キララへの贈り物
何も文句も言わず 尽くしてくれているキララ
今回はそのキララにご褒美を考えた!
王妃とアズーロの件がハッキリして
兄達 タルボット とデルモントも徐々に回復し
今は 少しづつだが 王子しての任務をこなしている
らしい それは喜ばしい事だ。
そんなおり お城からの使いが来て 登城せよとの お達しが来た。
「今回も マリア ユーア ゼファー キララと俺の
五人で登城せよとの事なので、用意してくれ。」
「はい !」(全員の声)
昼頃に城からの馬車が来たので それに全員乗り
城に向かった。
城に着くと 案内役に案内され城内に進んだ。
そこは 王の寝室だった。
何か嫌な予感がする……。
扉を開け中に入ると 王は寝ていた。
「王様、アキラ伯爵が来られました。」
側近がそう耳元で話すと 王は起きた。
「おぉ アキラ伯爵殿 よう来てくれた。
実は余はもう長く無いのだ。」
「お父様 そんな事言わないで!」
「ユーア 良いのだ 余ももう歳である 後継者を
決めなくてはならん。そこでだが ユーアを妃と
して この国の王として受け継いでくれまいか?」
「王様 それは出来ません。 王には二人の立派な
王子がおります。それを差し置いて私などがつけば必ず後に 遺恨を残します。危うくば争い事と
なるやも知れません。どうぞそれはご勘弁下さい
出来れば ご長男に お世継ぎをなされなさい。
それが自然の摂理と心得ます。」
うむ まったくもって 貴殿の言う通りなのだが
あの二人もまた お互いが遠慮しているのじゃ
どうやら余の育て方が間違ってしまった様じゃ
どうしたもんかのぅ。いい知恵は無いか
アキラ伯爵殿!」
「分かりました それではお二人を暫く私に
お預け下さいませ。一緒に冒険をしましょう
それで 様々な経験を得て自信を持たせ 誰が
王にふさわしいか をお二人で決めて頂きましょう
それで如何でしょうか?」
「成る程、可愛い子には 旅をさせろだな?
良いかも知れん それでは早速頼む!
あぁ すまん その件と
もう一つある。 伯爵になって城が無いのは
些か体裁も悪い 隣街にある 小さいが堅牢な城
があるので 今日からそこを 使うが良い。」
「王様 誠にありがとうございます。
是非使わせて頂きます。」
「お父様 私はここにいた方がいい? 」
「お前は アキラ伯爵について行くが良い
好きなんだろう?」
「はい 大好きです! 」
「では 行きなさい。心配しなくとも良い」
「はい お父様!」
五人は 城の馬車で 次の住まいウインダム城に
到着した。
「さぁ 今日からは ココが俺達の城だぞ!」
「アキラ! もうこのレベルだと 少し人も居ない
と不味いよね?」
「あぁ そうだな 募集かけないとダメだな。」
五人は城内に入ると 総勢30名程の召使い達が
エントランス前で立っていた。
「アレ? この者達は?」
「アキラ伯爵様 ウインダム城にようこそ!
私達は アキラ伯爵様にお仕えします総勢31名の
召使いであります。よろしくお願い致します!」
「うはぁ〜本当にこんなに必要なんだね
ビックリした。アレ 男の人も居るね」
「アキラ伯爵様 私はウインダム城の運営管理を
仰せ仕ります セルと申します。以後よろしく
お願い申し上げます!」
「あぁ 皆んなこれからも よろしく頼む!
さぁ マリア ユーア ゼファー キララ入ろう」
ウインダム城は 小さいと言っても 部屋数も
30個 大広間2個 大浴場 露天風呂 と豪華極まり
無いお城だった。
「セル! セルはあるか?」
「はい 伯爵様」
「あのぅ 部屋の割振りなんて決まって無いよね」
「アキラ伯爵様の寝室は 特別部屋にございます
がそれ以外は 各自決めてもよろしいかと思います
が如何でしょうか?」
「うむ そうだな じや皆んな各自に任せるから
自分の部屋は決めてくれ!」
「アキラ伯爵様 外にタルボット様とデルモント様
がお越しですが 如何致しますか?」
「えっ 来たの? じゃ粗相の無いように お通して
下さい。」
部屋がいっぱいあって良かったよ まったく。
「あっ これはこれは アキラ伯爵殿 この度は
タルボットとデルモントを旅の友として 頂ける
とお聞き致しました。どうぞよろしくお願い
致します!」
「それより兄さん!この前のお礼が先ですぞ!
我々は アキラ伯爵殿が居たからこそ 今ここに
生きて居られるのですぞ!」
「おぉ〜そうであった。アキラ伯爵殿
この度は誠にありがとうございました。
弟と共に 助けて頂き感謝しております。
父があんな継母の色仕掛けに 惑わされなければ
こんな事には ならんかったのに まったく!」
「まぁ もう良いではありませんか。過ぎた事です
それよりこれからの事を考えましょう!
お二人は 王位を継承したくないのですか?」
「いや それはしたいのは山々だが 私の器では無い
弟の方が まだ適した器だと思う」
「兄さん! そうではない! 器などではなく
国民が大事では無いのですか? 我々が放棄したら
国民はどうします!誰も守ってくれませんぞ!」
「だから 父が言うように アキラ伯爵殿とユーアが
婚約し王位を 継承すればいいでは無いか?」
「父だって 本当は兄さんに 継いで貰いたいのです
それが分からないのですか? アキラ伯爵殿には
本当にすみませんが 頼りない兄さんですが
王位を兄さんに 継承させて頂きたく…」
「デルモント様 分かっております。実は私も
王位継承は 興味ありません。それより色々な所を
冒険する方が好きです。ですから王位継承は是非
ともタルボット様に お願い致しましょう
それには この冒険で 自信と責任を自覚してもらう
のが一番です! 明日からビシビシ 行きますぞ!」
「兄さん達 私からも良いかな? 特にタルボット
兄さん しっかりしなさい! 王家に生まれた以上
その責任は重大! 国民の生活が のし掛かって
いるのよ! それから逃れる事は出来ないと
自覚しなさい!! あ〜スッキリした。」
「ユーアは 意外としっかりしてるなぁ
ビックリしたよ 今日はもう遅いから話しは
また明日 しましょうか。タルボット様とデルモン
ト様はキララさん 部屋の割振り良いかな?」
「はい お手伝い致しましょう。どうぞ!」
「いつも お願いばかりで悪いな キララ!
今度 なんか綺麗な服でも プレゼントするよ!」
「えぁ〜 滅相も無い お気持ちだけで充分です!」
「キララって ピンク好きでしょ?」
「あっはい好きですが…。」
「あっそう分かった。では皆様 解散!」
俺達はその場を解散して 各自自分の部屋に入って
行った。俺の寝室は 特別部屋と言っていたな。
中に入ると 広い ビックリ!!
30畳程の広さに 大きなベットが二つある。
しかも周りの壁には 彫刻がなされていていかにも
高そうな部屋だ。テーブルや物入れなども 装飾さ
れており超高級感 バッチリの家具類。
王様 かなり気を使ってくれたなぁ。
感謝 感謝!
広いベットに 一人 ドーンと寝転んだ!
なんか 寝心地がいい。硬くなく 柔らか過ぎない
そのうち 睡魔が襲って来た……が ドアを叩く音
「うん? 誰だ 入っていいよ!」
「マリアです 入ります。」
マリアが何故か 深妙な顔で入って来た。
「どうした? マリア。」
「アキラ ……私 やはり身を引いた方が良い?
アキラをユーアさんに 渡すべき?
それが この国の為なの? ねぇ教えて!」
もう 半べそ状態 いや泣いている。
「いや お前の気持ちはわかるよ 今はそう急ぐな
俺がしっかり 兄達を鍛えて 立派な王にしてやる
からそうすれば その件はクリヤできるさ!」
「うん 本当に待ってて良いの? 」
「あぁ 〜 待っててくれ。」
マリアは涙をいっぱいためて アキラに向かって
飛びついた!アキラはそれをしっかりと受けて
マリアの唇に 口づけをした。
マリアの涙が アキラの頬にも 流れ伝わってきた。
「マリア その日まで 待ってくれるかい?」
「はい お待ち申し上げます。」
スッと マリアを抱い上げて マリアの部屋に
連れて行き ベットに寝かせた。そしてもう一度
口づけをして 俺は自分の寝室に 戻って行った。
さぁ 明日は何処にいくか!
大きなベットに 横になると 睡魔が降りてきて
そのまま 深い眠りについて行った。
次の朝 キララの美味しい朝食を食べながら
「俺は 今日戦いは休ませてくれ 少し街に行って
来るから その間自由にしてくれ。」
「はい! 分かりました。」
「了解です!」
「はい ご主人様」
「キララ! 今日は俺と少し街まで 付き合って
くれるかな? ユーア少しキララを借りるぞ!」
「はい 分かりました。」
例により 馬で二人は 街に来た。
やはりいつも 感じるが 女の子って自分の胸の
膨らみを意識しているのかなぁ?
後ろに乗っている キララも俺の背中に彼女の
膨らみが 伝わって来る。
断然馬車より 馬と決めた俺がいた……。
「アキラ伯爵様 何処に行かれるのですか?」
「うん ついてきてね。」
「あっ はい。」
俺は 高級そうな 衣服店に入った。
そこで
「あっ 先日 注文した物は出来ているかな?」
「はい 伯爵様 出来ております。ただ今ご用意
致しますので 少しお待ちを。」
店員が 奥から箱を二つ持って 戻って来た。
「こちらでございます。 試着致しますか?」
「あぁ そうだな 」
「俺は振り返り キララ 今日ここに来たのは
いつものお前の 心使いに感謝する意味での
プレゼントを渡したいからだ。どうか着てみて
くれないか?」
「えっ アキラ伯爵様! そんな!」
「まぁ いいから そこの中で 試着して俺に綺麗な
キララを見せてくれ。」
「はい ありがとうございます!」
暫くして 試着室のカーテンが開いた。
中から 淡いピンク色の 超高級そうなドレスを
着た キララが出て来た。
「おぉ ブラボー! やっぱり お前にはこの色が
似合うなぁ 惚れちゃうくらいだよ!」
キララは 目を真っ赤にして 涙を流していた。
「アキラ伯爵様 この様な素敵な物を 私が頂いて
本当によろしいのでしょうか?」
「あぁ キララだからこそ 相応しい。お前は
いつまでも ユーアを支えてやってくれ。」
「はい! アキラ伯爵様! ありがとうございます」
「さぁ では今度は レストランを予約している
そのままで良い 行こうか。 」
二人は 街一番の 高級レストランに入ると
「アキラ伯爵様 お待ち申し上げておりました。
どうぞ こちらです。」
「よろしく頼む。」
二人は 用意された テーブルに掛けると 間も無く
ワインを持った ソムリエが来て
「本日のおススメ赤 ワインです。お召し上がり
ますか?」
「あぁ 注いでくれ。 キララも今日は飲め。」
「はい 頂きます。」
その後 次々と 高級な食材が出されて 二人は
少しほろ酔い気分であった。
「少し良いですか? 」
「あぁ なんだい?」
「マリア様や ユーア様が アキラ伯爵様をお好き
なのは 勿論分かっております。しかしその意味は
分かっておりませんでしたが 本日ようやく理解
出来ました。アキラ伯爵様 程素晴らしい男は
この世には 居ないかも知れません。これは大げさ
な話ではございません。男など興味が 無いと
思っていた私が感じたのですから 間違いありませ
ん。身分をわきまえておりますし 実らぬ恋とは
存じておりますが 敢えて言います。貴方様が
好きです! 心から好きです! 」
「おいおい 少し酔ったな! はははははっ
しかし お前の気持ちは 有難いよ その気持ちは
是非 仕事にも活かしてくれ! 相手を慕う事は
より一層の力を発揮出来るのは 俺も実証済だ!」
「はい アキラ伯爵様! この料理本当に美味しい!
はははははっ」
二人は 充分と食事を楽しんで またウィンダム城
に帰って行った。
戻ると マリアとユーアが キララを見るなり
大はしゃぎで 女子会に花咲かせていた。
俺は ゼファーを目で合図し 部屋呼んだ。
「はい ご主人様 お呼びで」
「うむ 明日なんだがね 更なるレベルアップだと
何処が良いと思う?」
「はい フィーネの谷などは 如何でしょうか?」
「うむ そこはどういった谷で 魔物は?」
「はい 魔物はいわゆる蛇の化け物です。その谷に
は数千匹の蛇の魔物が 冒険者を待ち構えており
ます。しかし未だ 突破した者は いないと聞きます
もし 突破出来れば アキラ伯爵様の名声は 全国に
知れ渡る事 間違いありません。」
「そうなのか でレベルと 弱点は?」
「レベルは130から150と言った所で 弱点は
やはり火を嫌います。」
「うむ 1000匹以上倒せば かなりレベルアップが
可能だか…。どう戦う?」
「私は 前と同様に空からブレスを、アキラ伯爵様
一行は地上より 止めながら魔法とお二人の戦士の
剣で首を落とすの繰り返しとなるでしょう」
「うむ そうなるなぁ 戦士をいかに 奮い立たせる
かが ポイントなんだよね〜今回は。」
「アキラ伯爵様 貴方様は なんと思慮深き方なの
です! お二人の王子を鍛える為の狩なのですね
今回の冒険は。」
「はい ご名答! 二人を奮い立たせて王になって
貰わんと困るでしょ 今回は名声も手に入ると
あらば やらない理由がないと言う事だね!
では 明日頼むぞ!ゼファーよ」
「はい! ご主人様!」
明日の事を決めて 話しを終え解散し
あの ベットに横になると睡魔が降りて来た。
まだまだ冒険は続く