カフワのお勉強。(第15話)
さて、空気が和んだところで……リクシャリアさんにコーヒー、いやカフワの挽き方を教えないと。
ただ、当のリクシャリアさんはというと……
「とても美味だったぞリン!もう一杯くれないか?」
横にひそかにだしておいたショートケーキも平らげ、満面の笑みでコーヒーカップを僕の方に差し出してくる。全くこの人ったら… そうだ。
「リクシャリアさん、折角ですからリクシャリアさんご自身でカフワを挽いてみませんか?」
「む…そうか…ここで働くのなら、この美味な飲み物の作り方くらい心得ておかねばな!」
といってリクシャリアさんは自らの胸にどんと手を置く。……少し気を抜いたら、すぐにこの人のペースに持っていかれてしまう。
あとこれはきちんと当人に言っておかなければならないのだが、これからはきちんと『カフワ』と呼んでもらなわないと……
「では、これからカフワの挽き方をお教えしますね。まずは道具の説明から」
「カフワを挽くのに欠かせない道具がこの『ミル』です」
「カフワの豆を挽くのになぜミルが必要かというと、しっかりと香りの立つカフワを作るためです。せっかく高級な豆を使っていても、合わないミルで挽いてしまうと美味しさが無くなってしまいますから。それと…これに慣れるには少し時間がかかります」
少し話の内容に熱が入り、若干早歩きでの説明になってしまった。でもリクシャリアさんはしっかりと話の内容を理解していてくれたようで、スムーズに話が進んだ。
「ふむふむ…ではこの薄い紙はなんなのだ?」
そういってリクシャリアさんはコーヒーフィルターを指差す。
「これはコーヒーフィルターと言って、カフワを容器に移す時にコーヒードリッパーに敷くものです。これがあることにより、カフワの豆の欠片などが混入するのを防ぎます」
こうして小一時間ほど、リクシャリアさんに喫茶店のイロハを教えた。
ただ……唯一僕の名前を知っていた騎士さんはリクシャリアさんの近くでニコニコとしながら僕を見続けていたのが引っかかった。




