4-3 あたしたちっ、結婚しますっ!(6)
茫然としている、聖弥くんのお母さん。
その後ろで、さらに茫然としている翔太のお父さん。
翔太と小夜ちゃんは腕組みをして、うんうんと頷いている。
ハッとして、聖弥くんを見上げた。
聖弥くんがニヤッとしてあたしを見下ろす。
足元を見ると、晃に抱きかかえられた光輝と陽介が、ニコニコしながらあたしたちを見上げていた。
そのとき、ドドドドッと母屋の屋根が揺れた。
すごい風っ!
早くしないと、上の段のハウスが浮き上がっちゃう!
突然聞こえた、翔太の怒鳴り声。
「三条っ! あんたは大人しく寝てろっ! 日向は残って三条の看病だっ! 父ちゃん、晃、アンカー打ちにいくぞっ!」
「よしっ! 行くぞっ、翔太兄ちゃん!」
晃が駆けだす。
「アタシも行くわっ!」
ユニフォームの上にカッパを羽織る小夜ちゃん。
すると、聖弥くんのお父さんがスーツの上着を脱ぎながら、パッと翔太と小夜ちゃんのほうを振り返った。
「おお、みんな勇ましいなっ。私も行くぞっ!」
「よしっ! オッサンも来いっ! みんなでハウスが飛ぶのを阻止するぞっ!」
「おおう!」
勢いよく出て行く、翔太、小夜ちゃん、晃、聖弥くんのお父さん。
そして、最後に出て行こうとした翔太のお父さんが、ちょっと立ち止まって言った。
「日向ちゃん、ノブちゃんをよろしく」
ん?
ノブちゃん?
それって、聖弥くんのお母さんのこと?
「よしっ! 行ってくるっ!」
バッと飛び出して、雨の中を走って行く翔太のお父さん。
そのすぐあと、翔太のお父さんを追いかけて駆けてゆく山家さんの姿がちらりと見えた。
開け放たれた玄関戸の向こうは、まるで台風のような嵐。
バチバチと大粒の雨がタタキを打って、そのしぶきが土間に飛んできている。
ハッと我に返って、聖弥くんの背中を押す。
「聖弥くんは寝てないとダメ」
チラリと目をやると、聖弥くんのお母さんが居間のあがりかまちに、へなへなと腰を下ろしたところだった。
ずいぶんまいっているみたい。
すぐ温かいお茶を淹れてあげよう。
「お母さんっ、そのままそこに座っててくださいっ。聖弥くんを寝かせたらすぐ行きますっ」
あたしの言葉を聞いて、お母さんがゆっくりと顔を上げる。
うわ、すごい顔。
そんなに睨まないでください。
苦笑いを返すと、聖弥くんがそっと耳うちした。
「日向、面倒くさいけど、ごめんな」
「ううん、大丈夫よ? ヨメ・シュウトメ戦争、あたし絶対に負けないから」
「頼もしいな」
「ふふん。いいから早く寝るの」
「うん」
聖弥くんをお布団に押し込んで、掛布団をガバッとかぶせた。
よし、次はお母さん。
義理のお母さんになるんだからね。
しっかり、ちゃんとお話ししないと。
そう思って振り返ると、うなだれて座り込んでいるお母さんの手前に、その顔を覗き込んで様子を窺っている陽介と光輝がいた。
うわ、なにしてるのっ。
怒鳴られちゃう!
あたしが慌てて立ち上がると、次の瞬間、光輝がお母さんのすぐ横にペタッと座り込んで、それからサッと絵本を差し出した。
ギョッとしたお母さん。
満面の笑顔の光輝。
「ねぇ、えほんよめる?」
「はぁ? なっ、ななっ、なんなのよぉぉぉーーーっ!」




