第58話ミニゲームに参加しますか?
Now Loading…
「……で、その影踏み鬼の鬼に見つからないよう、皆隠れてる。そういう事?おじさん」
「う、うん。実際、目の前で同僚があの子どもに殺されたの、ぼ、僕も見たし。その、怖くって」
ここで起きた事のあらましを聴き終えると、響は暫し黙り込んだ。
つまり、突如現れた謎の少年により、ここは既に命懸けの鬼ごっこの場と化していたという訳だ。
追われる側の人間は、当然、誰が鬼なのかなど判別出来ない。
信用していた人間に騙されて影を踏まれ、鬼にされる事も有り得る。
生き延びるには、隠れるか逃げるしかない。建物内が異様に静かだったのはそのためだろう。
「鬼は、その逆だったよ。死までの時間が近づいてくのに、誰も捕まらないからさ。武器持ち始めて、それで人を見つけたら躊躇なく追って来るようになってね……。ゾンビみたいなのも出てくるし、もう無茶苦茶だよ」
俯き、嘆くように言う男の姿が、この場で繰り広げられているゲームの悲惨さを物語っているようだった。
皆、その謎の少年とやらが振り撒く恐怖に晒され続け、おかしくなっている。
「敵は多分、袈刃音の言ってた神の使徒だろうね。偶然かどうかは分かんないけど、「さくらい」の方に結構な数のゾンビが流れて来てたのも、ソイツの所為。ただ、目的がイマイチ掴めないな」
「何か意味はあるんだろうけど。直接訊き出すか、響?外に出ようとた人間は殺しに出て来るって話だし」
「……いや、それはやめておいた方がいい」
「え?」
半ば敵を呼び出すつもりでいた袈刃音とは裏腹に、響の返答は消極的なものだった。
「ここにいる敵が、その【守護者】とかいう連中の一人だけだったら、それが一番手っ取り早い方法なんだけどね。でも、今回はソイツだけじゃない。ゾンビもいるし、鬼も、さっきのおじさんみたいに焦って他人を殺そうとする人だっている。……そんな中で恋と来道を放っておくなんて、幾ら何でもリスクが高すぎる」
「あっ」
「厄介なゲームを始めてくれたよ、本当。ッ、神の使徒にコントローラーを投げ付けてやりたくなる」
声に静かな怒りを含ませながら響は言った。
袈刃音の目には、彼女が若干の焦りを覚えているようにも見えた。
こうしている間にも、恋達の命は危険に晒され続けているかもしれない。
無論、もしここに二人が迷い込んだのであればの話だが。いずれにせよ、早く見つけなければ。
「まずは手掛かりだな」
「うん。ねぇ、おじさん、私達人を探してるんだ。中学生くらいの見た目の子が二人、どっちも男の子なんだけど」
「え、ぁあ、僕?」
「うん、見かけなかった?」
目下の所、一番の情報源は眼前の男性だ。
響が尋ねると彼は首を捻りながら、困ったように呟く。
「えぇ、中学生二人組かぁ……」
残念だが、男性の様子からして、得られる情報はなさそうだ。
外に出られないプレイヤーは下の階に留まるか、上に進んでいくしかないはず。
袈刃音達が今いる三階に長い時間逃げ隠れしていた彼なら、もしかすると恋達の姿を見たかもしれない。
そう思って響は尋ねたのだろうが、結果は芳しくない。
こうなれば、虱潰しに建物の中を探し回るしかないか。
「――あっ、でも、そういえば一人だけならそれっぽい子見たっけ。私服だったし、遠目だったから、小学生に見えなくもなかったけど」
「「ッ!?」」
それは、突然告げられた衝撃的な事実だった。
思わず、袈刃音と響は目を見合わせる。
そうして、
「え!な、何?どうしたんだよ君達、そんな怖い顔して」
「おじさん、今から訊く事に正直に答えて。その子、どこに行った?」
「あ、えぇ、えっと、確か上に行った気がするけど。でも流石に、どこの階に言ったかまでは……」
「いや、それだけ聞ければ十分だよ。ありがとう、おじさん」
来道は知らないが、袈刃音も、恋の身長ならば知っている。
低身長とまでいかないけれど、そこまで高くない。
遠目からなら、小学生に間違われても何ら不思議ではないだろう。
「上だな」
「うん。それと袈刃音、ここからは二手に分かれて動こう。おじさんが見たのがどっちか分からないけど、恋達がはぐれてる」
「分かった。響は六階まで、七階~最上階の九階までは俺が行く方が早い」
「オーケー。集合は一番下で」
恋と来道が一緒に行動していない理由が気になりはするが、今はそれどころではない。
袈刃音達は二人の影を追って上の階へ足を急がせた――。
よっしゃ、何とか間に合った……。
文月です。
週2回投稿はやっぱりキツかったですね。
ただ、どこかのタイミングでまた出来ればいいなぁ。もちろん、今度は本作のみで。
次回は12月です、お楽しみに!
【・ご案内】
下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。
ブックマーク、感想などもよければ。
作者のモチベーションとなります。
《完了》
【次の話へ進みますか?】
【→はい/いいえ】




