第109話逃げ延びますか?
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これまでに幾度となく絶望を味わった場所、袈刃音は今、自分がそこへ戻って来たのだと気付いた。
奇妙な感覚だ。まだ何も終わっていないのに、終着点へと辿り着いてしまったような奇妙な感覚。
恋が不安気な瞳でこちらを覗き込んだ。
「傷……治せないのか?」
袈刃音は首を縦に振る代わりに、瞼をそっと閉じた。
「【ポイント】が、使えなくなってる」
恐らく、また遊戯神の仕業だろう。
◆―――――――――◇―――――――――◆
【プレイヤー名:三浦袈刃音】
【ギフト名:完全回復。15000ポイントを消費し、肉体の損傷及び状態異常を完全に修復する(ゾンビ化の進行には無効です)】
【!ERROR!:現在、完全回復が使用出来ません】
◆―――――――――◇―――――――――◆
袈刃音の前に浮かぶ黒い画面には、相変わらず申請拒否の文言が映し出されている。
腕の血は勢いこそ弱まったが、止まる気配を見せない。
もう一方の手でぐっと傷口の近くを掴むと、血が絞り出された。
「くっ……」
痛みに呻きながら、袈刃音は瞼を開き視線を落とす。
今まで気付かないふりをしていたが、抉れた脇腹からの大量出血もそろそろ見過ごせなくなって来た。
だが、仕方がなかった。何故ならこれは――
「馬鹿野郎、何で庇うんだよ。……死にかけてんじゃねぇか」
恋は声を押し殺しながら、泣きそうな顔をして言った。
あの時――非常階段から飛び出す直前、煙幕を貫いてシャーエイドロードの剣が伸びて来た。
そして、それを袈刃音が腹で受け止めた。
……避ければ負わずに済んだ傷だ。
だが、もしそうしていれば、攻撃は恋の体を確実に貫いていた。
「気に、すんな。大丈夫だ、これくらい……。それより、あり……がとな。あの煙幕がなかったら……それこそ、死んでたんだから」
「――!あれは、その……」
突然、恋が言い淀んだ。
「?」
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《完了》
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【→はい/いいえ】




