3-3 突撃! 小夜ちゃんち!(4)
「ううう、本当はあたし、こんなことしてる暇ないんだけどなぁ」
今朝早く、お母さんから届いたメッセージ。
【昨日、検査の結果が出ました。ちょっと説明したいから、今日、手が空いたときに病院へ来て】
なんだろう。
メッセージでは説明できないくらい、難しい結果なのかな。
どうしよう……、すごく不安。
「えっと、星降が丘南一丁目……、うわ、相変わらず立派なお家がいっぱい」
じわっと背中に汗をかきながら坂を上る。
丘の上へと続く『ガオカ』のメインストリートの両側は、ずっと向こうまでお菓子みたいなお家が並んでいる。
たぶん、雪が降ったらお菓子の家を乗せたクリスマスケーキみたいになるんじゃないかな。
この『星降が丘南』のメインストリートは、南の丘の頂上から下ってくると、北側にある我が家の前の道に丁字にぶつかって、そこで突然終わっている。
本当はそこからさらに我が家を通り越して、北の丘へと上っていって、そこが『星降が丘北』のメインストリートになるはずだった。
でも、我が宝満農園が立ち退かなかったせいで、この北の丘はいまも未開発のまま。
「ここ……かな? うわ、でっかい」
大理石風の門柱に埋め込まれた、金属製の表札。
なに? この、草のつるみたいなくねくねした文字。
たぶん『SAGITAGAWA』って書いてあると思うんだけど、あたしには読めない。
とっても立派なレッドロビンの垣根が、目が覚めるような赤茶色の葉っぱをツヤツヤさせて、向こうの角までずーっと長く続いている。
「ううう、緊張する」
こんなお金持ちのお家なんて訪ねたことないし、どんな格好して行こうかなんてちょっと考えたけど、三条くんに聞いたら、【いつもの格好、可愛くていいと思うぞ?】って、思いきりガリガリと神経を削る回答。
いつもの格好って、制服か作業用のオーバーオールのことでしょ?
そんな格好で行けないよぅ。
まぁ、結局、いろいろ考えた割には大したことない、普通のスカート姿になったんだけど。
小夜ちゃんちの住所は、三条くんがメッセージで教えてくれた。
メッセージには、【小夜のお母さんは俺の母親と違ってめっちゃ優しいから心配するな】って、なんと返事をしていいか困るコメントも添えられていたけど。
お土産は、摘んだイチゴだと持って行く途中で傷んだらいけないから、いつもスーパーに置いてもらっている自慢の瓶詰ジャムにした。
カメラが付いたインターフォンの前で大きく息を吸って、それからそーっとボタンに手を伸ばした、その瞬間。
「うるさぁぁぁーーーいっ!」
突然、レッドロビンの向こうで聞こえたアニメ声の絶叫。




