表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/112

第84話時空神・クロノの力を使用しますか?

 Now Loading…


「禁じ手、ですか?」


「それを使う事自体に何か罰則があったって訳じゃないけどね。プレイヤー同士が勝手にそう考えて、基本的に使わないようにしてただけ。ねっ、袈刃音」


 言いつつ、響は確認するようにこちらへ翡翠色の瞳を向けた。


 返答の代わりに、袈刃音は目を閉じて静かに頷く。

 瞼の裏では、当時の記憶が明滅するようにして蘇っていた。

【メモリー】にも確かに刻まれているそれは、再び開かれた少年の瞳に貼り付き、どうやら暫く剥がれそうにない。


 彼女も同じなのだろう、どこか難しい顔で説明を続けた。


「【基地システム】は一人のプレイヤーを中心にして、その人間や他のプレイヤーの力を高めたり、特殊な能力を与えたりする。私達が戦った連中なんかは、攻撃したらその分のダメージがこっちに跳ね返って来るような能力を手に入れてたっけ」


「こ、攻撃が通らないという事ですか?それは……とっても凄い力なのですね」


「うん、凄過ぎて、私達は逃げるしかなかった。逃げて、早く対策を考えて、そうして私達を潰そうと反撃して来るはずの連中を迎え撃つ以外には何もね。……けど、結局奴等はこっちを襲って来なかった。時花ちゃん、どうしてだと思う?」


 響の言葉に、時花は困惑の表情を浮かべた。


 無理もない。一見すれば、それは自陣の強化する上で非常に便利な機能に思えるのだから。

 プレイヤーとなった事で封印されてしまったクロノの能力も、このシステムのお陰で一部が行使可能になった。


 言い換えれば、【基地システム】の起動により、袈刃音達は「ゾンビに噛まれた者はゾンビになる」というゲームの絶対的なルールから解放されたのだ。


 得られる恩恵はあまりに破格。


 にもかかわらず、かつての敵達は更なる追撃をしてこなかった。

 その答えを敢えて一言に纏めるのならば――


「【基地システム】の維持に失敗して、【ペナルティ】を食らったからだ」


 響は神妙な顔で言葉を続ける。


「そもそもの話、システムの運用にはたくさんの【ポイント】を使うんだよ。起動時に1000、その維持に毎日100、さらにシステムを利用するごとに100必要になって来る。クロノさんの場合だと、多分、神の力を使う度に【ポイント】が減っていくのかな」


「……【ポイント】がゼロになってしまったら、一体どうなるのですか?」


「【ペナルティ】として、少なくとも核になってるプレイヤーの命が奪われる。けど、それは心配しなくてもいいんだ。袈刃音の【ポイント】の数なら一年間くらい持つからさ。……本当に厄介なのは、【神の試練】の方だ」


 袈刃音も響も、【基地システム】を起動させたのはこれが初めてだ。

 こうして時花に教えている知識も、実際にそれを使った者の口から聞いた情報でしかなかった。


 故に、実のところ、システムについては今語った以上の詳細な内容を二人はほとんど知らない。


 ただし、【神の試練】ならばもう少し詳しく話せた。


「月に一回、システムが更新される。その直前に遊戯神から試練が与えられるらしいんだ。具体的に何をするのかまでは分からないけど、確かなのは、それを突破(クリア)すれば報酬を貰えるという事。――そして、失敗すれば、【ペナルティ】によって陣営内の人間は一人残らず死ぬという事」


 時花はまだ幼いものの、利発で、見た目以上に精神の成熟した少女なのだろう。

 響の言葉の意味を十分に理解しつつも、恐怖を表に出さないよう口を一文字に引き結んだ。

 とはいえ、完全には隠し切れず眉を不安そうに寄せている。


「ふん、安心せよ時花。人間界での妾の力も増しておる。遊戯神の小童(こわっぱ)が何か仕掛けて来ようと無駄じゃ」


 少女の憂いを取り払うようなクロノの言葉が聞こえた。


「……そうなのですか?」


「妾が其方に嘘を付いた事があったか?」


「そう、ですか。えぇ、そうですね。……でしたら、時花は少し安心です」


 時花の強張った表情が幾らか元へ戻った事に、クロノは微笑を浮かべた。

 その様子を見るに、眼前の女神が持つ目的は依然として変わっていないようである。


 とはいえ、彼女の言うように、「何事もなく」というのは難しいようにも思う。


 クロノの発言がどのくらい本気だったのか、袈刃音としては少々気になるところだった。


「で、クロノ、その神の力はどのくらい使えるんだ?」


「?どうやら、妾の言葉を信じておらんようじゃな袈刃音。其方の期待したように、妾の力は自分以外を対象とする事が可能となった。これで、ちと面白い事が出来るようになったぞ?」


 クロノは虚空から突然現れた野球ボールを右手で受け取って、真上に投げた瞬間それが辞書に入れ替わり、もう一度投げて次はメロンパンを施設のどこかから取り寄せる。


「お、おい何やってんだ、今ので100【ポイント】捨てたぞッ」


「ふむ、面倒な制約じゃな。失念しておったわ。まぁ今のは許せ」


 不満そうな顔で自分の手にある菓子パンを見つめる女神に、袈刃音は軽く溜息を零した。

 まったく、【ポイント】の消費量は、【基地システム】の核である彼女の裁量の良し悪しで決まるというのに……。










文月です。


度々申し訳ございません、投稿が遅れてしまいました。

忙しかったというより、今回出て来た【基地システム】の設定を確認しつつの執筆だったので、思ったより時間がかかった感じです。


一応、投稿が遅れたり、お休みしたりする際は、引き続きこの「後書き」でお知らせしていくつもりです。


ちなみに、今年の夏は執筆速度が上がりません。無念……ッ。

他の連載などが随分長く止まってしまっているので、そちらにリソースを回したいと思っています。

第七魔眼は今月の10日までに投稿したいですね。



【・ご案内】

 下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。

 ブックマーク、感想などもよければ。


 作者のモチベーションとなります。


 《完了》





【次の話へ進みますか?】

【→はい/いいえ】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ