第105話連れられますか?
Now Loading…
「れ、恋?何で――」
「静かに。着いて来い」
困惑の中、葉山恋に腕を引っ張られる。
袈刃音はなされるがまま恋に連れられ、薄闇を小走りで進む。
雨脚が強まりつつあった。雷雲も遠くで唸り声を上げている。
自分と眼前の少年の足音だけがその中に存在している事に、袈刃音は妙な安心感を覚えた。
ここに自分達を襲う脅威はもういない、などとそんな訳あるはずないのに。
隠し切れない焦りと緊張を恋から感じる。
非常口の奥へと駆け込み扉を閉めると、そこでようやく立ち止った。
壁に背を預けた恋は、ここへ辿り着くまでに乱れた息を整える。
そんな彼に袈刃音が歩み寄り、先程訊きそびれた事を尋ねた。
「何でここに……。他の皆は、誰が一緒に来てんだ?」
恋は答えようとしなかった。
「まさか、一人で来たのか!?」
「自分の足で来たんじゃない。クロノって人に、その……送ってもらった」
「なっ。送ってもらったってそれ、【転移】でか?一体何でそんな事!ここが今どんなに危ないと――」
「うっせェ。分かってる、んな事は!」
袈刃音は恋の声に驚いた表情を見せる。
意図せず語気が強くなってしまった事に、恋も少しバツが悪そうな顔になりつつ、静かに言葉を続けた。
「……お前こそ、自分が今どんなヤベェ状態か分かってないだろ。だから来たんだ」
「え?」
「お前、あのシャーエイドロードとかいう奴に嵌められたろ。それで鹿羽市中の人間に追われてる」
「あ、あぁ、だから俺と一緒にいたりなんかしたら危険だって話をしてる訳で……」
「違うんだよ、そうじゃない。本当に危ないのはお前なんだよ」
「は?俺が、何で?」
正直に言えば、現状、ゲーム開始初期のプレイヤーが幾ら襲って来ようと袈刃音の脅威には成り得ない。
人間離れした身体能力と戦闘経験、【想焔】という強力なスキルを持つこちらと武装した一般人。戦ってどちらが勝つかなど容易に想像出来る。
寧ろ身を案じるべきは敵プレイヤー達の方だ。
まともに戦ったりして、手加減を誤り相手を殺してしまう可能性が袈刃音にはあった。
「だからなのですよ、ミウラ・カバネ」
その時だった、【守護者】の闇を纏った刃が袈刃音達を襲ったのは。
【・ご案内】
下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。
ブックマーク、感想などもよければ。
作者のモチベーションとなります。
《完了》
【次の話へ進みますか?】
【→はい/いいえ】




