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2-1 大事なアレを失くしちゃった!(6)

 ドサリとバッグを足元に投げ置いて、しゃがんでもっと深くポケットに手を突っ込む。

「ん? どうした」

「えっと……、なんでもない」

「いや、お前、嘘が下手すぎだろ」

 そりゃー、嘘の笑顔がとってもお上手なあなたに比べれば……、いやいやいや、そんなことどうでもいい。

 なに?

 どういうこと?

 今朝、間違いなくこのポケットに封筒を入れたはずなのに。

 えええ? どっ、どこで落としたんだろうっ。

「そそそ、そのっ、三条くんっ、にはっ、関係っ、なっ、いもん」

「カタコトになってんぞ。お前、なんか失くしたんだな?」

 バッと立ち上がる。

 こうしちゃいられないっ。

「ごめんっ。カギ、返しに行ってくれる? あたしちょっと用事がっ――」

「待て」

 グイッと引かれた手。

「正直に言え」

 うわぁ、怖いよぅ。

 そんなに顔近づけないで。

 頭ふたつ高いところから、三条くんが鬼の顔で見下ろしている。

「えええ、えーっと、今日はっ、その、イチゴの箱の業者さんに、だっ、代金を支払いに行かないといけなくてっ――」

「まさか、その金を失くしたのか。いくらだ?」

「いや、お家に置き忘れてきたのかもしれないしっ。とりあえず、いったんお家へ戻って――」

「いくらだっ?」

 ぴえぇぇん。

 なんでそんなに怒ってるのっ?

「その……、に、二万……五〇〇〇円」

 一瞬きょとんとして、それから、はぁーっ……と、深い深いため息をついた三条くん。

 いや、ほんとにもう急ぐんで。

「あああ、あのっ、カギっ、よろしくねっ! ごめんっ」

 とりあえず、お家に帰れば、辞書に挟んだお年玉がある。

 いまならまだ、箱屋さんの営業時間中に間に合うはずだ。

 仕方ないっ、捜すのはそのあとっ。

 うわっ。

 またもや、グイッと手が引かれた。

「ちょっと待て。その箱屋ってのはどこだ。もう閉まるんじゃないのか?」

「もうっ! 急ぐって言ってるでしょっ? 箱屋さんはそこの農協の裏っ!」

「近いな。それなら先に支払いに行こう。捜すのはそれからだ」

「だからっ、お金は家に帰らないとないのっ!」

「うるさいっ!」

 うわぁ、もう本気で怖いよぅ。

 え? なに?

 あたしを睨みつけながら三条くんがお尻のポケットから取り出したのは、それはそれは立派な皮のお財布。

 彼が唇の端をしかめながら、チラリとその財布の中に目をやる。

 おおう、いかにも『ガオカ』っぽいお財布だ。

 あたしの赤リボン白猫の小銭入れとは大違い。

「家に帰っている暇はないだろ? すぐ行くぞ」

「え? でも……」  

 ギロリとあたしを睨みつけた三条くん。

「俺が立て替えてやる。二万五〇〇〇円だろ? それくらいはいつも持ち歩いてるから心配するな。さっさと支払いを済ませて捜すほうに専念するぞ」

「え? ええ? ええぇぇーーっ?」


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