50m
4話目!
あれから20日ほどたった日曜日。今日、参加券を握れるかどうかの試験がある。カグヤは朝4時に起きて朝ごはんと昼ご飯を作る。留守番するイツキのためだ。ラクを叩き起こし、着替え、玄関を出る。ほんのり東の空が明るくなっている。
「眠い、寝かせてくれ。」
少し遅れてラクが小言を言いながらだらしがない格好で外に出る。鍵を締め、二人でコンビニに行き朝食を済ませる。ラクはまだ眠そうだ。
駅でアラタとハルキの二人と合流し、しばらくして電車に乗る。電車の椅子に座るとラクとハルキは秒で寝始める。アラタはスマホをいじっており、カグヤは外をただただ見ていた。
カグヤは緊張していた。あの星野イオに期待されている。あの星野イオに目をつけられている。
新幹線が走っている駅につくと新幹線に乗り換え、その後1時間ほど新幹線に乗り、隣の県の市街地で降りる。
「いいか、お前ら。離れるなよ。当たり前だが人様に絶対迷惑はかけるな。」
カグヤは振り向いて後輩たちに言う。
「カグヤ、アラタ先輩がもういないんだけど。」
「くっそアイツどこ行きやがった!」
この後輩3人はよく問題を起こすが、アラタはその中で1番問題をおこす。1番人に迷惑をかける。
「そこのお姉さん!俺と一緒にお茶ない?」
やっぱりだ。ナンパしてやがる。
「バカ!ナンパしに来たんじゃないんだぞ!すみません!うちのバカが迷惑をかけました!」
カグヤは礼をして、急いでアラタを引っ張りラクたちと合流する。
ほんと、アラタはすぐ問題を起こす。だが、そのおかげでカグヤの緊張が少しほぐれた。
しばらくして神環の施設につく。大きな施設だ。この中で試験をするらしい。中に入ると100人ほど人がいた。受付まで行き、4人はそれぞれ名前を言う。名札のようなものを配られ、それをつける。
「試験はスピード、パワー、防御力の3種目です。皆さん、頑張ってください!」
その施設には大きなグランドがある。そこに4人は連れて行かれる。すでに何人か列を作っていた。
「ここでは、50m走をしてもらいます。満点は1.00秒です。それ以降、0.1秒遅れるごとに−2点です。つまり、6秒より遅かったら0点です。タイムは繰り下げです。」
淡々と説明しているがだいぶ鬼畜だ。
「俺の得意分野だな!」
アラタが自慢気にのびをする。しばらくしてアラタの順番が来た。
「それでは、ピストルの音と共にスタートです。」
「お前ら!見とけよ、先輩のすごさを!」
後輩に自慢気にセリフを言う。
ピストルの音が鳴り響く。一瞬だった。1秒も立たないうちにアラタはゴールラインをまたいでいた。
「0.83!満点です!」
「カグヤ先輩!見ました?俺、もう出場権ゲットです!やっぱ俺、最強!」
「チッ、調子乗りやがって。」
ハルキは少し不満そうな顔をする。次はハルキの番だ。
ピストルの音が鳴り響く。それと同時に後ろに並んでいた人たちのアクセサリーやカバンが吹き飛ぶほどの風が吹き荒れる。3秒ほど風は続き、やんだ。
「3.25です!54点です!」
ニヤニヤしながらアラタがハルキを見ている。アラタに負けたことが悔しく、ハルキは歯を噛みしめる。
次はラクの番だ。
先程と同様、ピストルが鳴り響く。何か黄色いものがコースを駆け抜け、ゴールする。チーターだ。チーターはゴールラインを踏むとみるみるラクの姿に戻る。
「1.49!90点です!」
ラクはドヤ顔をしている。
次はカグヤの番だ。後輩たちより早くは走れないけど、精一杯走ってみせよう。
ピストルの音と共にカグヤは走り出す。全力で。全力世辞面を蹴って。そしてついに、ゴールした。
「7.24!得点は0点です!」
知ってた。カグヤの能力はスピードに特化してない。スピードに関しては普通の人間だ。そもそも後輩たちがバケモノなんだ。ヒビキの3.25もバケモノの速度だろ。しょうがない。カグヤは切り替えて次の種目に挑むことにした。
まだ物語スタートラインにすら行ってない!模擬試合トーナメント始まってからが物語スタートです!模擬試合トーナメントの内容はだいぶ決めてあります。