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序章

雑踏の中で昔の名前を呼ばれたような気がした。


とっさに辺りを見渡したけれど、目に映るのは、忙しなく動く人の波。


安堵と共にこみ上げるのは、孤独感だろうか。


その名を知る人は、もう誰もいない。


それでいいのだと、何度も自分に言い聞かせた。





現在の大陸において、王制が廃止される国は、珍しくない。


大陸のほとんどの国を巻き込んだ大戦が起きた後、それぞれの君主の力は、急速に弱まっていった。


小国では、特に人々の不満を抑え切れなかった君主達は、その地位を剥奪されていった。


有る者は、国を追われ、有る者は、命を奪われた。


そして、私の父もその命を奪われた君主の一人である。


父を王座から引きずりおろした国民を憎んでいるかと問われれば、そうでもない。


王制という名の一つの時代が終わっただけのことだ。


そんなことも今の私にとっては、まったく意味を成さない。


今の私は、ただの15歳の娘。


名前は、キティ。


小さな頃、よく読んでもらった本に出てくる悪戯っ子の妖精の名前。


背中に生えた美しい羽で、軽々と飛び回る妖精は、誰の目にも留まることなく、そこに生きる人々にちょっかいをかけながら、旅をする。


キティの行動は、人々にとって、善いことにもなるが、時に悲劇を巻き起こしたりする。


けれど、そんなことキティには、関係ない。


彼女は、ただ気の赴くままに飛び回るだけなのだ。


決して誰の目に留まることなく。

初めまして。雨月えみと申します。私の初めての小説を読んでいただき、ありがとうございます。頑張って書きますので、これからもお付き合いくださると光栄です。

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