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騎士の暴走。(第23話)

「して…この店の護衛は誰がやるのだ?私の部下にさせてもよいが…それだといささか問題が出てくる……うーん…」


リクシャリアさんは頭を抱え、うんうんとうなっている。確かにこの店の構造も知らない人にお留守番を頼むのも怖いし……


「何を悩んでいる。ワシがおることを忘れたとは言わせんぞ?」


僕とリクシャリアさんが悩んでいると、後ろから修じぃの声が飛んできた。そうだ、この店には修じぃがいたじゃないか。なんという失態…


「そっか…修じぃならパルフェの作りもよく知ってるし……ねぇ修じぃ、お留守番、任せてもいいかな?」


僕は修じぃに歩み寄り、少し見上げるような体勢になって頼みごとをした。僕のこの行動を見て、リクシャリアさんが鼻を抑えているが気にしないでおこう。


「もちろん構わん。気にせず散歩して来たらいいぞ。」


修じぃはやわらかく微笑んで、優しく僕の頭を撫でてくれた。

幼いころに何度も経験したこの感覚は、僕を落ち着かせる効果があるみたいだ。


「じゃあよろしくね。なにかあっても、修じぃなら大丈夫でしょ?」


「無論。気にせず楽しんでこい。」


修じぃの頼もしい言葉にお礼を言って、僕はリクシャリアさんとアイヴィスさんのほうにくるりと向き直った。



「パルフェの留守番は、修じぃが引き受けてくれることになりました。だから、気にせず行きましょう。」


「あ、あぁ……だがリン、その前に一ついいか?」


リクシャリアさんはかなり興奮したような表情で僕の腰をつかみ、一気に抱き上げた。

まさか18歳にもなって、女性に抱っこされるなんて夢にも思わなかった。


「さっきの表情はずるすぎるぞリンっ!」


さっきの表情。これはおそらく、僕が修じぃにお留守番を頼みに行ったときの表情だろう。

確かに僕は少し子供っぽい表情と言葉遣いをした。でも、ここまで興奮するものだろうか。


僕は再び、リクシャリアさんの底知れぬ性欲の怖さを思い知ったような気がする。


「何をしているんですか。変態騎士長。」


「なっ?!へ、変態ではないっ!」


いいえあなたはへんたいです。



先ほどのリクシャリアさんの暴走が収まってから数分後。



「さてとっ…それでは参りましょうか。騎士長、凛くん。くれぐれもはぐれたりお財布を無くしたりしないでくださいね?」


アイヴィスさんはまるで母親のような物言いで、僕とリクシャリアさんに注意を促した。僕に注意を促すのならわかるのだが、なぜリクシャリアさんにも同じことを言うのだろうか。

リクシャリアさんは仮にも騎士長であるため、財布を無くすといった心配事は杞憂だと思うのだが…


「凛くん、杞憂ではありませんよ。むしろ、一番の懸念事項です。」


「えっ…ま、また心をっ…!?」


「今回は違いますよ。思い切り声に出ていました。」


僕がはっとなってリクシャリアさんのほうを向くと、リクシャリアさんは明らかにうれしそうな顔をしていた。


「フフッ……リンはアイヴィスと違って、私のことを心から信用してくれているのだなっ!」


…さっきまでは信用していたのだが、リクシャリアさんの暴走をみて少し僕の中で信用が失われつつあった。


「えぇ…まぁ。リクシャリアさんは恩人ですから。」


「ふふんっ!どうだ、聞いたかアイヴィスっ!」


リクシャリアさんは満面のどや顔で、くるんとアイヴィスさんの方を向いた。


アイヴィスさんは白い目でリクシャリアさんを見つめていた。



今回はセリフマシマシでお送りしました。

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