『よろしく』
6話目!
会場は東京の競技場。当然だが神環の能力者たちが安全にすごく気を使ってくれるみたいで、客席と試合場の間には結界がはられており、怪我をした場合は試合後、回復能力持ちの能力者たちがすぐに治療をしてくれるらしい。
「それでも痛いのは嫌だな。」
アラタは準備室でカグヤに話しかける。
「まぁ、確かに怪我は直されると言った保証があっても痛いもんは痛いしな、、、ところで、ラクとハルキの姿が見えないが、、、」
「にしても、先輩、こんなに大きな国の施設貸切でこんなイベントやるなんて驚きますよね?」
「、、、めっちゃ緊張してきた!」
そんな話をしていると、ドアが開き、ラクとハルキが入ってきた。
「トーナメント表、写真取ってきたよー。てか、たったの16人しか出場権握れなかったってすごくね?思ったんだけど、そんな中勝ち進んで4人揃って出場権を握った僕らって才能の塊では?!」
「まぁ、強い能力者が全員応募したわけじゃないしな。俺等もギャラクシーが学校に来たからこの大会の存在を知ったろ?大会の存在自体知らないやつも多いんじゃないか?」
「それもそうか。」
ラクは少し残念そうな顔をする。
「じゃあ、試合会場に入ったらお互い敵同士な。お互い頑張ろうぜ!」
ハルキのテンションはいつもより高かった。
「すみません、緋ノ宮 カグヤ君はここにいますか?」
突然準備室に40代前半くらいの男が入ってくる。身なりはしっかりとしており、メガネを掛けている。少しあごひげが生えているが揃えられており、髪は七三分け。イケオジって言った印象だ。
「あなたがカグヤくんですか?私は高尾 ソウマというものです。あなたの、初戦の相手です。挨拶に参りました。」
そう言ってソウマといった男は手を差し伸べてきた。
「え、えぇ、よろしくお願いします、、、」
少し戸惑いながら、カグヤは握手をする。
「こちらこそ、よろしく。」
開会式が始まる。開会式はギャラクシーの、星野イオの挨拶だけのようだ。
「出場権を握った諸君たち、君たちはいわば才能の原石だ。存分に戦い、この私にその才能を見せてくれ。」
星野イオの挨拶は実にシンプルなものだったが、その声に乗った威厳さで会場は緊張感に包まれる。
「それでは、これより第一回戦を始める!」
星野イオの声とともに模擬試合トーナメントがはじまる。カグヤは2回戦目。あのソウマという男と対戦をする。緊張してきた。星野イオに期待されているというのもあるが、能力が命を削るものであるがためにこれまで全くと言っていいほどカグヤは能力を使ったことがなかったのが1番の原因だろう。1回戦目はラクが誰かと対戦していたが、秒で終わった。ラクの圧勝だ。緊張でカグヤが下を向いているうちに終わっていた。
「早っ!もう俺の出番じゃん!」
弟の活躍は見たかったな。でも、ラクが勝ったということは2回戦目にカグヤが勝ち上がったらラクと対戦することになる。兄弟対決か、、、面白そうだ。そのためにはあのソウマという男には必ず勝たなければ。
そんな事を考えながらカグヤは木刀を持ち、試合会場に入っていった。
試合会場に入り、カグヤはソウマと向かい合う。ソウマも木刀を持っている。
「改めて、よろしく。」
「えぇ。俺の弟が第一回戦で勝ったみたいなので、俺も勝たないと兄としての尊厳が危ういので。勝たせてもらいますね。」
「その挑発、嫌いじゃないですね。」
ぶっちゃけ兄の尊厳だのは適当な理由だ。そんな理由でもつけてないとカグヤは緊張で押しつぶされそうだった。
「第2試合目!開始!」
星野イオのアナウンスとともに開戦する。ソウマは地面を蹴り、後ろに数歩下がって距離を取る。
「最初っから下がらずかかってこいよ!」
カグヤはそう言い放ち、木刀を振りかぶってソウマに殴りかかる。その瞬間、ソウマが衝撃波のようなものを放つ。カグヤはそれに当たると体の向きが回転し、木刀を空振ってしまう。その瞬間横腹めがけてソウヤの木刀が飛んできた。カグヤは吹き飛ばされる。
「まずは一発、決まりましたね。私の能力を説明しましょうか?私の能力は念動捻転です。衝撃波をねじるように放ち、相手や相手の武器のベクトルを逆転させます。相手の攻撃を避けれる便利技です。」
なるほど。厄介な能力だ。ならば!
「見事にやられましたよ、、、次は俺の技を喰らってください!」
カグヤはそう言い放つと、カグヤは木刀を振りかぶる。ソウマとはだいぶ距離がある。
「遠距離からの攻撃は私相手だと不利ですよ?」
そんなことわかってる。カグヤは振りかぶりながら一気に距離を詰める。
「チッ、、、忠告はしましたよ?」
ソウマがまた衝撃波を放つ。その瞬間、カグヤは木刀をソウマに投げつける。木刀に衝撃波が当たり、木刀は向きを変える。カグヤはそれを避け、ソウヤの前にそのまま拳を振り上げて殴った。
「命ノ拳!!」
名前は前回の『命ノ刃』と同様いま咄嗟に思い浮かんだものだ。
「なッ!」
ソウマは拳を腹に喰らい、そのまま5mほどふっとばされ、気を失った。あの攻撃力測定のとき、測定範囲をカンストしたあの『命ノ刃』の拳バージョンだ。絶対痛い。何なら死んでもおかしくないが、ここには神環の能力者がいるし、流石にカグヤも本気のパンチではなく力を弱めていた。だから死んではないハズだ。
「木刀を犠牲にして拳で勝つとか、すげぇ。よく思いついたな。カグヤ。」
ラクがハルキにむかって話しかける。
「つまり、次の僕の相手はカグヤか、、、ワクワクするね。僕らの兄弟喧嘩を見てもらおうじゃないか!」
「二回戦目!カグヤ選手の勝利!」
アナウンスが会場内に響き渡った。
バトル描写難しい!伝えたい意味、伝わりましたか?