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樹冠祈願  作者: レニペン
第1章〜カグヤの命〜
31/39

柊 トモヤ

31話!




 眩しかった。純粋に楽しいことを追いかけてる後輩たちが。羨ましかった。そんな後輩たちを仕切って楽しそうにしている親友が。


 2年前のあの日、閾の日のことをトモヤは思い出していた。あの時は高校一年生だった。






「トモヤ、おはよう。」


 登校していたら後ろからカグヤが走ってきた。カグヤはそのままトモヤの隣に来る。


「あの課題問題難しくなかった?俺、塾の先生に質問してやっとわかったよ。トモヤは?」


「結構簡単だったよ。」


「ホントかよ。」


「嘘ついてもしょうがないだろ?」


「それもそうか。」


 カグヤはトモヤと歩きながら向こう側にいる中学生の方を見る。


「どうかした?」


「いや、後輩たち元気かなって。ラクは元気だけど、アラタとかハルキとか。部活うまくやってるかとか、気になって。」


「まぁ、大丈夫だろう。」


 カグヤとトモヤは学校につき、いつも通り教室に行ってその後、いつも通り授業を受けていた。





 突然だった。トモヤとカグヤが体育の授業で外に出た瞬間、突然校舎中に爆発が起き、後ろを振り向いたら校舎が崩れていた。トモヤは困惑した。学校以外でも建物が崩れたり爆発したり燃えたり水が流れたりと、ありとあらゆる場所から悲鳴が上がってきた。他の生徒達も困惑している。いきなり燃え盛るものや、水が手から出てきて勢いよくふっとばされるもの、体が変形するものもいる。幸いにもトモヤはほとんど体に変化はなかった。しかし、カグヤは隣で苦しそうに頭を抑えていた。


「おい、大丈夫か?」


「うっ....あぁ、なんとか...何だこれは?」


「分かんねぇ、いきなりみんなから炎が出たりいろいろ。家族が心配だ。早く家に行こう!」


 あたりを見渡すとみんなパニック状態だ。体から血を流しているものもいる。トモヤが家に向かって走り出そうとして振り返ると、カグヤは走って瓦礫の方へ向かっていた。


「おい、カグヤ、何してるんだ?危ないぞ!」


「でも助けないと!瓦礫の下に人がいる!」


「おまえ、よく考えろ!何が起きているのかわからないんだぞ!そんななか突っ走ってオマエも怪我したり、最悪死んだりしたらどうするんだよ!」


「その時はその時!今助けられたのに見捨ててそれで人が死んだりしたらそっちのほうが立ち直れなくなるから!」


「お、俺は知らねぇからな!」


 トモヤは救助を始めようとするカグヤを背に走りだした。


 トモヤは途中、中学校の前を通った。ここも高校と同じように崩れていて、色んな人の鳴き声や悲鳴が聞こえてきた。


「大丈夫か?俺の手を握れるか?」


 アラタがいた。アラタは瓦礫の中にいる女子生徒に手を差し伸べていた。


「おい、目を開けろ!おい!」


 ラクが倒れている男子生徒に心臓マッサージをしている。ラク自身も体が傷まみれで、体から尻尾や翼が生えていた。


「ラク、そいつは死んでる。」


「死んでない!生き返るかもしれない!アオイは...」


「変な幻想を抱くな。残酷だが、他の人の救助が先だろ。死人に時間をとって他の人が生き残る機会をなかった頃にするつもりか?」


 珍しくハルキが真面目な口調でラクを叱っていた。


「おい、お前等、何やってるんだ?」


「あっ、トモヤ先輩!」


 ソウヤが駆け寄ってくる。ソウヤには黒いすすがついていて、さらには体から物騒なものが生えていた。


「見ての通り、救助です。」


「救助ですって、どう見てもお前の体普通じゃないし、救助されるのはそっちの方だろ!」


「いや、でも部活でカグヤ先輩が人が困ってたら助けろって言われていたんで。」


 トモヤは不意を疲れたような顔をした。後輩たちはカグヤから言われたことを守っていたのだ。人が困っていたら助ける。当たり前のことだ。そんなことも自分はできなかった。いや、やらなかった。トモヤは自分が恥ずかしくなった。だけど、今はそんな話をしている暇はない。家族優先だ。正直彼らの考えは理解できるようで自分とは根本的に違うとトモヤは思った。目の前で助けを求めている人を助ける。それは間違ってない。だけど、家族を助けに行かずに他人を助けるのはどうなのか。あくまで他人は他人。他人を助けられなかった後悔より家族を助けられなかった後悔のほうが大きいだろう。やはり俺とは考え方が違う。


  悲鳴が聞こえる。助けてという声が聞こえる。トモヤは無視して家に向かって走り続けた。







 あの時の自分の判断は間違っていたのだろうか。家族はあの後助けられた。だが、街の人達は大量に死んだ。確かに後悔はしている。だが、家族は助けられた。それに比べてカグヤは両親をなくした。そんなカグヤをトモヤはどこか軽蔑していた。


「一緒に入る気ない?」


 カグヤがそう言ってきたときは驚いた。まだコイツは他の人を助ける道を歩み続けようとするのかと。だが、トモヤはそのカグヤを心の何処かでバカにしていたのとは別に、自分も第3勢力に入って人助けをできたら、あの時からある心のモヤモヤが晴れるんじゃないかと。


「気が向いたらな。」


 結局トモヤは濁して逃げた。


 それからトモヤは後悔した。入っておけばよかったんじゃないかと。


 もう一度真剣組に入るチャンスは意外とすぐ来た。マリオネットの時だ。トモヤはみんなを守るために真剣組が戦っているのを目の当たりにした。ここでも自分はじっとしていて良いのか?ただ守られていたら良いのか?いや、今度こそ、あのモヤモヤを晴らしに行こう。






「ゴボッ、、、」


「二ヒィ!」


 自分の体に刃物が貫通している。口から血を吐いている。目の前にはニヤニヤしているゴミがいる。


「トモヤ先輩!」


 ラクが駆け寄ってくるのを黒い獣が邪魔をする。


「邪魔だ!」


 ラクは手を変形させてツタを出し、黒い獣を縛り付けた後に爪で滅多刺しにしてハンマーのような尻尾で吹っ飛ばす。そしてそのままトモヤの方へ走った。


「うーん、一体だと倒せるんだ。」


 ナイトメアは指をくるくると振る。すると先程の獣が5体ほど召喚され、ラクに襲いかかる。


「ふぅ、これでしばらくは無理だろう。」


 ラクの方からトモヤの方へナイトメアは目を向ける。


「トモヤ先輩から離れろ!」


 ソウヤも傷まみれだがナイトメアに向かってミサイルを打ち込む。


「もー、今は僕が楽しんでいるんだよ?邪魔しないでくれるかなー。」


 ソウヤに向かって針が雨のように降りかかり、ソウヤは痛そうにする。そのまま何も触れていないのにソウヤに衝撃が走り、吹き飛ばされた。


「おい!」


「おっと、もう一人いた。弱すぎて忘れてたね。」


 ミクの周りにいきなり拘束器具が現れ、ミクを拘束する。まぶたも閉じられないように金具が付けられる。


「君には仲間の死をまじまじと見てもらおうかぁ。」


 ナイトメアは刃物をねじる。トモヤの傷口が開き、トモヤが更に血を吐く。


「おい!やめろ!」


 ミクが叫ぶがナイトメアは無視をする。


「ねぇ、今、怖いかい?怖いよねぇ、怖くないはずがないよねぇ!もうすぐ死ぬんだよ?」


 トモヤはナイトメアを睨む。


「今君は、何を思っている?」





 あぁ、もう自分は死ぬんだ。実感する。寒い、いや、温かい、、、よくわからない。本当に死が近づいているようだ。自分は何ができただろうか。柊トモヤは何を残せただろうか。真剣組に入らなければこんなことにはならなかった。自分は死ななかった。あぁ、また後悔が残るんだな。




「...まだ、まだだよ...」


 トモヤはナイトメアを睨みながら握りしめていた指揮棒を振る。


「俺が...死んででも...後輩たちは死なせない!」


「ん?コ゚ブオェェェェ」


 いきなりナイトメアが嘔吐する。


「何をした...!」


「俺の...今..できる...最大限の...こと。お前に...デバフを本気でかけた...仲間には最高のバフを...!」


 黒い獣たちが向こうの方で吹き飛ばされる。


「獣装備!」


 ラクが大声で叫び、トーナメントの時に見せた複数の動物の能力の同時使用をしてナイトメアに駆け寄ってきた。とてつもないスピードで。


「ッ!」


 ナイトメアは吐きながらポケットから拳銃を取り出してラクに向ける。明らかにおぞましい見た目で、普通の銃ではない。


「させるかよ!」


 ソウヤの撃った弾丸にナイトメアは腕を撃ち抜かれる。ナイトメアは不意を付かれたが、そのままラクの方を向き、警戒態勢を取る。防御姿勢だ。


「はぁぁぁ!」


 ラクが正面から殴りかかってきた。ナイトメアはなんとかそれを両手で受け止める。


「くッ!」


 ナイトメアの顔が少し苦しそうな顔をする。


「今だな!任せたぜ、先輩!」


 ナイトメアがちらっと後ろの方を見る。そこには手に炎をまとってナイトメアに駆け寄ってくるミクがいた。拘束器具は熱で壊されていた。


「さっきはよくも弱すぎだと言ってくれたな!これでも喰らえ!紅焔拳(こうえんけん)!!!」


「ニシローランドゴリラ!」


 ラクは腕をゴリラに変形させ、ミクと同時にナイトメアを殴った。


「グワッハッ!」


 ナイトメアは白目をむき、転がる。


「あぁ、僕は今、最高に恐怖したよ。ゾクゾクしたよ。快感だ...」


 ナイトメアはそう呟くと、体が崩れ、大量の虫になって散り散りになって逃げた。


「逃がすかよ!」


 ラクは鳥や爬虫類など虫の敵になる動物を次々と召喚した。それぞれ虫を食べるが、毒があるのか食べた瞬間に召喚された動物たちは死んでいった。


「トモヤ先輩!」


 ラクたちはトモヤにすぐに駆けつけた。トモヤの目に泣きながら自分に近づく後輩たちが写った。



 後悔、真剣組に入らなければ...死ぬこともなかっただろう。だけど、まぁ、真剣組に入れて、自分は幸せものだったかもしれない。


「俺、カグヤみたいないい先輩になれたか?」


「もちろんです!もちろんですから!」


 ソウヤが泣きながら答える。


「そうか...なら、良かった。あぁ、全く。俺らしくないや。」


 トモヤはゆっくりと目を閉じた。




真剣組初の死者ですね。このキャラを作ったときから殺すことは決めていました。最強バフキャラですが、まぁ、なかなかにそのバフ量はチートでこの世界では最強クラスのバフ量でしたね。更に相手を弱体化させられる。星野イオと互角に張り合えたナイトメアをラク、ミク、ソウヤの3人で倒せるようになるほどまでナイトメアを弱体化させて3人を強化した功績は大きいです。トモヤ無しでは全滅だったでしょう。

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