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第110話真実を告げますか?

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「……いや、何でもない。そういや、まだこの辺りの安全確かめてなかった。俺見て来るよ」


 淡々とした声で返すと恋は静かに立ち上がった。

 袈刃音は咄嗟に遠ざかろうとするその手を掴んだ。


「ま、て……駄目だ。今、無茶して離れる必要、なんか……。何かあれば、俺が――」


 まだ近くでプレイヤーがこちらを探し回っているかもしれない。

 ゾンビも、どこに潜んでいてもおかしくはなかった。

 しかし、だからといって恋が身を危険にさらしてまで動く理由にはならなかった。


 それは彼自身も理解しているはず。


「……」


「変、だぞ。どう、した?何かあるなら、話してくれ――くっ……」


 腹の傷が痛み、袈刃音は言葉を詰まらせた。

 脂汗が額に浮かぶ。苦悶の表情を浮かべながら、それどころではないと少年は恋の顔を見上げた。


 すると、どうしてか彼も苦しげな表情を一瞬見せた。そうしてこちらの手を静かに解いた。


 もう一度彼に伸ばした袈刃音の指は、直前で透明な()()に阻まれた。


「えっ……?」


 冷たさも熱さも感じず、どれ程目を凝らそうと視認する事すら叶わない。

 しかし、壁のような硬いその()()が、確かに自分と恋を隔てて存在していたのだ。


「悪い、嘘付いた。ホントはお前をここに閉じ込めたかった」


「なっ……!?」


 恋の不可解な言動に袈刃音は言葉を失った。

 一体どうして――いや、それ以前にどうやって?


【ポイント】を使う素振りなど、恋は微塵も見せていなかった。


 この不可視の壁を生み出せる隙など、どこにもなかったはず。


 混乱していると、恋がこちらへ振り向き言った。


「テラって奴に頼まれたんだ、『ミウラ・カバネを生け捕りにしろ』って。……そう、そうだ。お前んとこに来れたのも、あの煙幕を張れたのも、この透明な壁も、アイツの手助けのお陰だった」


「なん……どういう!何、でッ!」


 袈刃音の頭には怒りより先に戸惑いが生じていた。

 湧き上がった怒りも、理解が進まない現状への苛立ちでしかない。


 恋がテラの言いなりになった理由も、「さくらい」の皆に黙って袈刃音を騙そうとした理由も、何も分からなくて。


「……仕方ねぇじゃんか、()()()()()()()()()


「は?」


「お前が施設を出てちょっと後くらいにさ、トゥラヌアって奴が急に現れて。で――皆殺されたんだ。瑠璃も、来道も、満実お母さんもチビっ子どもも……皆、あの女に。あとはさっき言った通りさ」


 告げられた事実を吞み込めなかった。

 肉体の限界をとうに向かえ、無理矢理に保っていた意識が支えを失ったように崩れそうになった。


「クロノは?」


 守るための戦いだった。


「時花ちゃんは?」


 あの女神との契約も、あの施設に身を置く全員も。

 全て守れると、まだ無事なのだと信じて疑わなかった。


「千華は?真白さんは……?」


 だから戦って、傷付いて、無様に逃げて、それでもやり直せると思えた。

 だというのに、それなのにどうしてッ


「何で言わなかった。ッ、何で――」


「言ってやるかよ!お前なんかにッ」


「!?」


「……何の抵抗も出来ないまま、皆があの鋭い剣の餌食になった。最初は幾つもあった悲鳴が次々に消えていって、最後になってピタリと止んだ。気付いたら一人になってた。腰抜かして、響やお前が帰って来るのを祈るしかなくて――したら、トゥラヌアが言ったんだ。お前が響を殺した。あの時――お前が「さくらい」に戻って来た時、お前はトゥラヌアに追い詰められてた。だから、【ポイント】使って響と自分の居場所を入れ替えて、そしてお前は響を身代わりにして戻って来たって……そう言われたんだ」













【・ご案内】

 下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。

 ブックマーク、感想などもよければ。


 作者のモチベーションとなります。


 《完了》





【次の話へ進みますか?】

【→はい/いいえ】

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