第61話見つけますか?
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「い、行っちゃいましたね……」
ビャクヤの方へ歩み寄ると、一条新奈はそう言って最上階へと続く階段を見つめた。
「えっと、それじゃあ私達も、言われた通り一階に降りましょうか?ね、ビャクヤさん」
「うーん……」
「ビャクヤさん?」
彼の反応が気になって、新奈は小首を傾げた。
「ん、やっぱり九階に上ろうか」
「えっ、上がるんですか!?でも、一階に行けって……。もしかして、三浦君が、入口の方で会ったあの子が言ってた名前と同じだから、とか?」
「そんな訳ないだろニイナ。フツーに袈刃音を心配してるだけ、心配を。――さて、じゃあ……行こうか」
「……ッ」
新奈は、ビャクヤが一瞬見せた怪しい笑みを見逃さなかった。
その笑顔の裏には、一体どのような意図が隠されていたのだろう。
少なくとも少女には、彼がまた何か、良からぬ事を企んでいるように見えて。
新奈の胸の中に、微かな恐怖が宿った。
◆◇◆◇◆
階段を上り切ると、早速ゾンビが右手より襲って来た。
袈刃音はバールで敵を押し退け、頭上からの一振りで無力化させる。
『もしその子がいるなら、多分この上だろうね』
ビャクヤの言葉が脳裏に蘇る。
漠然としていた危機感が、ここに来て急速に現実味を帯び始めていた。
「わッ!」
「っと……」
角を曲がろうとして、死角から現れた見知らぬ若い男とぶつかった。
「すみませ――」
「逃げろ!訳分かんねぇ連中が向こうにいるんだッ」
心底慌てた様子の男が叫ぶように言う。
――ゾンビか。
この様子から察するに、眼前の男が引き連れて来たのだろう。
まったく、今は不死者達に余計な時間を割いている暇はないというのに。
「何やってんだ、行くぞ!早く。クソ、子どもなんか助けようとしなけりゃ……」
「――!今、何て?」
「え?」
「今何て言ったんですか。子どもが、子どもがどうしたって……!」
その場から離れようとしていた男に詰め寄り、袈刃音は鬼気迫る顔で尋ねた。
「いや、子どもがあの変な連中に追われてて……でも、もう死んでるに決まってるし。ほら、行こうぜ?――って、おい!そっちは」
制止の声も聞かずに、袈刃音は焦燥に駆られるまま廊下を走った。
男に引き寄せられ、道を塞ぐ不死者を流れるように次々薙ぎ倒していく。
「ッ、ッ、ッ、退け!」
そんな事あって堪るものか、恋達のどちらかが死んだなど……ッ。
どこで見かけたのか、あの男に訊けば良かったと舌打ちした。
落ち着け。そう自分に言い聞かせつつ、袈刃音は自らの思考を研ぎ澄ませる。
ゾンビが集まる場所には人がいるはず。その逆も然り。
不死者達が密集している場所……袈刃音は鋭い視線を四方に向け、周囲の音に耳を傾ける。
「ッ。何だ?」
少し先の通路を曲がった場所だろうか。何かが騒いでいるような音が聞こえた。
急ぎそこへ向かい、壁の陰に隠れつつ、左に曲がった先の方へ軽く顔を出して確認する。
「――ッ!」
十体以上のゾンビが、一つの場所に群がっていた。
左側にある部屋の扉の前だ。
「どッ、けぇ!」
それを視界に捉えた刹那、一瞬で距離を詰め、袈刃音はゾンビ達をバールで一掃した。
ドアノブに手を伸ばして室内に入ろうとするが、扉に何かがつっかえて開けない。
とはいえ、袈刃音にはこんな抵抗感、あってないようなものである。
軽く力を入れると、障害物を無理矢理に押し退けながら、扉が開かれた。
部屋の中には一人の少年が、葉山恋が身を守るようにして、頭を両手で覆い座り込んでいた。
書き切れなかったので、一旦ここで区切ってまた次回。
文月です。
ちょっと急いで書きましたので、実は今回、誤字脱字確認をほとんど出来てないという……。
話が支離滅裂だったらすみません。
今月の投稿は、そうですね、あと1回か2回くらいでしょうか。そろそろ、年末ですし。
それ以外は、今回のお知らせは特にありません。
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