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0-8 始動

事の始まりは宴の開幕か。

絶望を示した地獄絵図の展開か。


現実は彼らに、行動を要求する。



 グランバート王城。

ソウル大陸北部、ゼータ地方。そう呼ばれる地域に聳え立つ、大国グランバートの象徴。政治の中枢でもあり、外交の拠点でもある場所。そのような場所が、たった一夜の事件で崩壊することになった。建国以来150年間、その威厳を保ち続けていたが、今となっては見る影もない。

 ある一人の道化師が引き起こした、魔道の解放。魔道の杖に取り込まれた強力な力を世に解き放つことを目的とし、そしてそれを実行した。これから、世界でどのようなことが起こっていくのか、まだ二人にも分からなかった。というよりは、分かりたくもなかった。


 しかし、二人は当事者としてこの現実を受け止めなくてはならない。あの杖が世間で利用されてはならない、それを知っていた者たちであるから。



 こうして、物語は始まりを迎える。

しかし、まだ『彼ら』全員が登場した訳ではない。二人の若き男女に待ち受ける、様々な困難、苦悩が、後々の形となって現れる日が来ることだろう。グランバート中枢の事実上崩壊、世界情勢の変化。大国同士の激しい攻防。この世界で今起こっている現実が、彼らにどのような影響を与え、どのような行動を起こすのか。それを見届ける時は来た。



 ゼータ地方からの、始動。


 新たな伝説が姿を現し、時は歴史を刻み始める。





 Next... 第1章「大地へ」



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