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猪突猛進!豚魔法 ~デブでブサイクだけど、最強めざして突っ走ります!~  作者: 大沙かんな
余裕綽々!豚魔力編

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3-2. 新たな領域へ

 翌朝、マコちゃんが走るそうなので、俺も久々に彼女と一緒に走ることにした。


 準備体操の後、負荷を上げて一般的な速度に落として、練習場の周囲を周回する。この走り方なら最初の頃のように学園の中を走っても問題ないのだけれど、マコちゃんにはまだ不安があるようだ。


 俺は超加速を切って、以前のようにぷりんぷりんについていく。やっぱり依然とは何か違うなぁ、レベルが上がったからかな、そう思ってよく見ると、マコちゃんの足が地面から浮いていた。走りながら、同時に足場の訓練をしていたようだ。


 これは負けてられない。俺も走りながら結界っぽいものの訓練を行う。魔力循環は常時やっていて問題ない俺だけれど、表面魔力を結界っぽくするのはなかなか厳しくて、どうしてもサボりがちになってしまうのだ。もう少し自分に厳しくしないといけないな。


 走り終わると以前なら並んで素振りをしていたのだけれど、今日は二手に分かれて、マコちゃんは素振り、俺は超加速での全力疾走に移った。町の上を走ると目立つという意見があったので、昨日より高度を上げて、大河の上空を走る予定だ。


 別れて走ると言っても、超加速なのですぐに終わる。走り終わって合流すると、マコちゃんはやはり、少し体を浮かせた状態で素振りをしていた。昨日の朝よりも調子は良さそうだ。


 他の仲間を見ても、昨日と同じくらいには戻っているように見えるので。レベルが上がったことの影響は、やはりあまり大きくはなかったように思える。


 朝食を挟んで個人練習に移ったところで、俺は魔法練習場に移動した。大盛りお弁当たちも一緒だ。スバルはアキコやハルコと一緒に久々にしっかり弓を引いてみるらしい。二人がいれば結界も張れるし、事故が起こっても治癒できるので問題ないのだ。



 午後はダンジョンに行くのだけれど、このレベルになってしまうと適正な妖獣が何で、それがどこにいるのかという情報が見つからない。魔法陣での移動ももちろんできない。


 昨日のダンジョンの後、イスズが学園の図書館でかなり調べたらしいのだけれど、レベルすらわからないような、本当にいるのかも怪しい伝説のような妖獣しか見つからなかったそうだ。もちろん居場所なんてわからない。


 実際、レベル四十台の妖獣ですらあまり情報がなくて、俺たちが狩った妖獣モアーの他には、妖獣シカーというのがいるというのがわかっているぐらいだ。そんな状態なので、そりゃトノサマなんか、一体何者なのかわからないだろう。


 これからはダンジョンの中を探索しながら進んで行くしかない。瞬間移動でうまく狩場の移動ができないようなら、半日では目的地にたどり着けないということも出てくるはずだ。数日間ダンジョンに籠りっぱなしになるかも知れない。


「なんか冒険ぽくなってきた感じだな!」


 相変わらずキイチロウは能天気でいいよなぁ。


「まずは昨日のモアーの辺りから奥に進んでみる?」

「モアーはしばらくいいや。どうせなら違う妖獣を狩りたい。」

「それなら妖獣シカー? モアーと同じレベル四十台って言う話だし、魔法陣もあるし。」


 今日はレベル上げというよりも、妖獣を倒しながらさらに奥地を目指し、新たな妖獣の情報やダンジョン内の地理を把握することが主目的になる。最初に買ったグループ用の道具類が役に立つ日がやっと来たのかも知れない。


 自力で魔法陣を設置できればいいのだけれど、俺たちの妖術ではまだそこまでのことは出来ないので仕方ない。旗がうまく使えればいいのだけれど、さてどうなることやら。



 妖獣シカーは、大きさは全く違うがシバーのような四つ足の妖獣で、頭から木が生えているのが特徴だ。絵を見る限りでは、首や足が長く、シバーよりはすらっとした印象だ。


 シカーの領域には、レベル四十台の妖獣の住処としては唯一、魔法陣が設置されている。とはいえ、これはシカー狩り人気のためではない。そもそもレベル四十台の妖獣を狩るような人はそうはいない。


 もともとこの領域はもっとレベルの低い別の妖獣が縄張りにしていて、その妖獣のために魔法陣が設置されたそうなのだが、そこにシカーが現れて元の妖獣を駆逐して乗っ取ったのだとか。


 妖獣の領域が大きく変わるなんてことは、あまり聞かない話ではある。しかし長い年月の間にはそういうことも良く起こっているらしく、そんなに珍しい話でもないみたいだ。



 準備体操も終わり、妖獣シカーの縄張りへの魔法陣に乗る。周りには俺たち以外には誰もいない。移動が終わって周囲を見ると、洞窟としては広い感じがするが、モアーの領域のような広々としたものではなく、足元には石がごろごろしていた。かなり足元は悪そうなので注意が必要だ。


 少し進むと四つ足の妖獣がいた。シカーかな? 絵の通りと言えばその通りだけれど、頭から木は生えていないようだ。スバルがさっと矢をつがえて放つ。


 え? 外した!?


「弓を変えたから、ちょっと練習が必要なのよ。」


 ああ、そういうことか。


 こちらに向かってきたシカーはあっさりハルコの薙刀の餌食になっていた。


「頭に穴。」


 なんのこっちゃ? ハルコに呼ばれて見てみると、倒したシカーの頭には確かに穴が二つ空いている。ここから木が生えていたのが、抜けたのかな? よくわからないな。倒したシカーを血抜きして麻袋につめ、先へと進む。


 最初に出会ったシカーはレベル四十ほどだったが、先へ先へと進むうちに、レベル五十のものがちらほら出てきた。ここまで二十匹ほど狩って、すでに解体場送りにしてある。頭に穴が空いているヤツはいたが、木が生えているヤツはまだ見ていない。


「このあたりで一度、釘を打っておかない?」

「そうしてみようか。」


 イスズの指示に従って、釘に白いリボンを結び付けてから、目線ぐらいの高さでダンジョンの岩壁に打ち付け、そのあとにしっかりと小さな結界を張った。イスズは何かをメモしている。どこに何を打ち付けたのかを記録しているのだろう。


 リボンは白、黒、赤、青、黄、緑の六種類なので、六ヶ所を区別できる。そう思って買ったんだけど、イスズによれば二色を組み合わせれば二十一ヶ所、さらに釘二本使えば四百ヶ所以上を区別することが出来るそうだ。



 そんなにたくさん釘を買ってないので、あとで買い足しておかないといけないな。


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