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千切れた糸を眺める、赤檻にて。

作者: かれんこ


『 拝啓、愛しき貴方様。

  私は赤い檻で余生、

  楽しく過ごしております。

  また会えることはあるのでしょう?

  お体に、気をつけて....      』




どんなに星にただ願っても

契った時は一切巻き戻らない

夕日が暮れ、騒がしく蜜時

心の中は、涙涙


貴方の吐息も、汗も、唾液も、血液も

すべて私のものだったのに...


はじめましてのあの頃を

今宵も朝まで思い出し腐る

廃退の日々を過しながら

千切れた糸を眺める

この、薄暗い赤檻にて。



どんな本を読み漁っても、

千切れた糸の結び方が解らない

途方に暮れ、見上げれば満月、

心に沁みて、涙涙


貴方の吐息は、汗は、唾液は、血液は、

いまは誰のものなのです...?


はじめましての人間と

今宵も朝まで熔け合って腐る

排泄の沼に溺れながら

戻せぬ距離を嘆いた

この、薄暗い赤檻にて。




貴方にもう一度触れたいと願うけど

赤檻に浸かったこの身じゃ汚れてしまうから

千切れた糸を握り締め、

貴方の事をただ、思うよ




はるかとおくのあの人の

巷の噂を耳にして笑う

幸福の日々に過し

笑う姿に祈った

この、薄暗い赤檻にて。




『 拝啓、愛しき貴方様。

  私は赤い檻で余生、

  苦しく生きております。

  もう会えることはないのでしょう。

  末永く、お元気で...       』



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