2-2 もしかしてアンタってマニアなの?(2)
「キミの封筒、届いてるよ。キミが話してくれた行動経路と時間、それと中の伝票からみて、キミの物に間違いないだろう」
「えっ? 本当ですかっ! よかったぁ!」
思わず、横に立っている三条くんを見上げた。
チラリとあたしに目をやった彼は、そのままなにも言わず立ったまま。
あ……、ごめんなさい。
ぜんぶあたしが悪いのです。
お巡りさんが、ちょっと顔を低くしてあたしを覗き見上げる。
「ただ、キミが宝満日向さんだと証明するものが必要かな。学生証とか、パスポートとか。顔写真付きで、キミが宝満さんだって証明できる公的なもの」
「えっと、パスポートなんて持ってないし……、学生証も、まだもらってないんです」
「もう四月も終わろうかっていうのに、まだ学生証もらってないの?」
今年から、学生証が交通系ICカードをベースにしたものに変わるらしくて、一年生のぶんはまだ作るのが間に合ってないんだって。
学割定期券とか買う生徒には、個別に在学証明書を発行しているみたい。
「そうなんだ。そしたら、親御さんに来てもらってもいいよ?」
「え? でも、お母さんは無理です」
「お父さんは?」
「お父さんは……、その……、居ません」
お巡りさんが、ちょっと怖い顔であたしを見た。
「なるほどね。キミ、これ本当に支払いのために持ってたの? 家のお金を勝手に持ってきたんじゃないだろうね」
あたしがそんなことするわけないじゃないっ。
でも、この状況からしたら、やっぱりそう思われても仕方ないよね。
ぜんぶあたしのせい。
「えーっと」
「それならもう、学校の先生に来てもらおうか。先生にキミの身元を証明してもらおう。そして、お金のこと、先生と親御さんと一緒によく話してね」
「え? いや、あの――」
そう言ってお巡りさんが電話の受話器に手を掛けたとたん……。
「ちょっと待ってくれませんか」
ハッとして見上げる。
三条くん、ものすごく怖い顔。
「ん? なんだい? 彼氏さん」
かかか、彼氏さんっ?
「これって、わざわざ学校に連絡してことさら荒立てることですかね。彼女はまだ学校へ連絡することに同意もしていませんが、それはプライバシーの侵害に当たりませんか?」
三条くん、ちょっと怒ってる。
でも、すごく冷静。
「俺が彼女の身元を証明します」
三条くんはそう言うと、お尻のポケットから革のお財布を取り出して、そこからカードのようなものを出した。
あれは、運転免許証だ。
え?
運転免許証?
どうして、高校一年になったばかりの彼が免許を持っているの?
「三条くんか。しかし未成年のキミでは、彼女の身元保証人にはなれない」
お巡りさんは、三条くんの免許証を見ながらなにかメモをとっている。
なにがどうなっているのか、意味が分からない。
「それなら、俺の父親ならいいですか?」
「キミのお父さんは彼女のことを知っているの?」
「知っています。なんなら父をここへ呼びます」
えええ?
なんで三条くんのお父さんがあたしのこと知ってるのっ?
「俺の父は三条建設の三条欣弥です。こちらの警察署連絡協議会の委員で、会社を挙げて警察に協力させて頂いているので、ご存じと思いますが」
「あー、あの三条建設の社長さんか」
お巡りさんがちょっと考えている。
社長さん?
三条くんのお父さん、社長さんなんだ。




