4-1 Base Attack
戦火は再び大陸に広まる。
残党軍基地を確認した連合軍は、一気に攻撃を仕掛ける。
彼らも同様に、戦争の流れに乗る。
冬。
この時期が訪れる国は、一年で最も冷える、過酷な環境に出くわしていた。誰かがそう望まないとしても、必ずその時は来る。時間は常に動き続け、季節も常に回り続けている。肌寒さが身にしみて、暖かさにありがたみを感じる、この季節。雪が静かに、時に強く降り続け、辺り一面を雪景色に化粧させてしまう。口から吐く息は可視化され、全身を締め付けるかのような、凍てつく日もある。
数週間前のこと。エルジア王国の領土深く侵攻するための軍事作戦が、決行された。ソロモン連邦、ギガント公国両軍によって構成される連合軍は、エルジア領内セプテブルク丘陵地帯にて、エルジア軍との大規模な戦闘状態に突入する。両者激しい戦闘を繰り広げていたが、そこへ、新たな軍事勢力が攻撃を加えた。
何もかもを飲み込んだ、核攻撃。残虐非道な殺戮。人類の科学の末路。しかし、この戦争そのものが、人類の愚行であり、それを肯定する者も、否定する者も確かに存在していた。
それからすぐのこと。両政府は、第三勢力、ルウム公国の残党軍を徹底排除することを決定。小休止を許されることもなく、再び戦火は大陸を襲っていた…。
オーク大陸、中北西部。先の戦いで背後を襲った、ルウム公国残党部隊が撤退をしたポイントと推測される場所。セプテブルクでの戦闘以来、ソロモン連邦軍は偵察活動を続け、その末に、残党部隊の撤退ポイントを割り出すことに成功した。オーク大陸を隔てる山脈の西側、ソロモン連邦の管轄外にある、大きな基地。
現在、その周辺で、セプテブルクでの戦闘以来、約1ヶ月ぶりに、激しい戦闘が行われている。
「陸戦部隊はトーチカを破壊しながら、そのまま前進を続けろ。こちらは引き続き、対空勢力と地上兵器の破壊を続ける。…カリウス、どうだ」
「自走砲が17台。そのうちミサイル車両が6台です」
「あーぁ、随分厚い防御陣だ」
「こちらクロス、了解した。カリウス、レイ、アイクの三人で上空から爆撃を行ってくれ」
「了解」
ソロモン連邦軍の管轄にいる彼らも、当然のことながら、戦闘に参加している。この時点で、既にギガント公国も部隊の再編成を終え、連邦と合流していた。再編成をするほど、核攻撃による被害は大きく、準備に時間を要した。
低高度強襲揚陸輸送艇に乗り、彼らは地上にある対空火器を破壊しながら、制空権の確保を行っていた。この作戦は、残党部隊の基地を破壊し、戦力の低下を目的としたものであった。航空戦力による低高度の接近を行い、一気に攻撃を仕掛ける。その間輸送された陸戦部隊が、基地への侵攻を続ける。大規模な作戦となり、動員された兵士も多数であった。
「お、おい!大丈夫かよこの機体!?」
「多少の攻撃はシールドで防いでくれる。今は破壊に集中しよう!」
「ひー、カリウスはよく冷静でいられるなぁー」
地上からの対空攻撃がとても激しく、基地上空への接近に時間を要していた。既に遠距離からの攻撃を開始していた彼らであったが、空から地上へ攻撃することは初めて経験するので、正確な攻撃を行えずにいた。あまり時間をかけることも出来ず、焦る気持ちも中にはあった。それでも、カリウスは的を絞って命中させ、次々に自走砲を破壊していく。しかしながら、それでも地上からの攻撃は激しく、機体に攻撃が加わる度、激しく揺れた。
「レイ、右下にいるぞ!」
「分かった、今狙う!」
低高度での強襲を開始してから、30分が経過する。既に何機か撃墜されていたが、相手も自走砲のほとんどを失う。これ以降の作戦では、制空権が確保されれば、上空からの降下作戦も展開される予定であった。基地全体を取り囲むようにして、陸戦部隊が攻撃をし、一気に混乱させようというものであった。
しかし、思うようにはいかない。彼らと他の強襲機がようやく自走砲をすべて排除した時、今度は基地外壁から砲塔が出現した。一体残党部隊にどれほどの戦力が残されていたのか、と考えるほど、攻撃が激しい。
「被弾した!制御できない!!」
「パイロット、すぐに基地外に着陸しろ!」
砲塔の攻撃により、強烈な一撃が彼らの乗る強襲機を直撃した。シールドの効力が停止し、2発の直撃弾により制御不能に陥った強襲機は、すぐに着陸態勢を手動で行う。外の景色がよく見えるので、地面が迫ってくる光景がハッキリと見える。流石に彼らもその時は冷静でいられなかったが、強引ながらも無事に着陸することに成功した。
無論、機体はもう使えない。
「…飛ぶのが好きではなくなった」
レイが着陸による衝撃の痛みを堪えながら、すぐに機体から出てきた。すぐ後にカリウス、アイク、そして搭乗していた兵士たちも降りる。
「しゃあないさ。いくぜ!!」
こうして、残党軍基地攻撃作戦は、基地内部への戦闘へと移り変わる。
…。




