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異世界  作者: カラス
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犠牲

はたからみれば、ごくごく普通の授業が行われている。

教壇に立ち、授業を進行する珀真(はくま)。珀真の言うことを真剣に聞くもの、目線を合わせると逸らすもの、コソコソと話すもの。


虚しさを覚える。公務員は安定しているし、勉強は得意だった。だから教師という道を選んだ。

しかしながら、後悔している。

あまりにも生徒と教師の価値観が違いすぎるのだ。黒板にチョークで淡々と現代文を書く日々。

それを写して、配られる給食を食べて、掃除をして、部活をして、家に帰って生活する。

他人を意識しなければ、誰にだって出来ることなのだ。


けれど、若者にとっては苦痛なのだろう。特別ではない。意味のない生活を受け入れられない。

だから、恋をしたり、仲間意識を作ったり、虐めをして現実から逃避している。意味のない生活を強引に意味のある生活にしようとしている。自由を欲している。若者は、もっと自由であるべきと各々、固定概念を作ってしまっている。


それが珀真にとって、醜くてしょうがなかった。情けないとすら思っていた。

淀んだ思想をしながらでも、ただひたすら授業を進める。授業といっても、ひたすら黒板に現代文や小論文の解説を書くだけ。書き終われば、今度テストに出るから覚えておくようにと、分からないことがあれば各自質問してきてください、これを言って終わり。


しかし、今日は思いのほか時間に余裕があった。余った時間は、この後の勤務時間を考えると少しでもさぼっておきたかった。

「残りの時間は、グループを作り、先生から出すテーマについて考えてみてください。あなたたちが思う学校とは、なんですか。」

「奴隷、教師が主で奴隷生活を強引に強いられる収容所」

「おまえ、それいっちゃおしまいだろ」

クラスの生徒の大半がクスクスと笑い、ざわつきはじめた。

「先生はグループを作って議題しなさいと言いました。それとも、先生とグループを組みますか。」

「いやでーす。」

「なら、グループつくってください。授業の終わりに、各自のグループで出した結論を発表してもらいます。」

少し笑みを含んだ口調で言った。作り笑顔。教師として平等な立ち振る舞いをしつつ、生徒からの信頼も高いのも、この作り笑顔と穏やかな口調のおかげだ。もっとも、問題がないわけではないが、公の場では何も知らないふりをしている。

あとは、終業時刻まで椅子に座り読書をする。長い束縛時間のつかの間の至福の時を味わっていた。


「そろそろ、いいですか。各班の結論を発表してもらいます。では、一班から」

「学校とは学ぶ場です。」

優等生らしいもっともな答えだった。比較的、おとなしい女子生徒が集まった一班は、珀真の立場からしても対応がしやすかった。

問題は二班。。先ほど、珀真につかかってきた生徒、峰内がいる班だった。この班は、どこの学校にもいる不良系グループだった。

「では次に二班から。」

「学校とは女の子と淫らな行為をする場です。」

「ちょっとキモイって。」

面倒だ。心の底からため息が出る。それとは別に、クラスは盛り上がっていた。

「静かに。では次に三班から。」

「えー、無視かよ。」

これ以上、峰内は相手にしなかった。そして、続く三班も四班も順調に発表を終えて行った。

「次に五班。」

「学校とは、いくつもの犠牲の上になりたっています。本来なら、この教室だってただの共有スペースにすぎません。しかし、能力の差で優劣が生まれ、能力が優れるものは上に行き、劣るものは、踏みつぶされます。」

「なにあれ?キモくない。」

「ひゅー、カッコいい。あとで、沙希(さき)、俺のところに来いよ。」

五班、このクラスで唯一いじめを受けている、沙希がいる班だった。ものすごく冷たい視線を受け、手は震え、怯えている口調でも、それでも珀真に訴えかけようとしているのが伝わった。...先生、助けてくれと。

「そうですか。他の生徒があいまいにする本質をとらえた言い結論ですね。その感性、大事にしていってください。」

...作り笑顔。チャイムの音が鳴る










前回に引き続き、読み呼んでくれた人たち、(人''▽`)ありがとう☆

わたしも、この時代にいれば、友達...とか出来たのかな。

私は、ずっと一人だったから良く分からないのだけれど。


読んでくれた人たち、今日一日お疲れ様です(⋈◍>◡<◍)。✧♡


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