表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/112

第96話伝えますか?

 Now Loading…



「待てよ、瑠璃」


 不意に声が聞こえたかと思うと、廊下の曲がり角から人影が現れ、瑠璃は立ち止った。


「れ、(れん)?何でここに」


「別に。出掛ける理由もねぇし……いたら悪いかよ」


 ここからでは死角になっていて見えないが、角を曲がった先には一階へ続く階段がある。

 恐らく壁に隠れて、瑠璃との今までのやり取りを聞いていたのだろう。


 恋は、はぐらかすように言葉を返した。


「……それより、どこ行くつもりだよ。外はゾンビだらけだってのに」


「聞いてたんなら分かるでしょ、響を捜しによ」


「あっそ。じゃあ、あの手のかかる年下組の面倒見るのは誰だよ。満実お母さん、動けないんだろ。一番の年長者が勝手にいなくなってどうすんだ」


「み、三浦君がいるじゃない!それに、その、千華ちゃんとか、真白さんとか……。一日くらい大丈夫に決まって――」


「ゾンビ」


「へ?」


「俺はこの前、外に出て数時間もしない内にゾンビになりかけた。で、袈刃音(ソイツ)が助けに来なきゃ本当になってた。……今一人で出て行ったら、多分、一日どころか半日もしない内に死ぬぞ」


「っ。けど……」


「それに、だ。袈刃音(ソイツ)だって響を助けるつもりがないとか、一回も言ってないだろ。違うか?」


「え」


 突然、恋に水を向けられ、袈刃音は間の抜けた声を漏らした。

 瑠璃が振り返って、半信半疑といった視線を向けて来る。


 少年は慌てて返事を返す。


「そ、それはその……うん、助けたいよ俺だって。勿論。ただ、今は無闇に動けないってだけで。状況もはっきりしないし。それに多分、響も俺にそうやって動いて欲しいはずだから。だから」


 詳しくは言えなかった。

 響がどう失踪したのかも、どんな脅威に晒されているのかも、自分達が彼女を助けに向かえない理由すら。


 瑠璃には、こんな曖昧な説明で納得してもらうしかなかった。


()()、「分かって」なんだ。……いいよ、一旦分かってあげる。でも、今回だけだから。…………アタシちょっと、下の子達見て来る」


 曇った表情は消えないまま、しかし、そう言って彼女は大人しく去って行った。


 静かになった廊下には、袈刃音と恋だけが残っていた。

 恋のお陰で何とか瑠璃を止められた、その事に少年は小さく安堵する。


 だが、どうしてだろう?

 彼は、葉山(はやま)恋は、袈刃音を嫌っているはずなのに。


「響が、お前を()()って言ったから」


「え?」


「あ、いや、だから……。その、お前を助けたんじゃないからな!あれは響がそう言ったからで……そ、それより、瑠璃にさっき言った事忘れんなよっ。俺はまだ、お前を信じてなんかないんだから」


「あっ、ちょ――」


 吐き捨てるようにそれだけ言って、恋はその場から走り去っていった。


「何、だったんだ……?」


 しかし、袈刃音にはそんな些細な問題を考えている時間はなかった。

 今は【守護者】が何をして来るか分からない状況なのだ。


 やれるだけの準備をしなければならない。







【・ご案内】

 下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。

 ブックマーク、感想などもよければ。


 作者のモチベーションとなります。


 《完了》





【次の話へ進みますか?】

【→はい/いいえ】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ