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第55話捜索しますか?

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 閑散とした道路を、二つの影が駆ける。


 一方は次第に荒くなっていく息になど構わずに。

 もう一方は、先を急ごうと速度を増していくその影を追うように。


 遂に見かねて、三浦袈刃音が眼前の少女を咎めるように叫ぶ。


「おい、おい!待てって響ッ」


 けれど、響は一向に止まる気配を見せない。

 それどころか、黙ったまま袈刃音との距離をまた広げた。


「くそっ……」


 葉山(はやま)(れん)月山(つきやま)来道(このみち)が、「さくらい」から姿を消した。

 すぐさま捜索を決断した袈刃音だったが、響が施設を抜けるのは当然不味い。


『さっきも言ったろ、お前がここ抜けたら誰が――』


『でも、袈刃音は来道の顔を知らない。恋と来道がはぐれてたら?それに、二人がどこに行ったかの心当たりもないでしょ』


『それは……でも』


 ゾンビの増え方だって異常で、何が起こるか本当に分からない。

 少なくともどちらかが施設を守るべきだ。


 気持ちは痛い程に分かるけれど、今はそんな我がままを通せる余裕なんてない。


『構わぬ、()け』


 そんな時、クロノが現れて、二人の会話に割って入ったのだ。


『行けってクロノ、お前……』


『じゃが非常時であろう?少なくとも、そこの娘にとっては』


『……』


『なに、最低限ここに立て籠もる準備は済ませてあるのだ。多少問題が起きようと、対処は出来よう』


 他人事のように楽観的に答える時空神に、しかし、一理あるとも感じた。

 千華や真白もいる。ここは一旦、彼女らに任せてもいいのか。


 とはいえ、


『三時間。三時間で響は戻らせる。千華、ちょっとの間ここ頼む』


『う、うん。頑張る。真白さんにも伝えとくね』


『ありがと。……響も、それでいいよな?』


 一瞬考える素振りを見せるも、彼女は頷いた。

 妥協したのだろう。


 しかし、あの時気付いていれば良かったと袈刃音は後悔した。

 それが響の焦燥を加速させてしまったのだから。


「待て!おい、落ち着けって――」


「落ち着いてなんかッ、らんないよ!」


 響に迫って腕を掴み、強引に制止させ、彼女の頭を冷やさせようとした瞬間だった。

 袈刃音の声を遮るようにして、響の叫ぶような声が鼓膜を震わせた。


 息を切らしながら、彼女の翡翠を思わせる瞳が、今にも崩れそうな表情と共に少年を見つめる。


()()()()()()()


「……は?」


「前の世界でも、前の前の世界でも、その前の世界でも……。恋は、この日に死んでるんだよ、袈刃音……ッ」


「ッ!?」


 初耳だった。

 いや、施設の子ども達が、ゲームが始まってすぐの頃に何人も亡くなった話は彼女から聞いた。


 では……つまり、恋もその内の一人だというのか?


「……もう私、自分から家族(みんな)に触れないんだ。過去(ここ)に戻って来るために、散々手を汚したから。そんな手じゃ、触れないんだ。だから……せめて守らせてよ、運命を変えさせてよ、袈刃音」


 こちらへ訴えかけるように、響は弱々しい声で言葉を絞り出す。

 そんな事、言われなくとも彼女の様子を見ていれば分かった。理解していた。


 だからこそ、やはり伝えねばならないと袈刃音は思った。


 少年は優しく少女の肩に両手を置く。


「知ってる、だから探してんだろ今。でも、無駄に体力使って、しかも無駄に動いて時間ロスしたら元も子もないんじゃねぇのか?」


「っ。……そう、だね、そうだよね。ごめん」


「行こう、時間もないし」


 幸い、というべきか、恋達の向かった先には既に見当がついている。

 二人が向かったとすれば、人が賑わっている場所――駅の方角だ。


『アンデッド・ゲーム』開始後、そして、それ以前のこの辺りに詳しい響が言うのだから信憑性は高いと思う。

 出来れば予想が当たっていて欲しい。


 とにかく急がなければ、と駆け足で先を進む。


 ――その最中に、袈刃音達は不死者の姿を視界に捉えた。









文月です。

今日は朝の内に投稿するぞ、と意気込み寝て、起きると昼だったという……。


さておき、お知らせを。

【お知らせ】

本作ですが、ついにカクヨムでの投稿を決定致しました!

開始は12月ぐらいでしょうか?日程は、大体そんな感じで行きたいと考えております。


といっても、「カクヨムに移行するぞー」というのではなく、向こうの方でも投稿しようかなぁというお話です。

寧ろ「なろう」の方が最新話の投稿は早いかな、と。


ので、そんな重大発表ではありませんが、一応報告させて頂きましたっ。



【・ご案内】

 下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。

 ブックマーク、感想などもよければ。


 作者のモチベーションとなります。


 《完了》





【次の話へ進みますか?】

【→はい/いいえ】

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