第85話外に出ますか?
Now Loading…
「暑……」
庭に出た瞬間、袈刃音の体がモワァっとしつこい熱気に包まれた。
先程、太陽を遮る雲が一つもなかったのを見た時、大方予想はしていたものの――やはり暑い。
下からは砂利を敷き詰めた地面の熱気、上からは焼けるような強い日差し。
輪をかけて悪いのが、その熱を唯一奪い去ってくれる風の不在である。
十秒もしない内に、袈刃音は肌に汗の気配を感じ始めた。
「……」
少年の鼻腔を異臭が掠めた。
微かに感じる程度の薄い臭いだが、覚えがある。
この猛暑なら当然か、と彼は太陽の光を掌で遮りながら思った。
今はまだ電気が使えている。そのため室内は涼しいし、冷蔵庫の中身も守られている。
一方で、外の者達は全くの無防備。
人間、動物。
ある意味で死や傷を克服したゾンビも例に漏れない。
ゾンビの場合は特殊で、最悪だ。
二日経つか経たない間に肉体は痛み出し、腐臭を放ち始める。
神の力の為せる業か、腐敗はある一定程度進行すると止まるようで、完全に動きを停止する事はないが。
それでもあの異臭には、思わず顔を顰めてしまいそうになる。
施設の入り口近くでは、数体の不死者が彷徨っていた。
早朝に見たあのゾンビだろう。
――コツン、コツン、と内一体が頭を鉄柵にぶつけている。
鈍い金属音に反応したゾンビ達も、柵の前に集まり始めていた。
そこに、ふと少女の影が映り込んだ。
「千華……?」
身長約155センチ。平均よりもやや小柄な彼女の体は、臆した様子もなく進んで行く。
しかし、決して目の前の脅威を軽んじている訳ではなく、右手に持つ槍はその切っ先をいつでも敵へ向けられるように警戒していた。
袈刃音達が不在の数日間、襲い来るゾンビを退け続ける中で自然とそうなったのだろう。
当初のあの固い構えは既に面影を失くし、適度に肩の力が抜けているのが分かった。
槍は相手の間合いの外から「貫く」事に長けた武器である。
とはいえ、使い手は全くの素人だ。近付くゾンビを相手にするならば、槍を刺股のように使って遠ざけるだけでも十分。
初めはそう考えて千華に手渡した。
それが今では、武器の性能を活用しつつ戦えるまでになっている。
精神の慣れ、肉体の慣れ、そして――それ以上に彼女にはスキルがあった。
技術ではない。しかし、人間離れしたといっても過言ではない技があった。
直後、少女の鋭い突きがゾンビを貫く。
急所を外れた――かと思えば、ゾンビが不自然な程に強い勢いで吹き飛んだ。
元居た場所から三メートル以上離れた距離で転がった生ける屍は、ピクリと痙攣したように一瞬動くも、その後二度と起き上がらなくなった。
「【血華閃】の応用だね。偶然だけど。でも、刃が斜めに入り、インパクト後の勢いによってそれが肉体を内側から斬り裂いた。音からして、心臓も一緒に」
袈刃音の隣までやって来た響が、携帯をいじりながら千華の攻撃をそう分析した。
「【血華閃】……ナギ姉の技、クロノさんが教えたんだってね」
「?「ナギ姉」って……あぁ…………」
少年は一瞬、誰の事か思い出すのに苦労した。
しかし、直ぐに記憶が蘇る。
文月です。
最近、投稿の遅延が常態化しているなぁ、と焦っております。
中々ペースが戻らないよぉ……。
なんて、実はちょっと落ち込んでいるのですが、少し前に総合ptが100に達した喜びで、何とか持ちこたえてられています。
今は恐らく、多少なりptが変化しているでしょうが。
ともかく、ここまで応援くださった皆様に感謝を!
ちなみに、モチベーションが上がったから、というのではないですが(上がってはいるんですけど、別の理由で……)今週は2話投稿致します。
いえ、その。はい。
何か嫌な予感がして……多分、また体調を崩し始めているなと。
あ、これ、明日か明後日には、風邪で倒れて書けなくなるなと。
そうなる前にキリのいい所まで書いた、という感じです。
それと、ホラーを書きました。
確か以前、『怪奇探偵・不二峰レイカの幽霊譚』は宣伝したかと思いますが、実は新たにもう1作書きました。
『井戸のバケモノ』という作品です。こちらは短いので、直ぐ読めるかと思います。
そんなに長いホラー読みたくないなぁ、という方にはお勧めですね。
【・ご案内】
下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。
ブックマーク、感想などもよければ。
作者のモチベーションとなります。
《完了》
【次の話へ進みますか?】
【→はい/いいえ】




