新たな冒険
魔物を倒してクリア出来るのか!
もう 昼近くになっていた。ふと目を覚ますと
隣にマリアが寝ている。
か、か、可愛い…。
そっと小さく 声を掛けてみた。
「マリア おはよう 起きる?」
「うーーん 何時かな? 」
「もうお昼近く だと思う」
「もう お昼かぁ でもこのまま 一緒にいたい気も
するけど〜 あぁダメ! 起きる 起きる!」
「じゃ 宿の人に 食事の用意してもらうね。」
俺は 宿の者に言って 限りなく昼飯に近い朝食を
用意して貰い 美味しく頂いた。
「マリア 今日 行くカサンドラは 塔になっていて
5階まであるんだ。 一階がレベル100くらいで
二階が120くらいだって言っていたが その上の
三階以上は まだ誰も 行ってないから情報が無い
俺達が最初の挑戦と言う事になる。
でも 俺達なら クリア出来る。 だろ?」
「はい 貴方となら 出来る気がします。」
「最後に五階の魔物を 倒すと何かが起こるらしい
んだが、勿論それは噂しか無いので 分からない。
でも 二人にとって 良い事が起こる そんな気がし
てならないんだ。」
「きっとそうよ 二人にとって 良い事が起こる。」
「では 準備をしようか?」
「はい。」
二人は 装備を再点検 確認し 馬に乗った。
海岸沿いを 30分程走ると カサンドラの塔が
見えて来た。海岸沿いに建つその塔は まるで
灯台の様だが その大きさは 何倍もある。
おそらくワンフロアの広さは 200坪くらいか
まぁ 戦うには充分過ぎる程の広さだ。
それが五階まで そびえている。
塔の前に着くと 扉を 叩くと
「挑戦する者か! 否か!」
そう 扉の中から 声がした。
「挑戦する者也!」
大きな扉が ギギギっと音を立てて 開いた。
「さぁ マリア 行くぞ!」
「はい!」
一階の魔物は どうやら目の前の 樹木の魔物
トレントジャイアントの様だ。
レベルは110程。まぁ俺の敵では無い。
「おい 早く上に行きたいから 初めていいな?」
「はははっ 上に行きたいだと?無理無理無理」
トレントジャイアントは毒を吐いた!
その瞬間 時間か止まった!
「バカな奴だ まんまと攻撃してくれたぜ!」
俺は時間を止め トレントジャイアントの背後に
周り 背から心臓を 激しく突いて穴を空けた。
「解除!」
ドドドドーーーーーーン!
「なんで 俺がやられるのだーーー!」
「それは…弱いからだ。」
シューシューシューーーーーーー。
トレントジャイアントは 溶けて無くなった。
「アキラ! 」
「マリア さぁ 上に行こう!」
二人は 階段を上がり 二階に上がった。
辺りは真っ暗であったが 奥から声がした。
「下の樹木を倒したとしても いい気になるなよ
アイツは 毒しか吐けん 弱虫だからな!」
「うむ お前も 対して強くないのう 130くらい
しか無いじゃないか?」
「なんだと! 生意気な 人間だ! 頭から喰って
やる!」
奥からサキュバスが 飛び出して来た!
大きな口を開け 本当に食べる気の様だ。
「言っておくが クロノスは 私には効かんぞ!
悪魔系は 時間スキル無効と相場が決まっている」
「その様だな。 血の結界! ハイド!」
俺は マリアに血の結界を発動させ 守り 自分は
ハイドして 姿を消した。
サキュバスはマリアに ビッグファイヤーボムを
撃っだが 血の結界の効果で 無効化成功。
俺は サキュバスの目の前で 一撃を食らわした!
ハイドからの一撃は 数倍のダメージを与えて
サキュバスは その場で血を吐き 絶命した。
「悪魔系にクロノスが効かないとは 聞いて無い
なぁ。 相手が弱かったからいい物だが…。
マリア 今度の敵は まだ 未知数だ 気をつけてな」
「はい!」
階段を上がり 三階に上がると
「サキュバスを 一発で仕留めるとは 中々だの
しかし いつも人間は この階で死んじゃうから
ここの 情報は無かっただろう?」
「俺達が 最初って事だな。」
「ほう 言ってくれるねぇ。 ではコレはどうかな
動けるかい?」
足が まるで床に張り付いた様に 身動きが取れない
「お前も 悪魔系なんだな クソ!」
「そうだ バズズ と申す! 悪魔その物だよ」
マリアがアイスアローを撃った!
バズズに命中したが まったくダメージを受けて
いない。
「お前は 後で痛ぶりながら 殺してやるから少し
待っていなさい!」
バズズはサイレンスを唱え マリアは暫く詠唱が
封じられた!
「さぁ お前の番だよ 黒焦げになりなさい!」
大きな炎が 渦となり 飛んで来た!
すると アキラに当たり 大爆発した!
ドドドドドドドドドドゥーーーーーーン!
「あっ アキラーーーーーー!」
煙りが充満し 辺りは真っ白になり 姿は確認出来
無かった。
「この 破壊力では 少し強すぎましたねぇ
ではお前の番です。殺しましょうかねぇ。」
「まだ それは早いな! 一撃! 」
バズズの背後にいた アキラがハイドを解除し
一撃を放った!
「何故 お前が ココに! グホッ グホッ!」
「お前が 倒したのは 俺の幻影だよ」
「ふふっ グホッ 人間にやられるとは……。」
バズズはその場に倒れ 砂となった。
「マリア 大丈夫か?」
「はい 解けました。」
俺達は 更に上に上がって行った。
中央に居たのは 一人の少女。
「へぇ〜 人間がここまで来たのは 初めてよ
褒めてあげるわ。」
「マリア コイツ強い!気をつけろ!」
俺は 見た目は少女の中に とてつもない憎悪を
感じた。 見るとレベル180! 油断は出来ない!
「ありがとうね お礼に 本気出してあげる!」
少女は姿を消した!
「血の結界!」
次の瞬間 マリアの所に ドドドーーーーーン!
と衝撃が走ったが 血の結界で守られた!
「あら 何故 女を襲うって 分かってのかしら?」
「悪魔の考えそうな事だろ 陰険な奴のな!」
「なんか 一々 気に障るわね!」
少女が 姿を消し再度攻撃してくる!
しかし今度は マリアではない!
「血の結界! 幻影!」
「はははっ もう終わったわね 彼女を守るのに
必死なのね! 死になさい!」
アキラの所で 姿を現し 心臓に一突きした!
その瞬間 トラバサミが発動!
「馬鹿め! それは俺の幻影だよ! 一撃!」
トラバサミに囚われている少女は 恐怖で顔を
引きつらせて
「バカな 人間如きに 私が負けるだと!」
ズバッシューーーーーー!
少女の姿は 見る見る おぞましい魔物に変わり
緑色した 体はドロドロと 溶けて床に流れた。
「俺から 言わせれば 悪魔如きと 言いたいね
マリア 大丈夫か? 」
「はい 大丈夫です! 少女の姿で油断させて
いたのですね。」
「悪魔なんて 人を騙してナンボだからね」
「その悪魔を 騙すなんて凄い!」
「マリア それ 褒めてる?」
「勿論ですわ でも私を騙したら…分かってますね
うふふふっ。」
「お前の方が 悪魔より怖いよ…ホント。
では最後の 階段を上がろうか!」
「はい!」
最後の階段を上がると 大きな扉があった。
その扉を 押すと ギギギっと音を立て開いた。
中央に爺さんが立っていた。
「ふむ ようやく ここまで来る人間がいたか。
お主は 転生して良かったかの?」
「なんだ いきなり戦うんじゃないのか?」
「うむ その前に 聞いて見たかったのじゃよ」
「あぁ ここに来て多くを学んだ。愛する人も
出来た。ここに来て 本当に良かったよ」
「そうか それを聞いて安心したよ。
では 早速殺してやろうかのぅ。
ヘルファイアーー!」
「血の結界! ハイド!」
ドドドドドーーーーーーン!
二人に範囲魔法のヘルファイアが襲った!
マリアは血の結界で守られている!
アキラは姿を消し 爺さんの背後に周り一突き!
したが 爺さんの姿が消え トラバサミ発動!
「しまった! 幻影だ!」
「ホォホォホォホォ かかったのぉ。では
これでも 喰らえ! ラストファイア!!」
大きな炎の塊が 二人を包んだ!
ドドドドドーーーーーーン!
バリバリバリバリーーーーーーン!
「ほう まだ息が有るのか 褒めてやろう
残り 10%だのう 女は1%しか無いぞ 。あと1回の
ファイアボムでも 死ぬだろう。どうだここに
1本の回復薬がある。この回復薬は完全に体を
元に戻す事が出来る。ただし1本しか無いぞ
お前に 使いまた戦うチャンスを得るか
それとも 女を助けるか?どっちを選ぶんじゃ。」
「本当に 彼女を救えるのか? 嘘では無いのか?」
「俺は 悪魔では無い。嘘はつかんよ。どうする」
「それなら 彼女に渡してくれ! 俺はいい。どうせ
お前には 勝てんだろう。いや勝つ気がしない
それなら 彼女に生きて欲しい!」
「そうか では女に渡そう。お前は死ね!」
真っ赤な炎が 俺を包んで 意識が段々と遠くなって
いく感覚だ。しかし痛みは感じない。
コレが死なのか……。
2回も死ぬとはな……。
「おい 東山、どうした!」
「えっ 何?」
「お前 人の話を聞けよ! だから今日はけたら
合コン来てくれよ!」
「合コン? 」
「そうだよ まっお前は居るだけでいいさ
人数合わせっていう奴だ だから良いだろ参加
してくれるよな?」
「分かった 参加するよ。」
俺は 元の世界に戻っていた。
あの何も出来ない 俺に戻ってしまったのだ。
でも少しおかしい。いつもなら 会社が終わる
とすぐに 家に帰る筈だが 今俺は確かに 合コン
に参加すると言ってしまった。
いや そうではない、行きたかったのだ。
俺の何かが 前と違う……。
仕事を終え合コンの店に行き 席を探すと
他の男は席にいて 俺を見つけると
手招きしていた。
その空いてる席に 俺も座った。
「あと 1人で全員揃うわ もう少し待ってね」
「あっ 来たみたいよ こっちこっち!」
最後の女子が揃って 合コンは始まった。
自己紹介から始まり 他愛もないエピソードなど
合コンの場は それなりに 盛り上がっていた。
「ねぇ 東山さんて なんか影があって素敵!
私そういう男子に 惹かれるのよねぇ」
「えっ 俺は只の根暗なだけで 影があるんじゃ
ないですよ 」
「それが 良いのよ ねぇ 和美はどう?」
「そうなぇ 私も東山さん タイプかなぁ。」
「あら ダメよ この前だって 和美 私が目を付け
た男子を 横取りしたじゃない!」
「へぇ 東山結構モテるじゃないの。じゃ店員に
酒 注文するけど 最初は生でいい?」
「はーーい」(全員の声)
「すみませーーん 注文!」
「はーーい どうぞ!」
その時 俺は 時間が止まった気がした!
その店員が注文を取りに目の前に来たが
顔を見上げると そこに居たのは
マリア だった!
俺は思わず わ!っと声を出した。
すると マリアも アキラ?と呟いた。
「何だよ アキラ 知ってるの?この店員さん」
俺はもう 何が何だか分からなくなって
「本当に マリアなのか?」
「はい あの後 私もここに 来ていました。
でも時間的には もう1年は経っている様です。」
「あぁ だから少し違和感があったのか…。
後で会えるか?」
「はい 」
「おい 注文良いかな?」
「あぁ悪い 」
その後2時間程 騒いでいたが 2次会の話が出て
俺は用事が出来たと 言って断り早々に店を出た。
男達はいつもアイツは 空気が読めないんだとか
影口を叩いていたが その内女との会話で かき消さ
れた。
俺は店が終わるまで 外の路地で待った。
明かりが半分消え 何人かの店員が出て来た。
その中にマリアはいた。
「マリア この世界は 前とは違う。戦いも無く
魔法も無い。俺も強くは無い。でも…でもお前を
愛している事は 変わりない。お前は…。」
「貴方 何も無くても良いの 貴方がいれば。私
にとって 貴方が全てなの……。」
二人は 見つめ合い 力強く抱き合った。
そして 歩き出した。
この世界の冒険者として………。
終わり
今までありがとう ございました。