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猪突猛進!豚魔法 ~デブでブサイクだけど、最強めざして突っ走ります!~  作者: 大沙かんな
前途洋洋!豚魔法編

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休憩:男女混合五人組の決意

 ヨコヅナ戦のあと、ミキ、エリカ、シノブ、マサシ、カズヒロの五人は、グループの仲間だけの反省会を行った。


 シバーだけでなく、キシューがいるかもしれない場所に足を踏み入れたのは、確かに少し早すぎた感はあったが、あんなものと遭遇したのは誰かが悪かったわけではなく、紛れもなくただの不運だった、それだけだ。


 出会ってからの行動だってあれ以上どうしようもなかった、ということに落ち着いた。反省しようにもヨコヅナがあまりに強すぎたので、何をどうしたとしてもどうにもならなかったのだ。


「しかしあいつらが同い年で、同じ日に学園に入学したとは、とても信じられないなぁ。」

「まだ一週間もたっていないのに、もうレベル十を越えて戦士だなんて、冗談にもほどがあるよ。」

「でも負けていられない。」

「ああ、ゆっくり、確実に、だ。」


 マサシとカズヒロは彼らに絶対追いついて見せると、気合を入れなおしている。



 絶体絶命のあの時、助けに来てくれた級友たち。その華やかな活躍に強いあこがれを抱いたのは間違いない。そして自分たちの不甲斐なさを恥ずかしく思った。


 ユウジの、そしてマコトの剣術のきらめきが、まだ全員のまだまぶたに残っている。あそこまでの高みに昇るのは無理かもしれないが、キイチロウやスケヨシの所までならば、頑張れば追いつけるはずだ。


 ミキ、エリカ、シノブの女子三人にしても、イスズの薙刀は非常に落ち着いた丁寧な物だと理解できたが、それは絶対に追いつけないほどの高みではなく、むしろ具体的な目標として目指すのにふさわしいものに感じられた。


 あこがれという感情は、同じ年齢の同級生に対する思いではないのかもしれない。だが、自分たちの危機を、生命を救ってくれた相手に対して、強い感情を持たずにいることが出来ようか。


 特にあの男、ホソカワ・エイタには。


 

 助けに来てくれるとすぐさま重症の怪我人を治療し、戦列に加わるとヨコヅナに最初の一撃を加えた男。


 踏みつぶされるかと思った矢先に、自分の腕と引き換えに相手に大怪我を負わせて勝利への道筋を作った男。たとえ回復魔法で治るとはいえ、頭をつぶされて即死すれば終わりだ。まったく惑うことなく相打ちを狙うその胆力こそ。


 そして極めつけは大妖獣と真っ向からぶつかり、吹き飛ばされはしたものの、その頭を突き抜いた剣。あの時あの瞬間、間違いなくあの男は一切逃げることなど考えていなかった。吹き飛ばされることすら考慮していない、ただ真っすぐに立ち向かった。


 真っすぐに突いて出る、それしかない。あの時、それは誰の目にも明らかだった。しかしそれを実行できるかどうかはまた別の話だ。そしてそれを実行したのが彼だった、そういうことなのだ。


 絶対に真似できない。異常だとしか言えない。


 心の強さ、言葉にすればそういうことになるのだろう、しかしそれだけで言い表すことが出来ているのだろうか。


 彼への気持ちは、もはやあこがれではない、畏怖の念、いや畏敬の念だろうか。それでも言い表せない、(おそ)れにも、また崇拝にも似た感情。



 彼の剣術が悪くないのはわかる。かなりの腕前だとも思う。中級のマサシでさえ「腕は自分と同じか、向こうが一枚上」と評価している。凄腕なのだ。しかしユウジやマコトのような華麗で踊るような剣どころか、荷重(かじゅう)でつぶれるような鈍重ささえ感じ取れるのだ。


 やはり彼の強さの源は心なのだろうか?


「神聖術の授業でのデブタ……あれが覚悟の違いなのかもしれない。」


 エリカがぼそっとつぶやいた。


「神聖術?」

「何かあったの?」


 神聖術を取っていないマサシとカズヒロが疑問の声を上げる。


「ああそっか、二人はアレを見ていないんだ。」


 エイタが回復魔法の練習のために、まったく迷いもなく自分の手を短剣でグサグサと刺しまくっていたことを、女子三人は男子二人に話して聞かせた。二人は目を丸くして驚いている。


「普段から怪我をしては治して……、痛みに対する耐性か……」

「それがここというときの覚悟に繋がる。わかる気がする。」


 そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。でも最初の一歩としては悪くない。


「回復魔法の練習台が必要なら、いつでも呼んで?」

「えっと、それは男の仕事? だっけ?」

「それじゃ私たちも頑張って、早く回復魔法を使えるようにならなくちゃね!」


 今はまだ負けている。でもいつかは追いついて、肩を並べて戦いたい。五人はその思いを強くしていた。


 エイタたち十人や、他の新入生たちと同じく、彼らの挑戦もまだ始まったばかりなのだ!


彼ら五人の限りない未来を信じて。

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