第37話1st STAGE CLEAR
Now Loading…
小学生の下校時間に合わせて鳴る短い音楽が聞こえた。
「三時……」
事前に録音された小学生の声が曲の後に流れる。
廃工場の中で、袈刃音はそれに軽く耳を傾けながら、ひとりごちた。
幸いにも、夏のお陰で日はまだ高く、夜の闇に視界を奪われるまでにはかなりの猶予がある。
行動するなら今だ。
「それで、どうするつもりじゃ?」
後ろから届いた声に振り向くと、クロノがそこにいた。
「……何でここに?」
訊くとクロノの顔が僅かに険しくなった気がした。
が、それも一瞬のこと。
時空神は悠然とした微笑を浮かべる。
「何、めろんぱんの味が気に入ってな。食べに来た。それに、どこかの阿呆は時花から目を離しておるしの」
「今の真白さん達だったら、よっぽどヤバいことが起きなきゃ大丈夫だ。これからすぐ合流するつもりだし」
「ならば早くせよ、その何かが起こる前にな」
「あぁ」
言われずとも理解しているつもりだ。
すでに『アンデッド・ゲーム』は本来迎えるはずの展開から逸脱しつつある。
袈刃音自身が未来を変えようと動いているから、という理由だけで済めばいい。
しかし、実際は、袈刃音をゲームから排除しようと目論む遊戯神も絡んでいる。
この先で待ち受ける未来は、果たしてどれだけ自分の知る未来に近いか。
正直に言えば、見当もつかない。
「……朝比奈旭は、良かったのか?」
空白の時間を埋めるようにして、クロノがそっと疑問を投げて来た。
「良く、ねぇけど。それでも、多分間違ってないよ」
「何?」
「遊戯神は気をつけなきゃヤバい。藍刃さんも、霞雅も。それは分かってるよ。けど、本当に狙ってんのは全員揃って俺で、旭は巻き込まれてるだけだから。だから正直、今は一緒にいる方が危ないと思った」
「大火より人を遠ざける……か。問題の先延ばしじゃな。火消しはどうする?水をかけるようなことで済む単純な話でもあるまい。下手をすれば、今回のように遠ざけた場所まで飛び火するぞ」
「対策は考えてる。時間かかるけど、上手くいけば時花ちゃんも守りやすくなる」
「ほう……」
クロノは話を聞くと、考える素振りを見せた。
「渡りに船か」
「?」
「ん。こちらの話じゃ、気にするほどでもない」
神界で何かあったのだろうか、彼女は言葉を有耶無耶にした。
気になりつつも、袈刃音は本懐の優先を選ぶ。
「お前も来るんだろ。だったら――まずは、真白さん達と合流だ」
文月です。
第一章はこれにて完結!
いかがでしたでしょうか、お楽しみ頂ける内容でありましたら幸いです。
さておき。
次回より第二章が始まります。
7月は準備もかねて、ゆっくり話を進めるかもですが。
【・ご案内】
下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。
ブックマーク、感想などもよければ。
作者のモチベーションとなります。
《完了》
【次の話へ進みますか?】
【→はい/いいえ】




