞こえる鳥の鳴き声。

どれも、彼にとってはすっかり馴染みのある“地球の音”だった。


(……今日も、平和だ)


そう思った瞬間だった。


「ゴディ、起きてる?」


低く、だがどこかのんびりした声が、隣のカバ舎から届く。

声の主はカイ。巨大な体を水に沈めたまま、片目だけをこちらに向けている。


「フィンが、また変な電波拾ったってさ」


「変な、とは」


「侵略系。しかも、かなり露骨なやつ」


ゴディはゆっくり立ち上がり、檻の鉄格子に手をかけた。

その瞬間、園内の空気がわずかに震えた。


フラミンゴ舎の上空から、羽音が降りてくる。


「おはよー二人とも!」


鮮やかなピンクの羽を揺らしながら、フィンが軽やかに着地する。

その声色は明るいが、目は冗談を言っている時のそれではなかった。


「来るよ。今日。しかも、ここ」


「動物園、か」


カイは水面から鼻先を出し、小さくため息をついた。


「よりにもよって、人が集まる場所を狙うとは。趣味が悪い」


ゴディは黙っていた。

だが、その拳はいつの間にか強く握られている。


かつて――

自分たちも、同じようにこの星を見下ろす側だった。


侵略対象。

観察対象。

征服すべき場所。


だが今は違う。


「……守る」


低く、短い言葉だった。


その直後だった。


空が、割れた。


開園と同時に園内へ流れ込んだ歓声が、一瞬で悲鳴に変わる。

上空に現れた歪んだ光の裂け目から、金属と生体が混ざり合った異形の兵士が降下してきた。


「うわー、これは派手だねぇ」


フィンはそう言いながらも、すでに翼を広げている。


「ゴディ、変身いける?」


「問題ない」


「カイ?」


「……ああ。覚悟は、とっくにできてる」


三体の動物の身体が、同時に淡く発光する。

檻の中で、舎の中で、空中で。


骨格が軋み、姿が変わり、

“動物”という仮初の殻が剥がれ落ちていく。


次の瞬間、そこに立っていたのは――

人型の戦士たちだった。


「侵略者に告ぐ」


ゴディは前へ出る。

その背中は、岩のように揺るがない。


「この星は、もう――」


カイが続く。


「君たちの好きにはさせない」


そしてフィンが、空へ跳ぶ。


「だってさ。ここ、もう“俺たちの居場所”なんだよ」


三つの影が、朝の空に重なる。


動物園は、今日も開園している。

だがこの日、誰も知らない場所で――

侵略者だった者たちが、地球を守る戦いを始めた。


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