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数時間後。
「リズ、服を貸してくれてありがとうね。」
シャルティアは昼間と違ってドレスではなく、一般的な町娘の格好をしていた。
「いいえ、シャルティア様、どうかご無事で。」
リズと呼ばれた女性はおそらくシャルティアの侍女だと思われる。
己の主を危険な旅に送り出すというときなのに、その表情に悲痛さは浮かんでいない。
「信じていますわ。あなた様は呪いなんかに負けたりしないと。ですから、思いっきり楽しんでくださいね。」
むしろ、リズはにこやかな表情を浮かべた。
「もちろん、そうするに決まってるでしょ。」
その光景を見ていたガルがボソッとつぶやいた。
「主と従者は似るっていうけど、変人オヒメサマのとこの侍女も変人か。」
「……そろそろ行きましょうか。」
いつまでも城門に長いするわけにはいかない。
面倒なことになる前にシオンは城を出ることを提案した。
こうして彼らは闇夜の中城を抜け出した。