表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/87

3-4 意外にお似合い!? おふたりさん!(5)

「その角を曲がって……、あ、ここです。その卵の自動販売機のとこから入ってください。木がトンネルみたいになってるんで」

「ああ、ここが入口なのね。覚えておくわ。あら、素敵な古民家ね。じゃ、小夜? あまり日向さんに迷惑を掛けないようにね?」

「うるさいわね。さ、ひな、行くわよ」

 ピカピカの立派な車。

 小夜ちゃんのお母さんが運転する車に揺られて帰宅を果たすと、ちょうど庭で翔太と晃がキャッチボールをしていた。

 翔太、すごい顔。

 晃もびっくりしている。

「うわ、鷺田川じゃねぇか。こここ、これはどういう風の吹き回しだ」

「ああっ、小夜姉ちゃん、いらっしゃい」

 車に駆け寄る晃。

 ドアを開けた小夜ちゃんのエスコート役をやるつもりみたい。

 ほんと、三条くんを連れて来たときとは大違い。

「じゃ、小夜ちゃんをお預かりします」

 あたしと小夜ちゃんを玄関前で降ろすと、お母さんが運転する車は颯爽と雑木林のトンネルへと消えて行った。

 車を降りた瞬間、小夜ちゃんがダダッと駆け出す。

「あっ、小夜姉ちゃん、どこ行くんだっ?」

 手を伸ばしたまま、ポカンとしてその背中を目で追う晃。 

「なんだ? あいつ。ずっと学校休んでたくせに」

 あたしの横へ来た翔太が、じとりと小夜ちゃんを睨みながらそう言ってあたしにアゴを向けた。

「なんかね? 小夜ちゃん、ニワトリを飼いたいんだって」

「はぁ?」  

 見ると、小夜ちゃんが鶏小屋の前に腰をかがめて、小屋の中を覗き込みながらじっとしていた。

「あいつがニワトリ飼ってどうするんだよ」

「美味しい卵焼きを作りたいって」

「なんだそれ」

「あはは」

 思わず笑ったあたしの顔を不思議そうに眺めながら、翔太は晃にグローブを放り投げた。

「ま、いいや。俺には関係ねぇ。日向、向こうのハウスのオクラ、定植やるって言ってたろ? 今日、いまからやっとこうか?」

「え? ありがとね。でも……、今日はいいかな。その代わり、翔太、よかったら小夜ちゃんの卵焼きの味見役してくれない?」

「毒見役っ?」  

 しかめっ面の翔太。

 あたしは真剣な顔で見つめ返す。

「小夜ちゃん、あたしたちしか友だちが居ないみたいだから。ね?」

 向かい合った無言。

 しばらくして、じっとあたしを睨みつけていた翔太の目がゆっくりと大きくなって、それからまたすっと怖い目に戻った。

「どうしろってんだ」

「ごめん。あたし、お台所を片付けてくる。その間、ちょっとだけ小夜ちゃんの相手してて?」

「ケンカになるぞ?」

「あたし、ふたりが仲良くケンカしてるの見るの、とーっても好き。あー、でもここのところちょっと寂しいかなぁ。小夜ちゃんがなかなか学校に来てくれないからねぇ……。ね? 翔太」

「はぁ……、面倒くせぇなぁ」

 翔太はちょっと口を尖らせながら、横でポカンとしている晃の手からグローブとボールを取り上げると、「家に入ってろ」とアゴをしゃくった。

 ちょっとびっくりしている晃。

 晃の背中をポンと押したあと、ゆっくりと小夜ちゃんのほうへ庭を歩いていく翔太。

 居間では、陽介と光輝がテレビを見ながら、あたしが出掛ける前におやつ代わりに作っておいた焼きおにぎりをほうばっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ