3-1 あたし、逮捕されちゃうのっ?(5)
「離せーっ! アタシのパパがこの病院にどんだけ紹介状書いてやってると思ってんのよーっ! お前みたいなヤブ医者は、ここで働けないようにしてやるからなーっ!」
うわー、関わりたくないっ!
でもっ、看護師さんがすごく困ってるっ。
あたしは思わず駆け出して、小夜ちゃんのもう片方の腕を押さえた。
「ちょっとっ、小夜ちゃんっ! なにやってるのっ? 看護師さん、困ってるじゃないっ!」
「はぁぁ? ジャム子っ、こんなとこでなにしてんのよっ! こらっ、離せーーーっ!」
「とっ、とにかくちょっと落ち着いてっ!」
うわ、すごい力っ!
もうっ! こうなったらっ!
あたしは小夜ちゃんの腕をむんずと掴みなおすと、それから思いきり体重を掛けてソファーのほうへ体を倒した。
「げげっ?」
すごい顔の小夜ちゃん。
次の瞬間、看護師さんと小夜ちゃんが、ふたり一緒にドスンとソファーに倒れ落ちた。
「痛っ! なにすんのよっ!」
「小夜ちゃんっ、落ち着いてっ? なにがあったのっ?」
「あああっ、あんたには関係ないっ!」
逃げようとする看護師さん。
両肩を押さえたあたしを突き飛ばして、小夜ちゃんが立ち上がりかけていた看護師さんにガバッと腕を伸ばす。
こらっ、大人しくしなさいっ!
あたしはすぐに看護師さんの背中をトンと押して、それから小夜ちゃんの上に馬乗りになった。
「ちょっとっ、んぐぐっ、落ぢ着ぎなざいっ」
そう言ってあたしがさらに腕に力を込めたとき、背後から聞こえたのはドカドカという病院に似合わない乱暴な足音。
「こらっ、キミっ、なにしてるんだっ!」
ちらりと振り返る。
あ、お巡りさん。
お金を落としたとき交番で会った、あのお巡りさんたちだっ!
よかったっ。もうあたしひとりでは限界っ!
「大人しくしろっ!」
え?
わわわ、なにっ?
いきなりドンと背中に衝撃があって、お巡りさんの手があたしの腕に回る。
いやいやいや、あたしは止めてたんだって!
小夜ちゃんからひっぺがされたあたし。
そのままドサリとカーペットに転がって、思いきりお尻を打った。
痛ぁぁぁい!
その瞬間、ソファーの上にバッと仁王立ちした小夜ちゃんが、腰に手を当ててあたしを睨みつけた。
「ジャム子っ! 今度ばかりは親友でも許さないわっ! 警察官、その女を逮捕しなさいっ!」
は? 親友?
逮捕って……?
ええっ? えええっ? ええええーーーーっ?




