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3-4 意外にお似合い!? おふたりさん!(6)

 土間からちょっとだけ顔を出して覗くと、庭の向こうの鶏小屋の前に、金網に張り付くようにしてしゃがんでいる小夜ちゃんの後ろ姿が見えた。

 スカートの裾が地面についている。

 その手前、玄関のほうから庭を歩いて来た翔太が、小夜ちゃんの後ろからその背中に声を掛けた。

「おい、鷺田川」

 すごい顔をして振り返る小夜ちゃん。

「なによ。ジャガイモのくせに気安く声掛けるんじゃないわよ」

「俺はデコボコしてねぇ『メークイン』のほうな。なんだ、お前、ニワトリ飼いてぇんだって?」

「え? えっと、……うん」

 すると翔太がグローブとボールを抱えたまま、鶏小屋の前でしゃがんでいる小夜ちゃんの横に並んで立った。

 翔太がゆっくりと小夜ちゃんを見下ろす。

「俺、ニワトリの飼い方知ってるぞ? なんなら教えてやろうか?」

「えっ? ほんとっ?」

「ああ。ただ、俺とキャッチボールがちゃんとできたらな」

「はぁ? なんですって?」

 ぐぬぬと口をゆがめた小夜ちゃんが、ガバッと立ち上がる。

「やったことはないけどっ、アタシにできないことなんてないわっ。やってるところは何度も見たことあるしっ」

「そうか。なら、ちょっとやってみようぜ。日向が準備できるまで」

 ニヤリと笑った翔太が、小夜ちゃんに優しくグローブを手渡した。

「これ、どっちの手にはめるの?」

「そこからか……。ま、できなくても恥ずかしいことはなんもない。知らねぇことは知らねぇし、できねぇことはできねぇんだ。ほら、投げるぞ? 取れよ?」

「なにが言いたいのよっ!」

 肩を揺らす翔太。

 それから後ろ向きにさがりながら、翔太は優しく優しくボールを小夜ちゃんに放った。

「あんっ」

 構えたグローブにかすりもしないで、ストンと小夜ちゃんの足元に落ちたボール。

「たっ、たまたま手元が狂っただけよっ! ちゃんとできるんだからっ!」

「できないことはできない、知らないことは知らないって言えるほうが偉いってコーチが言ってたぞ? 見栄を張ったり知ったかぶりをしても、なんにも得にならねぇって。『ガオカ』には多いもんな。そういうやつ」

「アタシは見栄なんか張ってないっ!」

 思いきり両手を下に突き下ろしてそう言い返した小夜ちゃんが、それからパッと身をかがめてボールを拾った。

 翔太がぐるぐると肩を回しながら、続けて言う。

「知らないできないは恥ずかしいことじゃないってよ。知ろうとしないこと、できるようになろうとしないことが悪いんだってさ」

 小夜ちゃんがハッとした。

 大きく見開いた目をすっと下へ向けて、グッとグローブを胸に引き寄せる。

「おい、どうした? 思いきり投げ返していいぞっ?」

 固まっている小夜ちゃん。

 よく見ると、なにかごにょごにょと口を動かして、小さく独り言を言っている。

「おーいっ、鷺田川っ?」

「うううっ、うるさいわねっ! こんな狭いところじゃ思いきり投げられないわっ!」

「そうか? うーん、そうだな。じゃあ、明日、学校のグラウンドで思いきり投げさせてやろうか。放課後、野球部の部室に来いよ。あ、まぁ、二週間もサボったやつが簡単には来れねぇだろうけどなぁ」

「なっ、ななっ、なんですってぇぇぇーーーっ!」


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