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endless the World War  作者: うぃざーど。
第4章 The Birth of the Endless
63/65

4-17 SACRIFICE




…。






 …フィル。ようやく、分かったよ。あの男がしようとしたこと、フィルが俺に話してくれたこと。



 人は人でいる限り、本来は平等であるべき。それを失わせた、崩壊させた、幾つもの線。



 …分かったんだ。ようやく。





 「発射!!」


 激しい轟音を鳴らして、大きな巨体が拘束具を破り、自由の空へ駆け上がっていく。残光は眩しく、雲を形成しながら高く高く、上空へ一本の線を引いていく。遠くの空からでも、近くの大地からでも見える、その光景。ひとつには理想の成就を、もうひとつには、絶望を。その光景の持つ意味がすべての人に分かった時、犠牲は生まれる。


 犠牲を必要として。その上に成り立つ国家という意味。それを持たなくなった者たちの、宿願。



 現実に実現させるための、手段。



 人類が進めてきた技術の結晶が生んだ、争い。



 そして、迷走を続けたこの時代。




 彼はようやく、理解出来たのだ。



 「エンジン系統に異常発生!油圧急低下!!」

 「姿勢制御機器故障!第一主力エンジン内部の温度上昇中!」


 発射された巨体とは別に、サイロ、発射台のすぐ近くで新たに動き出す巨体。谷全体に響き渡るかのような轟音とともに、その巨体が今動き出そうとしている。

 艦橋。長距離弾道ミサイルの状況を確認していた情報士官が、絶望を入り混ぜた大きな声で話した。艦橋中に響き渡るその声に、周りのわずかな兵士たちが反応する。エンジン系統の異常から、ミサイルのすべての機器をほんの十数秒で混乱させ、情報を錯綜させる。映像による確認もすべて途絶えた。一体何が起こったのか、何が原因なのか、全く分からない状況のまま、その巨体、空に浮かぶ中型戦艦は、大地より足を離す。


 「もう何も分かりません!一体何が起きたのか…!!」

 「あ、あれは!?」

 「誰かいるぞ!!」

 「なんであんなところに、人が…!?」



 「…カリウス、か…?」




 弾道ミサイル発射の瞬間まで、その巨体を支え続けていた拘束具。ミサイルよりも大きな発射台の中間。梯子の上から、一人の男の姿が見える。目線はちょうど、その戦艦の艦橋と同じ位置であった。


 「…」



 …フィル、皆、すまなかった。だが、これからは…




 風が吹き、雪が降る。カリウスは、右手で敬礼をする。

 そしてその瞬間、戦艦は上昇を始める。艦橋の中、バトラーはその姿を見て―



 「…!?」



 …仲良く暮らすがいい。




 ―絶望する。







 世界各地で争いが勃発してから、50年が経過する。

行く着くところまで行くしかない。しかし、先が全く見えない不毛な争いが、今世界中で展開されていた。凶悪な武力、広まる「魔道」の力。

 

 そんな不毛の時代に現れた、若き者たち。

『彼ら』の出現と共に、時代も、戦争も大きく姿を変えていく。

 何のための戦争か。誰のための正義か。




 新たな伝説が姿を現し、時は歴史を刻み始める。 



 西暦2180年 12月28日。

その年は、世界情勢が目まぐるしく変化し続け、人々に新たな可能性と、新たな絶望を与えた。この年のこの日は、この50年もの間続いた戦争の歴史の中でも、特に人々の記憶に残る日となった。


 彼が立ち向かった時。二つの光が地上と、空とで、同時に発生した。まるで、太陽が幾つにも増えたかのように。






 …気付いた時、周りが静かになっているのを、私たちは感じた。激しい轟音や爆音が鳴り響いていた時のこと。あの時の光景。そこまでは、はっきりとした記憶がある。けれども、気付けばそこは静かに雪が降る谷間だった。あんなに激しい戦闘があったのに、何度も死ぬ思いをしたのに、今はそれがない。大きな光が私たちを覆い、そして気付けば消えていた。



 なんだか、暖かい。どうしてだろう?


 あの二つの光は…どうしてかな、暖かかったんだ。




 私も、ほかの人も、その場にいた皆、あの光を見た。そして眩いばかりに目を閉じ、気付けば静かになっていた。


 その時の私は、何が起こったのか、理解できなかった。




 その光の意味。軌跡が…。



 …。




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