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樹冠祈願  作者: レニペン
第1章〜カグヤの命〜
30/39

悪夢

30話、第一章ラストスパート突入です!




 9月8日 午前8時4分 霧里駅にて長髪の男が一般人23人を殺害。通報が入り、神環が出動する。


     午前8時27分 現場に向かった神環職員3人殉職。


     午前8時35分 霧里駅付近の住宅街で火災発生。多くの人が避難するが、56人が短髪の男によって殺害される。


     午前8時56分 神環の颶風(ぐふう)ユウジ、現場に到着。長髪の男と交戦。腹部に重症。


     午前9時7分 真剣組が現場に到着。







 「みんな、今回の相手はマリオネット級で間違いない。おそらく歴代で一番の強敵だ。だから、班に分かれて行動しよう。まずはA班。タカマ、ツバキ、ヒビキ。3人だ。配置は避難所。ツバキは看病、ほか二人は敵の襲撃に備えて警備だ。B班、俺、アラタ、ハルキ。住宅街の短髪の男の方に行く。C班、ラク、ミク、トモヤ、ソウヤ。長髪の男の方に行く。あくまで俺ら真剣組の役割は救助だ。戦闘がやむを得なければ戦闘はしていいが、危険だと判断したら速攻逃げること。」


 カグヤが車内で他のメンバーに命令を出す。車は神環のバスで、現場の街まで送ってくれる。


「私はここまでです。みなさん、ご武運を。」


 年老いたドライバーは真剣組にむかって一礼し、見送った。


「じゃぁ、また後でな。」


 トモヤがカグヤにそう言ってラクたちと共に駅の方へ走っていった。カグヤは『おうっ!』と返事をしてアラタとハルキを連れて住宅街へ。ヒビキたちも避難所へと、それぞれ行動を開始し始めた。


「にしても、先輩、神環の職員が死んでいるって結構やばくないですか?俺死にたくないですよ!」


 アラタは走りながらカグヤに訴える。


「俺、死にそうになったら先輩ら見捨ててでもにげますから。恨まないでくださいね。」


 ハルキが飛びながら言う。


「オマエなぁ...」


 アラタがハルキのセリフを聞いて少しため息をつく。カグヤはその会話を聞きながら炎が燃え盛る住宅街に走っていった。





「うわ、オッエ゙!」


 ミクが吐き気を我慢する。無理もない、眼の前に死体の山が広がっていたのだから。


「みんな、警戒を。武器を取り出していつでも戦闘できるように。」


 ラクが他3人に言う。


「にしても、これはひどいな。」


 トモヤが死体の山を見上げて言う。


「じゃぁ、みんな様子見に行ってね。」


 ラクはネズミを召喚し、駅の方へ走らせる。


「これであの子達に駅の中を見てもらって、それで敵の能力を探ろう。そうすれば...」


 ラクはそこまで言って話すのをやめた。顔が少し青ざめていく。


「おーい、ラク?どうした?」


「ネズミたちの生命を感じられなくなった。あの子達、殺されたみたい。全くなんの情報もわからなかった...」


 ラクは駅の方を睨む。


「......僕が一番最初に入る。その後は僕がメインアタッカーとして戦う。ソウヤ先輩は遠距離射撃で援護、ミクは生存者が中にいないか確認して。トモヤ先輩はとにかくバフを掛けまくって。もし生存者がいなければ解散、とにかく逃げることだけを考える。OK?」


「わかった。じゃぁ、お前等全員で全力で俺を守れよ。」


 トモヤは指揮棒を取り出し、振り始める。ラク、ミク、ソウヤの体が軽くなる。


「ありがとうございます。じゃぁ、」


 ラクはカラスの姿に変わり、さらに鳥類を大量召喚し、駅の中に飛んで入っていく。その後ろにミク、ソウヤ、トモヤと続く。


「なっ!」


 駅に入った瞬間に鳥たちが斬り刻まれていく。前方から刃物が雨のように降ってきている。ラクは刃物を避けながら進んでいく。


「俺に任せろ!」


 ソウヤが背中のアームからマシンガンを撃ち、刃物を破壊していく。


「おや?少しは遊び甲斐がありそうなのが来たみたいだね!」


 黒髪長髪の男がニヤリと笑いながら飛んできたラクを見つめた。







「もう大丈夫です!俺達が避難所まで誘導します!」


 カグヤは瓦礫の中にいた女性に手を差し伸べる。


「ヒッ!」


「大丈夫、あなたの味方です。」


 カグヤは女性を引き上げる。


「先輩!こっち側には生存者いませんでした!」


 アラタが瓦礫の上から言う。


「...そうか。じゃぁ、アラタ、ハルキ。みんなを避難所まで送るぞ!」


「はーい、みなさーん、こっちですよー。」


 カグヤの誘導に救助された人たちがついていく。動けないような怪我をしている人はアラタやハルキ、比較的怪我をしていない人たちに抱えられている。


「カグヤ先輩も怪我人運んだらどうですか?」


「運びたいは運びたいんだけど、奇襲にあったりしたら俺が動けなかったら詰むだろ。」


「おぉ、なるほど...」


 アラタは納得してカグヤについて行った。







「ヴェロキラプトル!!」


 ラクの声と共に中型の恐竜が5体ほど召喚され、長髪の男に襲いかかる。


「あっはは!君、前会ったときは全く僕が気に留めないくらい弱かったのに成長したね!」


(前会った時、、、黒髪で長髪の男、、、トーナメントの時奇襲に来たやつか!)


 ラクは相手の攻撃を交わしながら相手の気を引くために返事をする。


「前会った時?覚えてないな。僕といつ会ったか教えてくれたら嬉しいな。」


「へー!一人称『僕』なんだ!僕とおそろいだね!親近感湧いちゃうなぁー。」


 長髪の男は手から刃を出してラプトルを蹴散らす。


「そういえば、あの時僕は君には自己紹介してなかったっけ。僕は闇ノ九柱第1位、ナイトメア。よろしくぅ!」


「第1位...たしか第3位がマリオネットだったよな。それともう一人トーナメントで凸って来たやつが5位...」


「そんな戦いの最中に考え事、感心しないなぁ!ほら!」


「っ!」


 降り注ぐ刃物をラクが避けた隙にナイトメアは距離を詰め、右手でラクに殴りかかる。ラクはそれを避けるが、避けた瞬間にラクの体が燃え始める。


「あはははは!」


「ラク!」


 後ろから援護していたソウヤが叫ぶ。


「すばらしい!なんという生命力!君はあの方が言っていた通りダイヤの原石だ!」


「痛いんだぞ。人の気持ち理解しろ!」


 炎の中から勢いよくラクが出てくる。ラクは火傷痕を再生させながらナイトメアに向かって長く伸びた爪で斬りかかる。


「うわぁお、さすが。」


 ナイトメアに爪が貫通するが、ナイトメアはラクを蹴り上げ、2メートルほど下がる。ラクはふっとばされて、ナイトメアの腹は即座に再生する。


「っ!痛てぇ!」


 ラクは受け身を取って、戦闘態勢に戻る。


「ラク、一旦下がってろ。」


 ソウヤがマシンガンとロケットランチャーを連射する。ナイトメアはそれを走りながら避ける、ミクもリリアが作ったスナイパーを構え、ナイトメアに自分の火球をとばす。トモヤのバフがかかっているので威力は高く、壁に穴が開くレベルだ。ナイトメアは避けて走り続ける。


「アフリカゾウ!」


 ラクが唱えるとナイトメアの眼の前に象が召喚される。ナイトメアは一瞬でそれを斬り刻むが、良い足止めにはなったようでソウヤ、ミクの攻撃があたりナイトメアは壁にめり込むほど吹き飛ばされる。


「あぁ、いい!凄く良い!」


 瓦礫の中から笑いながらナイトメアが出てくる。


「君たちはなんでこんなに強いのかなぁ...トーナメントのときは雑魚だったのに。あぁ、なるほどねぇ。バッファーが強いんだぁ。僕にデバフを、君たちにバフを。なんとまぁ、優秀なバフなんだろうなぁ。あっ、今僕のこと怖いって思ったでしょ。今君たちが一番怖がること...僕が本気を出してなかったと分かることと、自分たちの能力を僕が理解していること。それから...『死』への恐怖、だろ?」


 周りの空気がピリつく。


「僕の能力は『恐怖』。君たちが最も恐れていることを成し遂げてあげよう。」


 ナイトメアの後ろから黒い巨大な獣が現れる。


「ノクターン・サクリファイス!」


「ライオン、インドライオン、スマトラトラ、アムールトラ、リカオン、ブチハi、、、」


 ラクは思いつく限りの肉食動物を召喚し、対応しようとするが、黒い獣に殴られて飛ばされる。ラクは翼を広げてうまく着地をする。その隙にナイトメアは乱射するソウヤに距離を詰め、蹴り飛ばす。そのままミクも殴り飛ばされ、トモヤめがけてナイトメアが走る。そしてそのまま、ナイトメアは手を刀に変形させてトモヤを刺した。トモヤは一瞬驚いた顔をして、そのまま血を吐いた。ラクが焦った顔で駆け寄ってきていた。





トーナメントの時と今ではカグヤ、アラタ、ラクの実力はかなり違います。また、ナイトメアはトーナメント会場にラクがいたことは覚えていましたが、同じく現場にいたミクに関しては全く覚えていません。

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