第97話連絡を待ちますか?
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昼になった。
気温は太陽と共に上昇していき、外へ一歩踏み出せば夏の猛暑が肌を焼く。
「さくらい」の玄関から辺りを見渡しても、そこには人影など見当たらない。
無論、響の姿も。
「……」
袈刃音はずっと疑問に思っていた。
敵の――神の【守護者】の標的は、あくまで自分一人であるはずだった。
時空神・クロノと契約を交わし、時を巻き戻した事で、ゲームの流れを大幅に書き換えようと動く自分なのだと。
だが、奴らが標的に定めたのは響だった。
命を狙う価値はあるだろうが、袈刃音を殺す絶好の機会を逃す程ではないというのに。
それに連中の行動。罠に嵌めたのだとしても、あまりにタイミングが良すぎる。
まるでこちらが薙沙の救出に動くのを見計らったように……。
一体、どうして。
「はぁ、分っかんねぇ……」
少なくとも、今の袈刃音に出来る事はそう多くない。
携帯の電源をONにして位置情報アプリを開く。
すると、鹿羽市の地図上にアイコンが二つ表示された。
一つは袈刃音、もう一つは藍刃愛羅のものだ。
別行動する以上、旭達がゾンビの脅威や不測の事態に巻き込まれる可能性は常に付き纏う。
愛羅に彼女達の事を任せてはいるが、もしもの時のために、二人はGPSを使って互いの位置情報を共有していた。
「ん?藍刃さん、今、日通戯通りにいるのか。遠いな、何でそんなところに」
あそこは建物が多い分、人も多い。
という事は、必然的にゾンビの数も多い事になる。
普通なら、あまり近づくような場所ではないはずなのだが……。
「一応、トゥラヌアの奴が出た場所からも離れてるし、大丈夫だとは思うけど。……心配だな」
連絡先も交換して、愛羅には定期的に通話で向こうの情報を送ってもらっている。
その件については、後で彼女に訊けば分かるだろう。
「ここにいらっしゃったのですね、袈刃音さん」
「っ。……あぁ、時花ちゃんか。どうかした?」
背後からの声に振り向き、袈刃音は不思議そうな顔で尋ねた。
確か、今は昼食中だったはずだが。
「クロノ様と喧嘩されたそうですね」
「えっ」
「お話は聞いています。その、響さんが……」
「あぁ……」
少年は納得した。時花が妙に心配そうな表情でこちらを見つめるものだから、何事かと思ったが、そういう事か。
「大丈夫だよ、きっと全部何とかなるから」
「そ、そうは言いますが、心配なのです!響さんの事はもちろんそうですけど、クロノ様との喧嘩も。……喧嘩はダメなのです」
「時花ちゃん……」
「すみません、困らせたかったのではないです。袈刃音さんには頼り切りで、こんなわがまま負担にしかならないと分かっているのですが。ただ、このままだと全部悪い方向に行ってしまいそうな気がして……」
伏し目がちに言う時花を見て、袈刃音はその場に屈み、そっと彼女の頭に手を置いた。
一瞬、ビクッと時花の肩が上下し、少女の不安気な瞳が上目遣いでこちらを見つめる。
だから、出来るだけ柔らかな笑みを顔に浮かべる。
「いや、負担じゃないよ」
「へ?」
「分かってるんだ、クロノの言ってる事の方が正しいって。我儘なのは俺で、クロノも時花ちゃんも間違った事は何も言ってないんだって。はは、ごめんな?頼りなくて。響ならもっと上手くやれたんだろうけど……。でも、もうちょっと頑張ってみるよ」
「ほ、本当ですか?」
「うん、ホント。クロノとも仲直りする、約束」
「っ、はい!約束です」
袈刃音が右手の小指を差し出すと、時花も小指を差し出してその指に絡める。
その約束が決して果たされないものであると知らぬまま。
――携帯が鳴った。
「?あれ、もうそんな時間だっけ」
「どうかされたのですか?袈刃音さん」
「ぁあ、いや、昼の一時に電話が掛かって来るんだよ。――ん?」
ポケットから取り出した携帯の画面に目をやると、少年は眉を歪めた。
画面右上の時刻は十二時三十九分となっていた。
おかしい、予定の時間にはまだ早過ぎる。
「も、もしもし藍刃さ――」
『袈刃音君!助けてッ』
「え?」
「と、突然襲われて!白い服装の女の子、赤紫の髪の!旭ちゃんが……」
「ッ!?旭がどうだって?藍刃さん!……藍刃さん?」
通話はそこで切断された。
「嘘だろおい……!」
額に冷や汗を感じながら、袈刃音はすぐさま駆け出した。
文月です、お久しぶりです!
お知らせといいますか、今後の予定(願望)です。
次回も少し投稿の間隔が伸びてしまうかもですが、今月はあと2回か3回出来ればなぁと思っております。
年内に100話到達を目指したいですね(なお、残り20日)。
ストーリー含め、今後にご期待頂ければと思います。
それでは最後に!
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《完了》
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【→はい/いいえ】




