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異世界少女の保護者は竜  作者: 鹿熊織座らむ男爵
第一章  始まり
16/30

帰路

すみません、かなり短めです。

「お疲れ様でした。本日はこれ位にしましょうか」


 ようやく今日の課題が終わりました。楽しく話しながら進めれたのは良いのですが、前回と違い今回は宰相室なので、クラレスが『忙しいのでこの辺で』って事にはならず、しっかり夕方までやらされる事になりました……。

 物凄い捗ったので、明日予定していたの分まで終わってしまった位です。

 まだ書類が山ほど残っているので、あまり長居してはクラレスの邪魔になってしまいますよね。ささっと茶器も片付けてお暇致しましょう。


「クラレス様今日はありがとう御座いました。明日の時間はどうします?」

「あぁ……また後程アマリーに伝えますよ。今日は馬鹿陛下を玉座に縛り付けているので、その様子を見に行ってからになりますが」


 すっかり陛下の事を忘れてました。

 折角城まで来たので普段とは違う陛下の仕事ぶりを見てみたい気持ちもありますが、私があまり城をうろうろするのは良くないですよね……。今度陛下に会ったら自由に見て回れるように、ミレーニアの習って少し駄々をこねてみようかしら。

 それにしても、本当に監禁状態にしてきたんですね。


「ふふっ。クラレス様、明日は陛下を自由にして下さいね? あまり『待て』が長いと、その分次に会った時に面倒じゃないですか」

「ははっ! 分かりましたよ。明日はいつも通りにしましょうか」


 クラレスは珍しく噴出しながら了承してくれました。


 そのままクラレスに挨拶をすると、茶器を持って元来た道を戻ります。さっきと違って蝋燭の明かりだけになったので、少し薄暗くなった廊下を一人で進みます。


 さっきは緊張していたのであまり周りを見れませんでしたが、改めて見回すと圧巻の広さですね……! 天井に彫刻があるのはさっき確認しましたが、よくよく見ると壁にも細かな細工がされています。細かい蔦や花の模様がびっしり、でも控え目に見えるように彫ってあるようですが、これが天使の像とかだったら完全に神殿か教会ですね。

 行きかう人もさっきよりは少なく、より廊下の広さを感じさせられます。

 私は、興味深々に周りをキョロキョロと見渡し過ぎていて、突然目の前に現れた人に対応出来ずそのままぶつかってしまいました。


「きゃっ!? もっ申し訳御座いません!」


 茶器こそ割りませんでしたが、思いっきり正面からぶつかってしまった挙句、失礼にも悲鳴まで上げてしまいました。

 今は目立たず侍女を演じないといけない立場だったのに、なんてミスを……。

 私の目の前に現れた人は、壮年の髭を蓄えた男性――貴族なのは服装で分かりますが、知識が無い私には偉い人なのか何なのかまでは分かりません。

 むしろじろじろと観察する訳にもいかず、すぐ頭を下げてしまったのでそれ以上の情報は分かりませんでした。

 男性はぶつかった事に動じる事も無く、しげしげと私を観察しています。うぅ……緊張します、何か言って下さいよぉ……。


「あっ。すまない、つい見覚えの無い侍女だったものだったのでな。いやこちらこそすまなかったな」


 思い出したかのようにそう言うと、ポンポンと私の頭を撫で足早に行ってしまいました。

 見覚えの無いって言葉が出るくらいなのですから、よくここに出入りしている人か関係者か、ですよね? これはやっぱり偉い人だったんじゃ……! もう駄目だ早く戻ろう!

 そこからはどうやって棟まで戻ったか覚えてませんでした。


「サキ様!? どうなさったのですかそんなに慌てて……」


 棟に戻ってすぐアマリーが出迎えてくれた。

 さすがにいきなり貴族様にぶつかったなんて言えず、適当にクラレスから脱げて来たと嘘をついてしまいました。むしろその嘘をすっかり信じ込み、笑って納得するのもどうなのかと思いますが。

 そのままアマリーに茶器を渡し、部屋に戻り変装を解きます。すっかり丸め込んでいた髪に癖がつき、いつも以上にふわふわな髪になってしまいました。これから毎日ふわふわヘアー決定ですね。

 侍女服を脱ぎ捨て楽ないつもの姿に着替えると、すっかりリラックスしてしまい先ほどの事など忘れてしまいました。


                       ・

                       ・

                       ・

                       ・


「そうか、今日はフィアハルトは来ぬのか」


 すっかり夜も深けいつものゆったり時間を満喫していると、ソファに転がっているマクスウェルがワイン片手にポツリと呟く。

 今日はミレーニアと一緒だったのであまり休めなかったのか、森から戻ってきてからずっと上の空でぼぅっとしてます。


「明日にはいつも通りだってクラレス様が言ってたよ。マクスウェルは明日もミレーニア様と森に行くんだっけ?しかも午前中から」


 私と同じくらいの時間に戻ってきたマクスウェルが、ミレーニアとそんな会話をしていた気がする。会話と言うか、ミレーニアが一方的にマクスウェルに話しかけているだけで、マクスウェル本人は相槌の一つも打っていなかったようですが……。

 私のその一言で、明らかにぐったりとしたところを見るとどうも明日も一緒のようです。明日は一日森に行くようですし、時間が出来たら少し見に行ってみましょうか。マクスウェルのぐったりする姿を。

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