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名探偵・藤崎誠シリーズ

メール問題

作者: さきら天悟

「名探偵の藤崎さん、どう思いますか?」


人気芸人Uは藤崎に視線を送った。

前回の出演が好評だったため、U司会の番組から再びお声がかかったのだ。

(前回は『ゴーストバスターズ』)


「私は、親が見ても良いと思います。

中学生までなら」


「へー、藤崎さんは少数派ですね」

Uは驚いて見せた。

「中学生はもう大人だから、プライバシーを尊重するべきだ、

という意見が多いですが」


今日の討論テーマは、子供のメールの閲覧についてだった。

メールの文書に「バカ」とか「死ね」などの言葉が使われていると、

親にメール送信する機能についてだった。

自分の子供がイジメられていないか、

また逆にイジメていないかを心配する親が多いという。


芸人、教育評論家らは、

自分がされるのはイヤだ、

子供にも人権がある、

などと反対意見が多く、意見は出尽くされた。



あと、7分。

藤崎は計算した。

Uは番組のまとめを藤崎に求めていると察した。


「なぜ、そんなに嫌がるんですか。

メールを見られて」

藤崎が芸人に視線を合わせる。

カメラがその芸人をアップにする。

藤崎がUにアイコンタクトする。



「今、はやりの不倫でもしてるんですか?」

Uは芸人にツッコむ。

観覧の客が沸く、芸人は首を振って否定する。


藤崎にカメラが向く。

「私は小中学生にケータイやスマホを持たせることに反対です。

インターネットで無制限に閲覧することは、

深夜の繁華街をさまようのと同じくらい危険な行為です。

閲覧やメールに制限を付けるのは、親として当たり前の行為です」


司会のUは眉をひそめる。

もう、次はないな。

番組のまとめを期待したが、藤崎の答えは常識過ぎた。


「これは親の愛なんです」

藤崎は熱く語った。


Uは何か予感を感じた。


「私はメールにこの親の愛を注入するべきだと思います」


「具体的にどうするんですか」

Uは藤崎の答えを引き出す。


「メールをすべて親に公開できるようにします」


えー、と番組閲覧の客らが声を上げる。

ゲスト出演者らも眉をひそめる。


「子供に、ケータイを持たせる条件にすれば良いと思います。

ケータイを持ちたいならこの条件を飲めと。

そうでなければ、高校生になるまで待てと」


ん~、と客の歓声が変わる。


「この新しいSNSを『見え~る』と名付けます」

藤崎はカメラに視線を合わせたまま、資料の裏にペンを走らせる。


「ダジャレかいな」

藤崎の隣の芸人がツッコむ。


「いいえ、メールに愛を込めました」

藤崎はUを見る。


Uは大きく頷く。

「そういうことですか。

メールに愛を注入するとは」


Uはアシスタントが持っていたフリップを取り上げ、

『ME-RUメール』と裏にペンで書く。


「これに愛を加えるんですね」


『M(I)E-RU』


「メールにIを加えると、『見え~る』にという訳ですね」

Uの解説に観客の歓声が上がった。

そして、番組は終了した。



Uは、資料の裏側を向けている藤崎に視線を合わせた。

にこりと微笑み、藤崎に大きく頷いた。

昨日、バイキングを見て書こうと思いました。

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