頂上
第10話!
星野イオは冷静だった。今自分がやるべきことは目の前にいる黒髪長髪の男に勝つことだ。おそらく他のものだと相手にならない。間違いなく強い。他の人々を巻き込まないために競技場や住宅街から離れた上空をバトルフィールドに選んだのは正解だっただろう。
「私は世界最強クラスの人間だ。私の存在がこの世界の悪への抑止力になっている。私は君に負けるわけには行かない。」
「へー、じゃぁ、君が負けたら沢山の人が『恐怖』を味わうんだぁ!面白い!」
「星域!!」
星野イオの半径1km程が微小重力空間に変わる。自分にとって戦いやすい状況であり、市民への被害を最小限に減らすために星野イオが思いついたことだ。
「なるほど〜、さすが最強の能力者『ギャラクシー』。市民への安全への配慮は忘れないんだぁ!」
「随分余裕そうだな。残念ながら私にはそのような余裕はない。地上のトーナメント参加者や市民たちが心配でね。早く終わらせようか。コロナ・スフィア!!」
ギャラクシーは恒星を模した光弾を放つ。本来なら山一つ破壊できるほどの火力だが、市民への影響を考え、50分の1ほどの火力に設定していた。
「宵闇葬!」
黒髪の男はそう唱えると、大きな黒い手が現れ、その光弾を握りつぶした。
「そう焦らずに自己紹介くらいさせてよ〜。僕はナイトメア。闇ノ九柱、第1位だよ。」
「道理で強いわけだ。コードネームじゃなくて本名を教えてほしいんだが。」
「嫌だよ〜。だって、本名がわからないほうが怖いでしょ?」
「そうか。」
「僕のこと、怖いかい?」
「さぁな。」
星野イオは腕にエネルギーを貯める。
「させないよ。メア・シャドウ!」
ナイトメアがそう唱えると、星野イオの後ろに黒い影が現れる。星野イオはそれに気づき、咄嗟に殴り潰す。
「無効化された?へぇ!君、恐怖を制抑できるんだぁ!面白い!」
「今のは精神技か。」
「そうだよぉ!でも、すごく広範囲技だから今頃地上では恐怖の波紋が広がってるかもねぇ。」
星野イオは地上を見下ろす。苦しそうにもがいている市民の姿がいくらか見えた。競技場とは気づけばだいぶ離れており、影響はおそらくなさそうだと判断する。一刻も早くこの男を倒さなければ、市民の精神にもっと大きな負荷がかかるかもしれない。
「よそ見厳禁!ドレッドブレイク!」
またナイトメアが唱えるが星野イオにはなんの影響もない。
「やっぱり精神攻撃は殆ど効かないみたいだねぇ!物理攻撃だけしか使えなさそうだなぁ。」
そう言ってナイトメアは手を星野イオにかざす。それと同時に無数のナイフが星野イオめがけて飛んでくる。
「ブラックホール・ゼロ!」
星野イオは小規模のブラックホールを召喚し、ナイフをすべて吸い取る。もし避けたら地上の人々に包丁が降ってきてしまう。星野イオはそのことを瞬時に理解し、最善の方法を選んだ。
「おどろいた?僕の能力は『恐怖』。恐怖を操り、新たな恐怖を作る。つまり、僕自身が恐怖そのものだ。概念系能力だから強いんだよぉ!僕はね、多くの人が恐れるものを召喚することもできるんだ。ナイフとかぁ、炎とか!」
「おしゃべりが多いな。さっきから私は防御ばかりに専念してしまっていた。済まない。今から攻撃に転じる。」
「ん?」
星野イオは距離を一瞬でつめ、、、本当に一瞬だ。ほぼ瞬間移動だ。ナイトメアを光の速さで連続パンチをする。ナイトメアはゴボッっと言い、苦しそうに胃液を吐く。
「さっきまでの威勢はどこに行ったんだ?ナイトメア!」
ナイトメアは白目をむき、ふっとばされる。数m先の上空で体制を整える。
「あぁ、僕は今、君に恐怖したよ!怖いと感じたんだ!君は恐怖に恐怖を与えたんだ!素晴らしいと思うよ!あはは!」
「狂ってるな。」
「ノクターン・サクリファイス!!」
ナイトメアの後ろから巨大な黒い獣が現れる。
「やるな。ならば、、、」
星野イオは獣の攻撃をうまく交わしながら詠唱を始める。
「――我が中に満ちるは、遥か宇宙の記憶。万象に宿りし塵が、いま、意思を持つ、、、」
辺りに輝く無数の魔法陣が展開される。
「これはまずいかもね。まぁいいや。十分楽しめたし、また会おう。」
「逃さん!」
星野イオは詠唱を途中でやめ、ナイトメアへ殴りかかる。しかし、黒い獣がナイトメアを星野イオの攻撃から守った。
「僕はあくまで見定めに来たに過ぎない。“終わりの王”にとって、君は最後の障害になるからねぇ。」
そう言うとナイトメアは闇の中に消えていった。
「待て!」
待ってくれるはずもなく闇のポータルはすぐに消えた。星野イオは瞬時に自分の次にやるべきことを考えた。競技場の選手たちを守りにいかなくては。競技場の方を見る。それと同時に競技場の敵のオーラも消えていった。
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