すべての始まり
第2話!
カグヤは考えていた。『ギャラクシー』が、『星野イオ』が学校に?なんで?まぁ、今考えてわかることではない。どうせこのバカな後輩たちに聞いてもわからないだろう。少しの期待感と緊張を胸に、学校までの道を行く。世界トップクラスの能力者、、、テレビでは見たことあったけど、実際はどんな人なんだろう。
カグヤは後輩たちと別れ、教室に入る。今日は全校集会があるらしい。内容はわからないが、どうせ星野のことだろう。少しワクワクしていた。すると、カグヤを後ろから呼びかける声がした。柊 トモヤ。同じ部活の親友だ。黒い髪に、灰色っぽい目。少し皮肉屋で、だけど根はいいヤツ。冷静で頭が良い人間だ。
「聞いたか?カグヤ。今日ギャラクシーがこの学校に来て、話があるらしいぞ。」
「さっきアラタに聞いた。」
「そうか。何の話なんだろうな。オマエ、なんかやらかしたか?」
「なわけねぇだろ!やらかしたとすればあの後輩らの方だろ。」
「おっ、そろそろ行っとこうぜ、体育館。」
二人で体育館に向かう。まさかあのバカ共も、政府が動くほどの馬鹿なことはやってないだろう。少し不安ではあったが。
体育館は賑わっていた。無理もない。あの星野イオがここに来ているんだ。一生に一度あるかないかだろう。他の学校に自慢できることだ。
数分後、先生が静かにしなさいと言う。だが、先生らもどこかソワソワしているように見える。まぁ、無理もないか。
校長が話し始める。
「えー、皆さん。今日は大変なニュースがあります。なんと、この学校に、あの神環トップの星野イオさんがいらっしゃっております。皆さん、失礼のないように。それでは。」
声が明らかに緊張していた。
ついに来る。世界最強が。ここに!
足音が体育館中に響く。その音だけでも威厳のようなものがある。そして、ついにステージの上にそれは姿を表した。
「皆さん、はじめまして。私が、神環最高指揮官の星野イオだ。」
その低めの女性の声に教室中が静になる。圧倒的カリスマ性、圧倒的強者感、この威厳たっぷりの声。すごい。それしか乾燥は思い浮かばなかった。
「私がここに来た理由を単刀直入に話そう。戦力集めだ。」
えっ?今なんて言った?体育館中がざわめく。
「2年前のあの日からの社会を、能力者社会とでも言おうか。この社会で、能力は全てだ。能力は自分で選べない。つまり、運だ。運によって強さが決まる。残酷だが、事実だ。それは、子供が強い能力を持つこともある。そこで、私達は考えた。決して強い能力者が必ず神環に全員入ってくるわけではない。だから、一般人から政府軍に入りたい強い能力者を模擬試合トーナメントを開催して募集しようと思った。年齢は関係なく、模擬試合トーナメントに参加する権利がある。」
なるほど、神環は強い能力者を探しているのか。驚きの声で体育館がどよめくが、星野が話し始めると同時にみんな黙った。
「無理強いはするつもりはない。君たちの意思が1番だ。それに、この試験は怪我をする可能性が高い。国民にそのような行為を強制するつもりはない。それでも参加したい者は、後で名乗りあげてくれ。質問がある者はいるか?」
「はいっ!」
一人の声が響き渡る。勇敢なやつもいるものだな。さて、どんなやつがどんな質問を、、、
手を上げていたのはアラタだった。ヤバい。あのバカ、何を質問するつもりだ?
「星野さんってバストサイズ、どれくらいありまs、、、グハッ!」
即座に他の生徒に口を塞がれ、押し倒されている。やっぱりだ。あのバカ。
「あのー、質問いいですか?」
次は誰だ?
「寝てたので最初から説明お願いします。」
馬鹿だ。馬鹿その2だ。そしてその馬鹿その2の正体は、紛れもない自分の弟、ラクだ。自分まで恥ずかしい。ラクは隣の生徒になにか耳打ちされた。おそらくなにか説明を受けてるんだろう。聞き終わったあと、驚いた顔で大声で
「マジで?!えっ?!マジで?!」
その反応はさっきみんな終わってる!恥ずかしいからやめてくれ!
「コ゚ホン!えー、他に質問のある者はいないか?日時と会場は後日知らせる。立候補者は名乗りあげてくれ。」
星野の声にみんな黙る。立候補者は誰か行くのか?そうだよな。誰も行きたがらない。弱い能力者が出場しても痛いだけで終わりだ。
その時、誰かが手を上げた。
「最強である俺が参加する!」
アラタだ。さっきの件があったからかクスクス笑い声が聞こえる。しかし、知ってる奴らは黙っている。そう。アラタは強い。
アラタの能力は『爆迅』。自身のスピードを瞬間的に爆発的加速をさせる。スピード特化で、そのスピードに乗せられた拳の破壊力はものすごい。もし誰かと対戦するなら先手を取りやすく、強力な能力だ。彼は出場にふさわしいだろう。
さらにもう一人手を挙げる。ハルキだ。
「俺も!!」
無駄にデカい声が響き渡る。
ハルキも強い。彼の能力は『風走』。風を操れる。その能力で加速力、跳躍力、防御力などを上げられる。
そして、、、もう一人手を上げた。
「なにそれ!面白そう!」
ラクだ。我が弟だ。ラクの能力はカグヤは知り尽くしている。彼の能力は『生物』だ。ラクは体やその一部を動物に変形させたり、生物を召喚できる。召喚したものはラク曰く『生物の形をしたなにか』であり、召喚解除とともに消える。もちろん制限はあり、彼が見たことのある生物の能力しか使えない。しかし、昔からの動物好きのラクにその制限はないようなものだ。その能力は空を飛んだりできるので非常に便利な能力だ。正直羨ましい。
そして、カグヤも手を上げた。
ラクが驚いた顔をしている。やめておけといった顔だ。カグヤは確かに強い能力を持っている。しかし、ラクは不安だった。無理もない。カグヤの能力はラクとイツキ、そして親友のトモヤしか知らない。カグヤが広めるのを避けているからだ。それに、彼の能力はカグヤにとっても対戦相手にとっても危険だ。
カグヤの能力は『命火』。自身の命を削り、高威力を繰り出す。しかし、本人は無駄に命を使いたくないため使用したことはほとんどない。制御できる保証はない。強力な能力が故、制御できないのは相手にとって危ない。ラクたちが心配しているのはカグヤの命と相手の命、両方ともだ。
それでも、カグヤは手を上げた。理由は2つ。一つは心配だから。つまり、過保護だから。もう一つの理由は、自分がどこまで行けるのか試してみたいという思いだ。この能力は戦闘のためだけの能力だ。今使わないでいつ使うんだ。不安だ。心配だ。だけど、、、カグヤは少しワクワクしていた。
裏設定(?)カグヤが自身の能力を知っているのは能力を分析する機械のようなものがあり、それで調べました。(発明系の能力者が作ったらしい。)この世界では国民は1回は自身の能力を調べることが義務付けられています。