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1 僕は記憶喪失なのか

 僕は、一体誰なんだろ?そんなアホみたいなことを考えている。

 目が覚めたら、まだ病室で、点滴は外されていたけど、目の前には、美魔女って感じの高そうな服を着ている女性と高校生ぐらいのカッコいいお兄さんと頭に青のリボンをつけたかわいい女の子がいた。

 僕とその女の子の目線が合う。

 「ハヤトお兄様がお目覚めになられた。よかった。」

 その女の子は、安堵し微笑んでいる。

 なんで安心したのか、この女の子が誰なのか分からない。

 「ハヤト大丈夫か。心配したんだぞ。」

 カッコいいお兄さんが語りかけたので、愛想笑いを浮かべる。

 最後に美魔女が僕の頭を優しく撫でる。

 「本当に良かった。目を覚ましてくれて。本当に良かった。」

 何度も何度も撫でてくれる。

 心配かけたんだな。

 申し訳ない。

 だけど僕は、思い出せない。

 このハイスペックの人達は誰。

 ハヤトって誰。

 僕の誰これといった反応に気まずい空気が漂ってきた。

 「ライト、クララ医師を呼んで来て。」

 美魔女がカッコいいお兄さんにお医者さんを呼びに行かせた。





 さっきのお医者さんがやって来た。

 美魔女が、そのお医者さんと何かコソコソ会話をしている。時々僕の顔を見ては曇った顔をした。

 「診察をするね。そのままでいいから私が今から質問するから答えてね。」

 「まず自分の名前?」

 「室月優太」

 「年齢は?」

 「16歳」

 「住所は?」

 「栄町」

 僕は、真面目に答えているが、何故かお医者さんの様子がおかしい。この後も色んな質問をされたがちゃんと答えた。

 「最後の質問をするね。今、目の前にいる方々が誰だか分かりますか?」

 「分かりません。」

 僕は、申し訳なく小さな声で答えた。

 お医者は、僕の額に右手をかざすと呪文を唱える。

 僕の額が仄かに輝くと、空中に日本語じゃない文字が浮かび上がる。

 何故かこの文字が読めた。

 「ハヤト・アイザック」

 僕の名前が浮かんでいるようであった。

 お医者さんが、呪文を唱え終えると自然と文字は消えていった。

 「本人に間違いない様ですね。一瞬違う人ではないかと疑ってしまいました。記憶障害のようです。脳や身体には異常はありません。」

 「あと一週間安静にして経過を見ましょう。記憶障害はいつまで続くのかはわかりません。人によっては突然思い出す人もいれば、一生戻らない人もいます。普段の生活に戻れば思い出せるかもしれません。」

 「お母様方は、気持ちをしっかり持たれてください。身体は正常ですので、そこは安心してください。」

 そう告げて病室を出て行った。

 そこには安堵とも言えず、心配する家族が残され、僕の事を見ていた。

 僕は何故だか気まずい愛想笑いを浮かべていた。




 それから一週間が経ち、今日は退院の日。

 この一週間、何人もの女の子が見舞いに来てくれた。男の子は全く来なかった。

 僕の家族と言っていたあの3人は毎日来てくれた。

 だけど自分の事は思い出せなかった。

 彼女らが言うには、僕は、モテモテだそうだ。この街では1番の有名学園でその中でも特待生。儚げな顔立ちとこの世界では珍しい黒髪が魅力的なんだと。そして家柄もいいとのこと。

 僕は、鏡で自分を見たが、自分でない男の子が写っていた。自分のほっぺをつまんだら痛かった。自分の顔に間違い。

 だけど未だに信じられなかった。

 病院の玄関前に一台の馬車が駐まっている。馬車の前には、1人の執事が立っていて、僕を見とめると会釈をした。

 馬車からは、僕の妹が降りて来て、僕の胸に飛び込んで来た。

 「お兄様おかえりなさい。」

 「リリィ、ただいま。」

 一応、この一週間で家族や使用人の名前や見舞いに来てくれた同級生は分かるようになった。

 「お世話になった方々への挨拶は終わりました。見送りはいいと断っております。では帰りましょうか。」

 僕の後から母上と兄が一緒に歩いてきた。

 僕は、家族に促され皆んなと馬車に乗り込んだ。

 執事は御者台に座ると、馬のゴーレム2馬が馬車を引き走り出した。

 僕達を乗せた馬車は、街の大通りを中心部に向け走っている。僕達の馬車内は不思議な事に全く揺れず、思いのほか広い。

 原理は分からないが、その様な魔道具らしい。

 立派な屋敷が建ち並んでいる地区を進んでいくとひときわ立派な屋敷が見えてきた。

 僕達を乗せた馬車は、その屋敷の門が自動で開くと敷地の中に入っていた。

 僕は、すごいな感心しながら窓からその情景をずっと見ていた。

 僕って実は異世界転生したのかなっと、馬鹿な事を考えていた。

 馬車は屋敷玄関前に音も揺れもなく静かに駐まった。




 執事が馬車の扉を開けると、母上、兄、僕、妹の順番で馬車から降りた。玄関前には、メイド6人が頭を下げ待ち構えていた。

 「旦那様が書斎で待たれています。お進み下さい。」

 執事が、僕達を父上の待つ書斎に案内する。

 「ハヤト。よかった。」

 僕達が、書斎に入ると壮麗な威厳のある男性が僕をだしきめてきた。

 書斎にある大きな木製の机の上には、タッチパネル式の光が浮かび上がっており、何かの報告書が写しだされていた。

 「ハヤト、済まなかった。私も入院しているお前の近くにいたかったが、あの事件の処理に追われて、見舞いに行けなかった。すまない。」

 「お前の事は、マリアから聞いている。まだ記憶が戻らないらしいな。でも心配するな。普段の生活に戻ればきっと記憶も帰ってくる。今日は自分の部屋でゆっくり休みなさい。明日から学園に通っうことになるからな。」

 「父上、ご心配をおかけしました。記憶を早く戻して遅れた時間を取り戻します。」

 僕は、父上にそう返すと書斎を出ると執事に部屋に部屋まで案内された。

 僕の部屋は自分の記憶していた部屋よりも格段に広く気品があり綺麗だった。

 僕はダブルベットくらい広いベッドに飛び込み、疲れていたのかそのまま寝付いてしまった。

 目が覚めたら日本の自分の部屋だったてならないかな。

 夢オチってやつ。

 チャンチャンって、何ちゃっててやつ。

 そう思いながら寝息を立てねてしまった。

 取り敢えず、おやすみなさい。

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