1話「始まり」
更新日は2016/07/24 です(;´Д`)
書き直しました( ̄▽ ̄;)
夜空の下、少年は炎の海へと変わっていく村を膝を地に付け、見ていることしかできない。全身は傷だらけで額から血が流れ左目を開けることができない状態で彼は涙を流しながら強く願った。
(何で・・・神様、何でこんな・・・力が・・・力が欲しい。)
少年の脳裏には復讐と言う文字はなかった、純粋に力を欲し純粋に願った。その強く純粋な願いを感じ取り音もなく少年の右側に現れ見下ろし、静かにそれでいてハッキリと聞こえる声で少年に問いかけた。
「君だね、強く願ったのは」
少年は声のする方へゆっくりと顔を向け声の主を見て声を出そうとしても声が出ない、出血も酷く、少年の意識は徐々に遠のいて行く中で声の主は少年に契約を持ちかけ、その話に少年は首を微かに動かし同意する、突然現れた声の主は微笑み契約を実行した。
「君の様な者と契約を結べて私は、本当に嬉しいよ。それと、今後私以外の者との契約など一切しないこと、良いな?」
声の主はそれだけ言って姿が一瞬にして消えていく。
そして、少年は声の主を見送ってすぐに気を失った。
◆ ◆ ◆
最悪の悪夢、救われた夢、自分の原点の夢
視界は暗いままだが意識が徐々に覚醒し音が聞こえる、時計の針の音と本のページをめくる音、そして小鳥の囀り。夢から覚め目をゆっくりと開き体を起こし部屋を見渡し本を読んでいた深紅の長い髪の美しい女性に視線を向けるとその女性はこちらに気づいて女性は本を閉じ棚に本を戻す。
「おや、ようやくお目覚めかい?」
女性はこちらに歩きながらどんな夢を見ていたのかと問いかけた。
「おはよう、君と出会ったあの日の夢を見ていたよ」
少年は自分の着ている汗でグッショリと濡れた服を摘んで、こんなに汗をかいていたのかと言う表情になり、それを見た女性はお風呂に入り着替えることを勧め、少年はそうだねとクローゼットから着替えを出しお風呂場へと向かうが後ろから声が聞こえた。
「わかってると思うけど私は食事の仕度などできないからね~」
少年は少し疑問に思ったがそのまま「うん、大丈夫~」と返事を返し去っていった。
「時計を見ていなかったな・・・まぁいいか」
女性は出かける準備を始めた、主に戸締りである。手を前に出して掌の前、手首、肘までの間腕輪の様に四つ魔法陣が展開されたのだ、その数は計六つ、それに反応し家の内側の窓、壁、天上、床と色々な場所に魔法陣が展開されて瞬時に消える、それと同時に最初に展開した六つの魔法陣も消えた。
「これで、準備完了っと」
女性は魔法で素早く戸締りを済ませ、玄関まで歩いて行く、少年は風呂から出てリビングで朝食を食べながら学園案内書を読んでいると、ちらりと時計を見た瞬間ピタリと動きが止まり冷や汗を流し始め、斜め前に座る女性に遅刻しそうな時間だと教えてくれなかったのかと言ったが、女性は優雅に紅茶を飲み「私は君のお母さんじゃない」と少年ににこやかに言った。
「あの時に気がついていればよかったなぁ」
少年は食べかけの朝食を物凄い勢いで食べ終わり鞄を持ちスタスタと玄関に行き、付いてきた女性に戸締りは~と言った時に女性はもうしたよ、あとは起動すればいいだけと答え少年と共に家を出て女性は指を一回パチンと鳴らし陣が起動、ドアに一瞬魔法陣が浮き上がり消えた。
「この姿で学園に行っても大丈夫なのかな?扱い的には使い魔ってことにするのだろう?」
「あ~やっぱ、人型だとまずいか?姿って変えられるんだっけ?」
「変えられるよ、今は狼になれる」
「狼かぁ~、じゃあ狼で行ってもらっても良い?」
女性は一瞬光ったと思ったら深紅のサラサラの毛並みに白銀の目を持つ美しい狼になり、二人・・・一人と1匹は学園へと向かった。
できるだけ早くアップしていこうと思ってます。