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猪突猛進!豚魔法 ~デブでブサイクだけど、最強めざして突っ走ります!~  作者: 大沙かんな
威風堂堂!豚魔術編

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2-7. 見えない表面魔力

 みんなで食堂で昼食を取っていると、先ほどの基礎体術の授業の感想に話題が集中した。誰も表面魔力とやらの欠片すら掴むことが出来なかったようで、何かきっかけを欲しがっていたのだ。


「ああもう、全くわからなかったわ。」

「俺も。本当にわかるようになるのかなぁ。」

「信じてついていくしかないでしょ。」


 信じて良いと考えてはいても、それでも心のどこかで信じていいのかどうかを迷っているのだろう。話の筋は通っているようだったけれど、あまりに素っ頓狂な運動だったし。


 俺は時空術も選択しているので、アヤノ先生の授業は二回目だったこともあり、他の仲間たちよりも先生への信頼度が高かったと思う。それでも「これ本当なの?」と思う気持ちはそれなりに強い。


「エイタにも見えないのか?」

「ああ、まったくわからん。」


 俺もまだ感じることは出来ないと正直に話した。


「豚魔法の敗北。」


 うん、魔力なら絶対わかると思っていたのにわからなくて、ちょっと自尊心に傷がついたんだよね。


「アヤノ先生って空を飛んできたよね?」

「ああ、あれにはびっくりした。」

「時空魔法はかなりの腕前なんだと思う。回復魔法もかけてくれたし、魔法や魔力への造詣(ぞうけい)は深いと思うの。」


 それはその通りだろう。


「神聖魔法を一目見ただけで再現したほどのエイタが、呪文から学ばないといけないほど時空魔法は難しいとわかってる。呪文を見せて貰ったけど、上級神聖魔法並みの長さだったしね。」


 アキコ、それは勘違いなんだけど、ここでは言えないか。


「私たちは豚魔法?のおかげでもあるけれど、それなしで急速にレベルを上げたんだとしたら、どれだけの才能の持ち主なのか想像できないよね。」

「その才能の人が実際の経験を基にして言っていることなのよね。」

「体幹を揺らさずに、あの変てこな運動をこなしていたのも間違いないわね。」

「魔法騎士だしね。」


 そうなんだ。どう考えても信用に足る人物ではあるんだけれど、それでも信用しきれないのはなぜなんだろう。


「信用しきれないのは、見た目が何となく子供っぽいから?」

「子供であの魅惑の体形だとしたら、もっとあり得ないよ。」


 確かにその通り。あの胸はとても子供とは思えない。


「自分で見つけだせ、みたいな方針なのはなぜなんだろう。」

「こうして話し合いをすることは禁止されていないわよね?」

「もっとこう、これがそうだ、みたいに具体的に説明してくれても良さそうなのにね。」


 そこに鍵があるのかな? それともただ、自分たちで見つけ出したほうが、俺たちの成長になるとか、そういう理由なのかな? 良くわからないな。


「俺は剣の(ことわり)のようなものと思ったね。」

「自分で体を動かして初めて理解出来るようなものってこと?」


 ユウジの言いたいことはわかった。それに説明されてわかったつもりになっても、実際に出来るようにはならないだろう。


 いろいろ考えてみても、わからないということがわかった、みたいな話だ。わかったわけではないけれど、それでもちょっと思ったことならある。


「直接関係はないんだけれど、」


 そう前置きしたあと、俺は自分の疑問を口にした。


「回復魔法は魔力を流し込んでいるのに痛くないのはなぜだろう。」

「本当に関係なさそうだけれど、言われてみれば何故なんだろうね。」


 アキコとハルコも今まで考えたことすらなかったし、理由はわからないらしい。


「もう一つ。ヨコヅナが鎧の防御を貫いてきたのはなぜか。」

「それはレベル差があったからでしょ?」

「その通り。それじゃなぜ、レベル差があったら防御を貫くことができるのか。」


 みんなは俺が何を疑問に思っているのかわからないようだ。


 体に良い影響がある回復魔法と、それ以外の魔力。その違いを表面魔力で判断しているのではないだろうか。


 レベルがなかった時の俺と、レベル三十二になった俺。同じ鎧なのに防御力が違うのはなぜか。俺の中の何かが作用して、鎧の防御力を上げているということなのか。もしかしたらそれが表面魔力の力なのだろうか。


 ヨコヅナには攻撃が通用しなかったが、今ではレベル三十越えのダチョーでも簡単に狩ることが出来る。武器は変わっていないのに、この差は何だろうか。表面魔力は武器も覆っているのだろうか。


「表面魔力は魔力なんだから、魔法と同じように心で思っていることが作用する可能性があると思うのよね。」


 アキコもまた、いろいろな可能性を考えているようだ。


「結界。」

「ハルコ、それはどういう意味?」


 言葉が短すぎてわからん。


「滑る足を留める。跳びあがるのを押さえつける。魔法を阻止する。攻撃を防ぐ。全部結界。」

「何かを動かすんじゃなくて、何かを止めようとする力という意味ね?。だから流す必要はなくて、表面に留まっているだけで良い……。」


 イスズの解釈にうなづくハルコ。


「結界を張る時は魔力が流れるけど、一度張ってしまえば魔力は止まる。それでも結界は消えずに働き続ける。たしかに似ているのかもしれない。」


 見えるようになったわけではないけれど、そこには確かに何かがありそうだ。


「もう少し話を続けたいけど、そろそろ時間だね。」

「え? 午後の授業まではまだ余裕があるよね?」

「午後は神殿での実習だよ? 移動にかかる時間を計算に入れないと。」


 ああ、そうだった! 今日の神聖魔術は神殿に行かないといけないことを忘れていた。


「一緒に行くでしょ? 初めてだと迷うかもしれないし。」

「ああ、案内をお願い。」


 俺はアキコとハルコと一緒に、ローブに着替えるために席を立った。


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